読書的ニュース2016-11
2016年11月の読書的ニュースです。
●E1854 - 「銭湯×図書館」が生み出す新たな可能性 | カレントアウェアネス・ポータル
商店街の各店舗で本棚を持ち合い,本を通じて人がつながっていく様子を見て,銭湯と図書館が似ていることに気付いた。
この繊細な感覚はとても大事だと思う。
●Windows 10 Insider Previewを試す(第74回) - EdgeがEPUBリーダーになったOSビルド14971登場 | マイナビニュース
おおー、ボイジャーさんがBinBに移行したころ、自分もこれからの閲覧環境はブラウザ化する(いやむしろ、ブラウザが唯一の閲覧環境になる)と思ったわけだが、少しずつそうなりつつある。という認識。ところでEdgeのレンダリングエンジンって何だっけ。Readium?
●全国農村読書調査|文化活動|一般社団法人家の光協会
読書世論調査を調べてて発見。「農村と読書」。タイトルがスゴイけど、なんと1946年から脈々と続いている調査。すごいなぁ。これを分析したら何か見えてくるかな。とりあえず、最新版だけでも見ようと思っている。まだ未着手だけど^^
●たてよこWebアワード
気合い入ってます!たてよこWebアワード!もうここまで来たら、突っ走ってほしい。縦書きは文化だ!って。
●本を読み終わるまでスマホをロック!スウェーデンNGOが開発した、子供の読書促進アプリ | AdGang
以前調べた時、ネットは気が散るって結論だったけど、スマホもニアリーイコールネットと捉えると、ロックしちゃうってオーソドックスだけど確実な気がする。癖がつくまでは、こういう強制はありだよね。大人でも。そしていったん読書癖が付くと、人は(特に子どもは)とてつもない集中力発揮しますから。
●実用書の中から読みたいトコだけ買える『犬耳書店』
文脈に応じたコンテンツの再構成。まさに、提供側の編集能力と、ストーリーテリング機能が問われる取り組み。これ、成功してもらいたいなぁ。マイクロコンテンツってマイクロ化するのも権利含めて難しいんだけど、それを再構成するところが最も難しいと思うんだよね。部分的に取り出すと、意味が変わっちゃうという著者もいるわけで。
ということで、しばらく犬耳書店はウォッチしようと思う。
↓IoT×AIみたいな話で少し違うけど、コンテンツにもコンテキスト処理は必要だと思う、ということで。
●ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書 大賞 2017
今年も来ました!ITエンジニア本大賞。毎年いい本が選ばれています(過去の大賞も載ってます)。
個人的に、『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)』はおススメ。昨今のAIブームに乗り遅れないように、とりあえず読んでおく1冊はこれで十分だと思われ。
『「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識"を変えるビジネスモデル』は読んでないけど、『リモートチームでうまくいく マネジメントの?常識?を変える新しいワークスタイル』が面白かったので、これも面白そう。
さてさて、今年は何が選ばれることやら。Web投票〆切は2017年1月12日(木)、大賞決定は2017年2月16日(木)になります。
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)
- 作者: 松尾豊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
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「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識"を変えるビジネスモデル
- 作者: 倉貫義人
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2014/06/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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リモートチームでうまくいく マネジメントの?常識?を変える新しいワークスタイル
- 作者: 倉貫義人
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2015/12/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (2件) を見る
●読書が苦手な人にありがちなこと - それ、僕が図解します。
図解するっていうコンセプトがいい。読書術本は、こうするといいよって流れで話が進むわけだが、逆に捉えると、それを外している人が結果として苦手になっていることが多い。そこを突いた着眼点はすばらしい。
インフォグラフィックというジャンルは大好きだけど、最近面白いサービスでZUNNYがある。これ、分業(企画する人、データ化する人、図示する人、みたいに)できたりしたらもっとたくさん使える図が出てくるのかなぁ。
●徹底的にKindleのみで読書するようにしたら、読書に劇的な変化が起こった | シゴタノ!
うーん。まぁ、言わんとすることはわかりますが。。劇的な変化(=読書スピードと量が増えた)の根拠が以下の2点というのは、本当なのかな!?
