読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

各社の無料公開状況まとめ

新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、小中学校の一斉休業や人の集まる場所の閉鎖、イベントの中止などが相次いでいます。このような事態を受け、様々な出版社や関連会社が小説やマンガ等の無料公開を始めています。

現在、どのような状況になっているのか、まとめてみたいと思います。

※本稿の内容は2020年3月11日(水)現在→2020年3月13日(金)更新の状況になります。詳細につきましては、各リンク先でお確かめください。

3月13日以降の状況は、下記リンクも併せてご確認ください。

株式会社秋田書店

株式会社朝日新聞出版

SBクリエイティブ株式会社(3/13追記)

公益財団法人大宅壮一文庫(3/13追記)

株式会社オトバンク(3/13追記)

株式会社学研ホールディングス

  • コンテンツ:『まんがでよくわかるシリーズ』、『学研2020年春の応援ライブラリー』、『学研ニューワイド学習百科事典』、「ニューコース学習システム」、「やさしくまるごと小学」シリーズ、「えほん応援ライブラリー」アプリ、「学研2020年春の応援ライブラリー」、など多数
  • 公開サイト:家庭学習応援サイト
  • 期間:2020年3月31日まで
  • ニュース:同上

株式会社KADOKAWA

株式会社技術評論社

株式会社銀の鈴

株式会社講談社

株式会社講談社(3/13追記)

シマラヤジャパン株式会社

株式会社集英社

株式会社集英社

株式会社集英社

株式会社集英社(3/13追記)

株式会社主婦の友

株式会社小学館

株式会社小学館

株式会社小学館(3/13追記)

株式会社誠文堂新光社

株式会社白泉社

株式会社ソニックガーデン(3/13追記)

株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン(3/13追記)

株式会社図書館流通センター(3/13追記)

株式会社日本コスモトピア(3/13追記)

株式会社文藝春秋

株式会社ベネッセコーポレーション

株式会社マッグガーデン(3/13追記)

文部科学省

読売新聞オンライン(3/13追記)

株式会社ロクリン(3/13追記)

「読むこと」とテクノロジーの関係を整理する

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今回は、次の記事をきっかけとして「書くこと」の対にある「読むこと」に関するテクノロジーの関係を整理してみたいと思います。

www.itmedia.co.jp

記事では、「道具とそれを使った思考」という観点から「書くこと」について論じています。

道具という点では、次のような入力形態に言及しています。

ここでのキーはデータ化できること。PCやスマホを使った入力はもちろんのこと、紙+手書きもカメラ撮影で画像化したり、OCRにかけてテキスト化することでデータ化が可能です。

そして、音声入力。この形態が進化すると、これからはデータ化に加えて「論理的な長文作成のノウハウ」を得ることが大事になると説いています。確かに話し言葉と書き言葉はだいぶ異なるので、話し言葉がテキスト化されてもそのままでは使いにくく、書き言葉(=文章)として成立するための論理的な作成ノウハウは重要視されそうです。

余談ですが、かつてとある文字起こしをしたことがありますが、話者の言葉をただテキスト化するだけではまったくダメで、それを意味のある構成に作り変えることに大いに労力を使ったことを思い出しました。

さて、この話題を「書くこと」から「読むこと」に置き換えてみるとどうでしょうか。

「書くこと」の対が「読むこと」であるならば、まず、書くこと=入力、だとすると、読むこと=出力と捉えることができるかと思います。ただ、これは実は入出力の中心がコンピュータである場合の話です。例えばキーボードやマイクから情報が入力されると、コンピュータで処理され、ディスプレイやスピーカーに出力される、というわけです。

では入出力の中心を人間にしてみたらどうでしょうか。入出力の関係は逆転し、書くこと=出力、読むこと=入力となります。例えば、文字図形が目を通して入力されると、脳内で知識として処理・蓄積され、書くときに道具と思考を使って、出力されるわけです。

