読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

書評

書評『超速読力』

はじめに 本ブログにも何度かご紹介している齋藤孝先生の、割と最近の新書(2019年7月初版)の書評をしてみます。 齋藤先生は読書に関して様々な著作がありますが、今回の『超速読力』では、読書の中でも、とりわけビジネスのシーンで役に立つ読書を取り上げ…

書評『ハーバード・ビジネス・レビュー2017年5月号』

はじめに ハーバード・ビジネス・レビューの2017年5月号特集は「知性を問う」。人間は人工知能とどう接していくべきなのか、問題提起となるとても良い特集記事でした。 その中で、朝井リョウさんのインタビュー「小説は何者が生み出すのか」がとても面白かっ…

書評『人生がときめく片づけの魔法』

はじめに 「何を捨てるか」ではなく「どんなモノに囲まれて生きたいのか」をコンセプトに片付けをする。著者の近藤麻理恵さんは米TIME誌で「世界で最も影響力のある100人」に選出され(2015年春)、その著作は世界で700万部も売れています。それが今回選んだ…

書評『鈴木さんにも分かるネットの未来』

鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書) 作者: 川上量生 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/06/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る はじめに 本書はドワンゴ創業者でカドカワ社長の川上量生(かわかみのぶお)氏がネットの未来…

書評『頭は「本の読み方」で磨かれる』

頭は「本の読み方」で磨かれる: 見えてくるものが変わる70冊 (単行本) 作者: 茂木健一郎 出版社/メーカー: 三笠書房 発売日: 2015/06/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る はじめに テレビでもおなじみの茂木健一郎さんによる読書論です…

書評『読書介助犬オリビア』

はじめに アニマルセラピーでは、「犬は病気の人の苦痛を和らげるのに役立つ」と考えるそうです。それをヒントに、本を読まない子が犬に本を読んであげることで、読書の楽しみに気づいてもらうという活動があります。 それが、読書介助犬を利用したR.E.A.D.…

書評『本は10冊同時に読め!』

はじめに ▼成毛 眞著「本は10冊同時に読め! (知的生きかた文庫)」(三笠書房) 書評サイトHONZを主催されている成毛眞さんの読書論です。カバーの「そで」には、以下のような刺激的なコトバが・・・。 読書に目的を持つな 本は最後まで読む必要はない 仕…

書評『レバレッジ・リーディング』

概要 読書に関する本にあたっていると、よく耳にする『レバレッジ・リーディング』。やっと読んでみました。ビジネス本の読み方を提案する本で、かなりシンプルかつ具体的な手法(読み方の手順)に踏み込んでいる点が印象的でした。 章立てを見ると、「多読…

書評『挑戦する図書館』

はじめに 「図書館、がんばってる!」がわかる一冊です。 著者は図書館研究の第一人者である大串夏身氏。研究者らしく、明確に情報社会における図書館の役割と課題を述べています。読書活動の供給源であり、かつ読書環境でもある図書館、どんなことになって…

書評『読書進化論』

著者は評論家として有名な勝間和代さんです。今から10年近く前の本(2008年刊)ですが、『読書進化論』というタイトルに惹かれ、読んでみました。 概要 本書は大きく4部構成になっています。まず(1)「読書で人が進化する」とは何かについて述べられていま…

書評『ネット・バカ』(3)

邦訳『ネット・バカ』を読んで、書評と考えを以下の3点に絞って書き綴っています。今回は「視点(3)新しい読書」です。 視点(1)深い読書 視点(2)ウェブの影響 視点(3)新しい読書 これまで2回の投稿を振り返りますと、以下のようになります。 深い読書…

書評『ネット・バカ』(2)

邦訳『ネット・バカ』を読んで、書評と考えを以下の3点に絞って書き綴っています。今回は「視点(2)ウェブの影響」です。 視点(1)深い読書 視点(2)ウェブの影響 視点(3)新しい読書 少し振り返りますと、前回は「深い読書」について述べました。深い読…

書評『ネット・バカ』(1)

doksyo-tek.hatenablog.com 上記でNicholas Carr『The Shallows』を取り上げておきながら、読んでいないのはいかがなものか。 ということで、邦訳『ネット・バカ』を読みました。 内容的に、これまで取り上げてきた「紙とディスプレイの違い」について、様々…

書評『読書で賢く生きる。』

漆原直行、中川淳一郎、山本一郎の3氏による、ビジネス書に的を絞った読書論です。皆さん非常に尖った論客なので、歯に衣着せぬ切り込みぶりが爽快な一冊でもあります。 概要 本はお三方個別の読書論と、座談会形式の議論がサンドイッチになって構成されてお…

書評『読書教育を学ぶ人のために』

本をどう読むのか、どう読ませるのか。読書デザインに関するトピックスが理論・実践・展開の3部にわけて整理されており、読書教育の分野の現在を知るのに最適な一冊です。新年早々、とてもいい本に出会うことができてうれしいです。 以下、各部の気になった…

書評『本を読むときに何が起きているのか』

今のところ、今年一番の面白い本に巡り合った気持ちでいます。 本を読むとき、我々に何が起きているのか。通常、計り知ることが非常に困難な読書時の内的な状況について、図と引用と考え方を交えてヒントを提示してくれる本です。そうなんです。この本はヒン…

書評『乱読のセレンディピティ』

『思考の整理学』でおなじみ、外山滋比古さんの著作です。2014年出版で、当時外山さんは91歳。なかなか本を書ける年齢じゃないと思います。すごい。 本書の趣旨は、自分の読みなれた分野に閉じこもらず、様々なジャンルを「風のように」積極的に乱読すること…

書評『読書の今昔』

物理学者・寺田寅彦のエッセイです。 読書の今昔というタイトルのエッセイですが、昭和7年(1932年)に書かれたものですので、今から見ると、80年以上前…。読書の昔・大昔ですね。ただ、彼がこのエッセイで言いたかったことがとてもしっくりきたので、まとめ…

書評『読書力』

「読書の本質」を説いた一冊です。 著者は『声に出して読みたい日本語』『三色ボールペンで読む日本語』などでも有名な齋藤孝先生です。ここでも以前、子ども向けの読書術に関する本を紹介していますが、それより格段に熱い先生の思いが詰まった本でした。 …

書評『頭がよくなる必殺! 読書術』

テレビでもおなじみな齋藤孝先生による、子ども(小学生くらいかな)を対象にした読書術本です。「読書は錬金術だ!」と言い切り、「金」(お金というより、豊かさの比喩)を生み出す読書の重要性、読書への取り組み方、読書環境の整備、読書感想文のTipsな…

書評『IN★POCKET 2015年 4月号』

講談社文庫のIN★POCKETという文芸誌で、文庫の見た目を考える特集が組まれていました。特集は2部構成で、第1部では装幀者の菊地信義氏のインタビューを、第2部ではブクログと連動した文庫装幀大賞の受賞作が取り上げられています。これで200円とはかなりお買…

書評『どんぐりむらのほんやさん』

書評というほどでもありませんが。『どんぐりむらのほんやさん』のペーパークラフトを作ってみました。この本はカバーと帯にペーパークラフトが付いていて、写真のような本屋さんを作れます(どんぐりむらはシリーズ本で、他の著作にもペーパークラフトが付…

書評『本棚にもルールがある』

総括1 本書は「実践的・自己プロデュース論」だと言えます。本棚づくりについて書かれていますが、その本質は「本棚を通じて、自分をどう見せるのか、自分の興味はどこに向いているのか、について客観視すること」であり、本棚のパフォーマンスを引き出すた…