特に前者。おそらく、組版デザインはその本の内容を最大限引き出すように、最適化されたデザインです。人がそれにチューニングするとコストがかかるから、統一化しちゃおうというのは、少し乱暴かもしれません。
まぁ、もともとリフロー自体、組版デザインを個人に最適化しようという発想なので、あながち間違っていないのかもしれませんが。
これ、アスリート視点にたって、少し丁寧な考察が必要かも。
●超多忙なCEOが年間100冊読破する読書術 | ライフハッカー[日本版]
おおー、そろそろ今年の戦略読書の総括と、来年の計画を立てようと思っていたので、参考になります。いかに簡便に毎日の読書目標を設定し、かつ評価するか。いかにソーシャルメディアではなく、読書を選択できるような環境を作るか。そのあたりが、検討材料ですかねぇ。
バイブル化してる?
●新機能「Book」登場
NewsPicksで特集記事をバインドしてストックする機能。新機能登場記念で無料だったので、試してみました。
スクラップブックを作るというより、日経ビジネスのサイトの複数回にまたがる特集記事を読みやすくまとめてくれる、といったほうが近いかも。言葉のつなぎの問題はあると思うけど、もう少し自由に、コンテンツをザッピングして、コンテンツを束ねることができると、いいんだけどなぁ。
●Vive、VRで読書体験ができる「Vivepaper」を発表。VOGUEやGQなどをVRでインタラクティブ体験 | Seamless
コンデナストって雑誌の在り方いろいろ試行錯誤してていいな。
なんでだろ、なんだかHMDを使った雑誌閲覧(2014年、電子出版エキスポ参考出展)を思い出しました。今回の記事の写真が、HMDで表示されているっぽく見えたのかな。
●ADHDの人は本を最後まで読み終えられない?ADHDの人におすすめの読書の方法
そうなのかー。
多くのさまざまな情報源(本)から情報を収集し、その情報を独創的かつ斬新な方法で結びつけること
これって、読書を通じてみんながやりたいことなんじゃないかな。サラリとできてるのだとすれば、むしろADHDの方の読書法を学ぶべきかも。
●「多読」か「精読」か:キャリア官僚が教える速読術 | ライフハッカー[日本版]
ちょっと古い記事が引っかかったみたい。精読か多読か。永遠のテーマですな。この記事でも紹介していますが、組み合わせがポイントで、そのための本の分類が重要なんだと思います。
p189
A:最初から最後まで読む本(精読する)
B:つまみ食いすべき本(気になったところだけ読む)
C:読まない本(「はじめに」と目次だけ読んで終わりとする)
●「読書好きが開発した」、Kobo最新モデル「Aura ONE」 - ケータイ Watch
Kobo的・読書好きの納得ポイントは、
- 就寝時の読書を意識した暖色系フロントライト
- 紙の本にイメージが近い、大型7.8インチディスプレイ
- 軽量、薄型
などなど。クリスマスを迎え、そろそろユーザ評価が出てきたころかなぁ。ヘビーユーザさんの評価が楽しみ。
『戦略読書』定点観測 - 2016年11月
はじめに
戦略読書・11月の定点観測です。
図1は、読書ポートフォリオ・マトリクス(PRM)を整理したものです。
定点観測(2016/11)
上記RPMに基づいて実施した11月の定点観測結果です。
ビジネス基礎
なし
ビジネス応用
リモートチームでうまくいく マネジメントの?常識?を変える新しいワークスタイル
- 作者: 倉貫義人
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2015/12/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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リモートチームでリモートワーク。まだまだ浸透するには時間が必要だし、評価手法も考慮が必要だと思う。でも、これからの、それこそダイバーシティな社会はこんな働き方も許容できる制度設計が求められるんだろうな。未来の働き方を考えるのに向いている一冊です。
非ビジネス基礎
たまたま立ち読みしたヤマケイ(山と渓谷社)の雑誌に紹介されていたマンガ。これは大正解。もうタイトルそのまま。読むと、山に登りたくなり、そしてお腹がすきます。3巻まで出ていたので、買いそろえてしまった。
派手な世界の裏側には、ドロドロとした、様々な人間の思惑が潜んでいそうに見えるが、それを具現化したような作品。やや破天荒で非現実的なヒロインが、ぐいぐいテレビの世界に引き込んでくれる。テレビの裏側とは、果たしてこういう世界なのだろうか。中の人の評価も調べてみたいところ。