つまり、「読むこと」にはコンピュータの側面から見た出力のテクノロジーと、人間の側面から見た入力のテクノロジーがある、と考えられそうです。

今回は個々のテクノロジーについてはあまり詳細に言及しませんが、それぞれ、次のようなテクノロジーの視点があるかと思っています。

出力のテクノロジー

入力のテクノロジー

  • 構造化文書処理
  • 文章理解
  • わかりやすさの定量
  • 記憶・概念の組み合わせなど脳科学の知見

こうして並べてみると、出力系に比べて、入力系には多くの課題がありそうです。例えば構造化文書ひとつをとってみても、文書を構造的に記述できる言語は多々研究開発されてきていますが、ではそれをどう構築していくのか、人によって受け取り方が異なる「文章の理解」や「わかりやすさ」にどういったアプローチで指標を作っていくべきか、かなりの研究の余地が残されていると感じています。

今回は、読むことを取り巻くテクノロジーについて、簡単に俯瞰してみました。今後は入出力それぞれのリストの精緻化、個々の研究課題の明確化などを行い、読むことのテクノロジー、すなわち読書工学のグランドデザインを考えてみたいと思っています。

2019年の読書

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遅ればせながら、2019年のまとめをしたいと思います。2019年は、読了した書籍、マンガ、見終わった映画はすべてブクログに登録して管理してきました。

booklog.jp

そして、2019年の総数は次の通りでした。バンッ。

  • 本 41冊
  • 電子書籍 2冊
  • マンガ 75冊
  • 雑誌 1冊
  • 映画 42本
  • 合計 161件(うち書籍関係は119冊)

改めて公表するほどの数字ではないのですが、2019年に楽しませてもらった数になります。本+電子書籍で43冊。毎月3.58冊読みました。これにマンガ75冊と雑誌1冊を加えると、全部で119冊。毎月9.91冊読んだことになります。

2点補足ですが、「電子書籍」は「電子書籍でしか出版されていないもの」の総数です。電子で読んだけど、紙の本が出ている場合、「本」としてカウントしています。また、「雑誌」は月1~2冊は読んでいたけど、2019年はブクログに記録していませんでした(1冊紛れていたのはノイズですね。今年は雑誌も記録します!)。

ブクログは本当に便利で、月別・ジャンル別にどれくらい消費したか表やグラフで可視化してくれたりもします。

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図1.2019年のdoksyo-tekの読書グラフ

こうやってみると、いつ頃何に興味を持っていたのかよくわかります。

例えば、9月はマンガが多いのですが、『進撃の巨人』が無料で読めるキャンペーンをやっており、ひたすら読んでいたためです。とか、11月は本が多いのですが、『十二国記』にハマって読み始めたり、これまで少しずつ読んでいた本が読了になったりしたのがたまたま11月ごろでした、とかとか。

ここで、もう少しどんなジャンルの本を読んでいたのか見てみようと思います。今回は「本」に登録していた41冊を対象にしました。対象本に対し、Amazonの商品分類体系を用い、当該の本がどの分野か、調べてみました。

Amazonの商品分類体系は、「本(和書)のジャンル一覧」を用いました。「Kindle本ジャンル一覧」とどちらがいいのか迷いましたが、今回は紙の本の一覧を用いました。

調査は、体系表から探すのではなく、商品ページに貼られた分類リンクを確認することで行いました。例えば『空飛ぶタイヤ(上) 』の場合、まず商品ページを見ます。下側の登録情報を見ると、「Amazon売れ筋ランキング」に次の分類リンクが貼られています。

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図2.Amazon 登録情報

この赤枠で囲った部分はパンくずリストになっており、下記の分類になっています。

本/文学・評論/文芸作品/日本文学
本/文学・評論/文学賞受賞作家/直木賞/126-150回
本/文庫/講談社文庫

これを見るだけで、当該の本がどんなジャンルの、どんな内容を扱う本なのかおおよそわかると思います。ジャンルはいくつかのサブカテゴリから構成されているので、41冊分を調べてみると、どんなジャンルの本をどれだけ読んだのかがわかる、というわけです。

