読書的な何か。

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書評『超速読力』

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はじめに

本ブログにも何度かご紹介している齋藤孝先生の、割と最近の新書(2019年7月初版)の書評をしてみます。

齋藤先生は読書に関して様々な著作がありますが、今回の『超速読力』では、読書の中でも、とりわけビジネスのシーンで役に立つ読書を取り上げています。そしてそのメソッドは、実は名著と言われる小説や古典を読む際にも適用できるというものでした。

概要

本書は、①「超速読力」を身につけるための基礎準備、②資料を読む、③新書・実用書を読む、④小説・古典を読む、をメインとし、より深く技術を身につける箇所では、具体的なトレーニング方法と実践編がついているという構成になっています。

超速読力とは

齋藤先生の定義はとてもシンプル。ゆえにわかりやすいものです。先生は超速読力を次のように定義しています。

瞬間的に読む力 + 読んだ内容についてコメントを言う力 = 超速読力

限られた時間で膨大な資料や本の内容を理解し、かつ、気の利いたコメントまで求められる現代のビジネスシーン。資料の「読み方」に着目することで、素早くインプットとアウトプットをコントロールするというコンセプトはとても野心的だと思いました。

基礎準備としての心構え

いくつかの心構えが記されていましたが、doksyo-tekは、特に次の視点が気になりました。せっかく時間を使って読むわけですので、効率的に、ヌケモレのなく超速読力を手にしたいものです。

p28
資料や本だと、だいたい真ん中以降、本でしたら「第四章」あたりにけっこう大事なことを持ってくる著者が多いように思います。

どこに大事なことが書いてあるのか、目安になりますね。

p36
「とにかく"獲物"を持ち帰る」を至上命令として、九割の文章は断捨離し、ときめくものだけを持ち帰る。

 とにかく当たりをつけて獲物をゲットする。間違っていても気にしない。この姿勢は大事そうです。

p41
テレビのコメンテーターになったつもりで、つねにコメントを用意しながら読むくせをつけよう。

これも大事。どんな小さなことでも「考えてませんでした」はアウト以外の何ものでもないと思います。

具体的な読書法

この部分は、本書を読んだほうが圧倒的にわかりやすいです。①資料、②新書・実用書、③小説・古典と、大きく3ジャンルにわけて、それぞれの特性に応じたコツや手法をおしげもなく披露してくれています。

記されているようなやり方に慣れてくると、確かに読むの早くなりそうですし、ただ漫然と読むのではなく、自分の意見もきちんとコメントできるようになりそうだ、と思いました。

今すぐに実践したいトレーニング法

先生の授業でも取り入れているトレーニング法らしいのですが、いくつか紹介されていた方法のうち、次の2点は今すぐにでも実践したいものでした。

資料を1枚15秒で読むトレーニン

こういう反復トレーニングは、日々の訓練で高く飛べるようになる忍者のように、ジワジワと効いてくるのだと思います。ほんの15秒であれば、会議中やとっさの資料提示などにも十分対応できる時間です。

  1. A4の紙に書かれた文章を10枚用意する。
  2. 時計を計る。ストップウオッチを用意。
  3. よーいドン、でスタート、1枚15秒、10枚を2分半で読み終えるトレーニングをする。
  4. 友人と一緒にやると、緊張感が高まってより効果的。

新書を3分で読む「新書トレーニング」

先生曰く、

本をちゃんと読んでいる人からすると、「そんなものは読んだうちに入らない!」と怒られそうですが、一冊読んでもすぐに忘れてしまったり、終わりまで読めずに途中で行き倒れるくらいなら、三分で一冊読めて、自分のコメントが言えるほうがずっと生産的なのではないでしょうか。

とのこと。

これは完全に同意。友人とやるもよし、ですが、「新書トレーニング読書会」を開いても楽しそうです。その場で読むわけなので、事前に読んでこなくてはならないという読書会ならではのハードルもなくなります。

  1. 友人と二人で、各々が読んだ新書を交換する
  2. 「せーの」で読み始める
  3. 最初は10分で読む。慣れてきたら5分→3分と縮める
  4. 読み終わったら、相手に「読んだ本の内容」と「自分のコメント」を話す

所感

本書の「おわりに」のタイトルは「書を買って、カフェに入ろう!」というものでした。本書で紹介されているやり方を少しずつ実践していけば、最初はなかなかうまくいかずとも、かなり早い段階で「カフェでくつろぐ15分間で、サクサク本が読めてしまう」ようになるのではないでしょうか。

もちろん、どんな本も今回のような読み方をするのがいいわけではないと思います。適材適所、ゆっくり読みたい本はゆっくり読めばいい。ただ、本書で紹介されているような、お仕事系の資料や本は、それこそ鮮度が命。ある程度テクニックを持ってスピーディな短期決戦をしてみたいと思いました。

そして、せっかくなので実践編として、「3分で新書を読む×100冊プロジェクト」を始めます!(書いてしまった・・・)今後、このブログを通じて、どんなふうに実践していったかをレポートしてみたいと思います。

超速読力 (ちくま新書)

超速読力 (ちくま新書)