- 作者: アーノルド・ローベル,三木卓
- 出版社/メーカー: 文化出版局
- 発売日: 1972/11/10
- メディア: ハードカバー
- 購入: 12人 クリック: 196回
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かえるくんと、がまくんの、フレンドリーな小話が5つ。装丁も、サイズも、紙も、絵も、フォントも、そういったものすべてが気に入っている。実は5つの小話はつながっていて、前のお話に出てきたジャケットを着ているとか、小さな発見もうれしい一冊。個人的には『おてがみ』が好きかな、やっぱり。
これまでも何度か読んだことがあったけど、再読。主人公のねこが、白ねこに告白して、それから心を通わせていくさまが好き。そして、死とは何を意味するのか、改めて考えさせられる。
非ビジネス新規
本屋でまとめ買いをする時に、勢いで買ってしまった本。爆笑というより、クスッとする感じのネタがおもしろい。台湾旅行編などは読みごたえあり。割とツボでした。
犬に本を読み聞かせをすることで、本に興味を持ってもらおうという、おもしろい取り組みを紹介した本。書評を書いたので、興味がある方はそちらもご参照ください。
分析
以下は、11月のRPM分布と、累積(1~11月)のRPM分布です。
今のところ、以下のような実績と予測になっています。
実績
冊数 | 時間 | |
---|---|---|
11月 | 13冊 | 20.5時間 |
1~11月 | 163冊 | 328時間 |
予測
年間冊数※1 | 総読書時間※2 | |
---|---|---|
予測値 | 177.8冊 (月平均14.8冊) |
357.8時間 (月平均29.8時間) |
※1 163冊÷11ヶ月≒月平均14.8冊、14.8冊×12ヶ月≒年間冊数177.8冊
※2 328時間÷163冊≒1冊あたり2時間、2時間×177.8冊≒357.8時間
あと1ヶ月を残して、100冊・400時間の年間目標値に対して、冊数は163%、時間は89.95%の達成率となっています(冊数の多さのわりに、時間が比例していないのは、主にマンガが多く影響しているものと思われます)。
11月は、あまり多く読書時間を取れなかったという印象です。それは値にも表れていますが、ただ、読んでいる最中のものがそれなりにあり、それらが11月内で読み終わらなかったということもあります。読書なんで、当然、月単位で読み終わるという制約はおかしいですので(となると、ここで示している統計も月単位でやるのはおかしいのですが、それはまぁ実験ということで)、自由に読み進めております!
最近、小説がいいんだよなぁ。これまでも読んでましたが、たまに読めればよかった。ところが最近は次々と小説を読みたくなります。これは何かの予兆でしょうか。それとも、何かの変化の結果なのでしょうか。
さて。いよいよ次回で戦略読書も1年になります。データ的にも、気持ち的にも、どんな1年だったか、振り返りをして、リニューアルしてシーズン2(やる気満々)を迎えるつもりです。
参考
- 『戦略読書』実践記(1)
- 『戦略読書』実践記(2)リーディング・フローの基礎的検討(前編)
- 『戦略読書』実践記(2)リーディング・フローの基礎的検討(後編)
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年1月
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年2月
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年3月
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年4月
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年5月
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年6月
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年7月
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年8月
- 戦略的に読書をするためにやったこと
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年9月