ちなみに、ある本には複数のジャンルが設定されていることが多い(複数のジャンルから本までたどれるということですね)ので、以後のカウント数は延べ数になっています。

一番上位のカテゴリは全部「本」だったので、二番目のサブカテゴリをカウントしてみると次のようになりました。

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図3.サブカテゴリ1

 こちらは三番目のサブカテゴリ。これより細かなカテゴリは結構「なし」も多いので割愛。

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図4.サブカテゴリ2

こうしてみると、2019年は「文学・評論」「文庫」を多く読んだ一年であったことがわかります。具体的には「文芸作品」「ミステリー・サスペンス・ハードボイルド」系の本が多く登録されていました。確かにdoksyo-tekの好きなジャンル(笑)。

また、かつて朝井リョウさんが「作家の世界観が顕著に表れるのはエッセイ」と述べていたことを思い出し、意識的にエッセーや随筆を多く読むように心がけていた(つもり)でしたが、結果は5冊・・・。まぁ、読むべきものと読みたいものはいつも違うということを如実にあらわした例と言えるかと思います。

ここに挙げられた項目は、たとえ1冊であってもdoksyo-tekにとって興味があるジャンル、カテゴリです。となると、あえてここに挙げられなかったものから選んでみるのも、新たな発見があって面白いかもしれません。ジャンルだけ毎月決めておいて、そのジャンルに属する本を図書館で借りて読むとか。うーん、考えるだけで楽しいです。

おまけ

ちなみに、読書とは直接関係ありませんが、映画は思った以上に視聴していました。ほとんどがAmazon Primeですが、うちの近所のレンタル屋さんだと旧作1週間で約300円。300円x42本=12,600円。Primeの年間利用料は4,900円。これだけで7,700円も得していました!

読書に必要な13のこと ~『知的生産の技術』より

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はじめに

日本を代表する民俗学者梅棹忠夫氏の名著『知的生産の技術』は、メモ法、カード利用法、原稿執筆法など、現代でも十分通用する仕事術であふれています。そして、この本の第6章では梅棹氏の「読書」に対する考えが記述されています。今回は、この「読書」の章に焦点を当ててみたいと思います。

概要

読書の章は、全部で13のトピックから成っています。読書のしかた、ノートの取り方、読書歴の整理のしかた、そして創造的な読書について。

さまざまな角度から読書が語られていますが、やはり本書のメイントピックである京大式情報カードの活用は、読書ととても親和性が高い。

現代では物理的なカードを使って整理することはあまり多くないのかもしれませんが、その概念、考えはリアルであろうとバーチャルであろうと、さほど変わりのないものなのだと思います。

読書に必要な13のこと

以下、各項で気になった文を抜き出し、簡単なメモをつけていくという形で列挙してみます。

(1)よむ技術

本というものはどのようにしてよめばいいかという技術的指導書になると、じつはあまりみあたらないのである。

当時は「本の本」というジャンルはあまりなかったのか? ちなみに具体的に挙げられていた本は次の二冊。

読書論 (岩波新書)

読書論 (岩波新書)

 
私の読書法 (岩波新書 青版 397)

私の読書法 (岩波新書 青版 397)

 

 (2)よむこととたべること

栄養学と食味評論がはっきりちがうように、読書論においても、技術論と鑑賞論とは、いちおう別のこととかんがえたほうがいいということなのである。

どういう材料を、どう料理して、どのようにたべれば、ほんとうに血になり、つぎの活動のエネルギー源になりうるかという技術論が、ここの問題なのである。

もうきっぱりと、鑑賞じゃない、これは読書技術だ! と言い切っちゃっている。ここで述べるは料理のおいしさ云々ではなくて、料理手法についてだ、ということ。

(3)本ずきのよみべた

どうも日本の教育は、やっぱり教科書中心・講義中心で、本をよませるという訓練方式がひどくかけているのではないだろうか。

読書法などというものは、本来たいへん個別的なものだから、各自で自分に適した流儀のものをつくりだすほかない、というかんがえかたもある。たしかに、けっきょくはそうだろうが、はじめからそういったのでは、技術の公開、共同開発の道をとざしてしまうことになり、結果的には秘伝主義になる。教育や訓練ということもありえなくなる。実際問題としては、おおくのすぐれた知識人の意見をきいてみると、意外に共通の技術や読書法式があるものだ。

読書を技術・技法という観点でみてみると、なんらかの共通項、共通方式みたいなものがありそうだと。長年読書をしているとなんとなく感じる経験則みたいなものか??