- 『戦略読書』定点観測 - 2016年10月
書評『読書介助犬オリビア』
はじめに
アニマルセラピーでは、「犬は病気の人の苦痛を和らげるのに役立つ」と考えるそうです。それをヒントに、本を読まない子が犬に本を読んであげることで、読書の楽しみに気づいてもらうという活動があります。
それが、読書介助犬を利用したR.E.A.D.(Reading Education Assistance Dog)プログラムです。この本では、看護師のサンディと読書介助犬オリビアの交流を通じて、R.E.A.D.プログラムができる過程が描かれています。
犬とセラピー
読書介助犬という存在を知らなかったのですが、R.E.A.D.の読書介助犬として活躍するためには、以下の2項目をクリアする必要があるそうです。
- デルタ協会のペットパートナーズテストの21項目に合格する
- R.E.A.D.の読書介助犬として、必要な要素(温厚、静かな環境でも緊張しない、等)を評価する
以下、参考サイトです。
また、読書介助犬の、より詳細な役割や効果については、以下の論文にまとめられていました(読めていませんが、面白そう! pdfです)。
所感&気になったフレーズ
R.E.A.D.プログラムができあがる過程で、犬を媒介として、子どもたちと本がどのように対峙して、そしてどのようにつながっていくのか。いくつかの気になるフレーズとともに語られていました。
当時のプロジェクトのダイナミズムと言いますか、サンディたちの息遣いが伝わる、とてもよい本だと思いました。大人も、読むとよいよ。
以下、お気に入りフレーズ4選。本当は3選にしたかったのですが、絞れませんでした~。
p50
いまの子どもたちはほとんど本を読まない。本を読むのをいやがる子も多いと聞く。でも、犬と一緒ならどう? ひとりで読まなくても、かわいい犬と一緒なら、読書の楽しさを感じることができるんじゃない?
p107
自分の年齢よりレベルが低い本を読むことは、屈辱的なことではない。大人だって絵本も読むし、児童書も読む。なにもむずかしい本を読むことだけが読書ではない。まずは、本の世界に入り込める想像力を身につけることが、読書好きになる最大のポイントだ。
p146
子どもはいつも、親や教師、大人たちから命令されてばかりいるもの。犬は、人間の言葉や気持ちにとても素直に答えてくれるわ。その犬に接することで、子どもたちの中に"小さな名誉"が生まれるんじゃないかしら。だれかが、無条件で自分に寄りそってくれるなんて、大人だって感激するじゃない。
p169
ぼくたちはいつもだれかに愛されること、なにかをしてもらうことばかり望んでいるけど、本当に大切なのは、自分がだれかを愛しいと思えること、そしてだれかのためになにかしたい、と願う気持ちなんだ。
青空文庫をKindleで読む
はじめに
今更感が満載ですが、青空文庫の本をKindleで読もうとすると、いつも手順を忘れてググったりしてるので、まとめておこうと思います。年末進行で忙しい時の、現実逃避ってやつです。
1.タイトルを選ぶ
青空文庫から好きな本を選びます。
図1 青空文庫
2. ファイルをダウンロード
テキストファイル(ルビあり)のzipファイルをローカルにダウンロードします。
図2 テキストファイル(ルビあり)は下側にある
図3 テキストファイル(ルビあり)の中身
3. ダウンロードしたファイルを結合する(オプション)
このセクションは、2でダウンロードしたファイルを複数つないで1つのファイルとして扱う場合の話になります。束ねないのであればスキップしてかまいません。
ファイルは、メモ帳等のテキストエディタでコピペして1ファイルに足しこんでいきます。ただ、ファイルを結合すると、Kindleで頭出しがしにくくなるので、目次情報を付け加えておきます。
図4 ファイル整形。3行目で表紙画像、4行目で目次見出しを入れている
図5 完成すると、こんな感じで目次が見れます
4. AozoraEpub3でmobi形式に変換
ツールを使って、Kindle用のファイルを作ります。用いるツールは、AozoraEpub3という、青空文庫の注記入りテキストをEPUBという電子書籍用フォーマットに変換するツールです。利用にはJavaが必要ですので、配布サイトのインストールマニュアルをよく確認する必要があります。
かなり様々な設定ができるのですが、自分が最低限しているのは、
- 表紙画像を指定する
- 拡張子は「.mobi」で出力する
- 入力文字コードは「MS932」
- 書字方向は「縦書き」
- 出力先は「パソコン内の任意の場所」
くらいです。
図6 AozoraEpub3の設定と変換処理
図7 変換完了!
5. 生成したmobiファイルをKindleに送る
生成したmobiファイルは、KindleとPCをつないで転送することもできますが、メールでKindleに送ることができます。doksyo-tekの場合、転送用にGmailを使っているため、25MBまでならメール転送してしまっています。
ちなみに、Amazonサイトで、アカウントサービス>コンテンツと端末の管理>端末(タブ)と進むと、Kindle転送用(Send-to-Kindle)のアドレスを確認することができます。
図8 Send-to-Kindle
6. 確認する
Kindle本体(今回はAndroid端末のKindleアプリ)を開くと既に送られたmobiファイル(アイテム)が存在します。もし、ない場合は、同期させると、新しいアイテムを探してくれます。
図9 同期したらアイテムが出てきた
7. 読む!
指定した通り、きちんと読むことができました。
図10 ルビもしっかり振られています!
以上です。
まとめ
2016年は江戸川乱歩や谷崎潤一郎等、著名な作家が没後50年を迎え、多数の作品が公開されています。たまには青空文庫を眺めて、そして、ここで示したくらいの手間をかけて、デジタルで名作を楽しむのもアリなのではないでしょうか。
The BookTech Award 2016
はじめに
イギリスの老舗・THE BOOKSELLERによるFUTURE BOOK CONFERENCE 2016。出版関連のスタートアップにThe BookTech Awardを行っていますが、つい先ごろの12/2(金)に受賞者が発表になりました。
受賞は・・・だーん!
書籍関連メタデータ最適化サービスのKadaxisと、リアルなロケーションでの物語体験を演出するStoryTouristがダブル受賞したようです!
The BookTech award was one by Kadaxis, which uses data science to improve book discovery across the publishing value chain, and Story Tourist, "a kind of Pokémon Go for stories" - an app that allows readers to experience books at the very locations where the action takes place.
The final five
まずは振り返りということで、エントリーしていた5組をご紹介。
Joosr
ノンフィクション本を、20分以内で読めるよう要約するサービス。日本でいうところの、flierやBOOK-SMARTのようなサービス。
Kadaxis
メタデータ最適化システムの提供。
メタデータとは、書籍購買に関するデータのこと。著者から見れば、読者のマーケティングデータになる。読者から見れば、購入する書籍データになる。そして、出版社から見れば、著者・読者双方に提供するデータ(書籍データ+マーケティングデータ)になる。Kadaxisは、各プレイヤーにそれぞれ以下のサービスを提供。
- 著者:AuthorCheckpoint(マーケティングデータ提供サービス)
- 出版社:metadata optimisation and data APIs(書籍データ作成サービス)
- 読者:BookDiscovery(書籍検索サービス)
なお、中心となる書籍メタデータは可変なBISACカテゴリ+キーワードによって最適化されている。
Novel Effect
子ども向けの印刷本を声に出して読むと、リアルタイムに音声認識し、音声効果を付与してくれるサービス。
publishizer
著者と出版社のマッチングサービス。
以下の1~3のステップを実施することで著者と出版社をマッチングしていく、クラウドパブリッシング方式。
- 著者は1000語程度のブックプロポーザルを提出する
- publishizerは45日間のプレオーダーキャンペーンを実施する
- 興味のある出版社から直接著者に返事がある
プロポーザルのテンプレートはpublishizerが提供し、プレオーダーが500件以上だと大手出版社にコンタクトできる。まあ、著者は各種オファーから最も良いものを選べばよい。
Story Tourist
ポケモンGoみたいに、特定の場所でカメラをかざしながら動き回ると、本に関連するARオブジェクトが見つかり、オブジェクトにアクセスすることで読み物を読むことができるという仕組み。
まとめ
どのアイデアもいい味出しています。エントリを眺めてみると、大きく現実的にデータ連携するビジネスモデルと、書籍コンテンツそのものに付加価値を付けるビジネスモデルに分類できるのかなと思いました。それぞれのカテゴリから1つずつ選ばれてるし。勝手な推測ですが。
また、このような取り組みは、日本で言うならば、JEPAが執り行う電子出版アワードが、まさに該当するのだと思います。出版には言葉の壁が付いて回りますが、このグローバル時代、どうせなら、世界規模で様々なBook Technologyを捉えてみると、思いもよらなかった気づきがあるかもしれません。ワクワク。