(4)「よんだ」と「みた」

本というものは、はじめからおわりまでよむものである。

著者のかんがえを正確に理解するための基本的条件の一つだからである。

内容の正確な理解のためには、とにかく全部よむことが必要である。

共通項のひとつかな? わかりやすい。最後まで読んだ本は「よんだ」。一部分だけ読んだ本は「みた」。著者の考えを正確に理解するには、全部読むのが基本!

(5)確認記録と読書カード

一冊の本をたしかに「よんだ」ことを、自分自身のために確認しておくという作業は、読書経験を定着させるために、たいへん有益であろう。

この有益なことを明確に記録するために、2つのことを提案している。①読了の印(いつ読み終えたか)は本そのものに記録し、②読んで感じた内容やメタデータ等は京大式カードに記録する、というもの。

(6)読書の履歴書

とにかく自分の読書歴のすべてが集約されて眼前にあるということは、自分自身の知的活動力に対してあまり幻想的な評価をしないために、ひじょうに役だつ。

年100冊というのは、ふつうの人間としては限度ではないだろうか。

カードがたまると、読んだ分だけ振り返りができる。これをやる人とやらない人では読書を血肉にできる速度がまったくもって違う気がする(当然、振り返るほうが早く吸収できる)。

(7)一気によむ

一気によんだほうが理解という点では確実さがたかい。すこしずつ、こつこつよんだ本は、しばしばまるで内容の理解ができていないことがある。

わたし自身は、二つの系列の読書を平行的にすすめることにしている。

ここでいう二つの系統とは、自分の専門分野の本と、関連の薄めの本。一気に読んだほうが理解が進むんだけど、読み切れないことが多いし、疲れるので、気分転換できる関連薄めの本も用意して、同時平行で読むスタイル。

(8)傍線をひく

(都度ノートを取ることについて)本ははじめからおわりまでよむということを眼目とすれば、こういうざせつしやすい方法はよくない。

かきぬいておきたいなどとおもう個所 ~略~ 心おぼえの傍線をひくほうがよい。

要するに、一番大事なのは一気通貫で読み進めること。ノートを取るとか、線を引くとか、読む行為の邪魔になっては元も子もない。

(9)読書ノート

わたしは、よみあげた本を、もう一どはじめから、全部めくってみることにしている。そして、さきに鉛筆で印をつけたところに目をとおすのである。そこで、なぜ最初によんだときにそこに印をつけたのかを、あらためてかんがえてみる。 ~略~ これはほんとうにノートしておく値うちがあるとおもわれるところだけを、ノートにとるのである。

カードの上欄には、その内容の一行サマリーを記入し、下部に、その本の著者、表題および該当ページを記入する。

まずは全部通して読んで、気になるところはサクッとマーキング。マーキングには徹底的に負荷をかけない。その上で、今度は吟味して選ばれた箇所だけ、京大式カードに転記していく。ここで選ばれた箇所は、その時のその人にとって意味のある個所というわけ。

(10)本は二どよむ

傍線にしたがってのノートつけは、よんだあとすぐではなくて、数日後、または数週間後におこなうのである。そのあいだ、本の現物は、目のまえにつんどかれる。

今日のように本をたくさんよまねばならぬ時代にあっては、一冊の本をなんどもよむなどということは、事実上できはしないのだ。しかし、なんどもよむほど理解がすすむのは事実である。そこで、実際的で効果のある方法として、わたしはこういう「読書二遍」法を実行しているのである。

京大式カードにエッセンスを絞り出すために、あえて間をあけて本質を見極める作業をしている感じ? 百遍は無理だとしても二回繰り返すだけで、しかも二回目はかなり凝縮されているのでこれだけでもとても定着しそう。

(11)本は二重によむ

(本に傍線を入れる二系統について)第一の系列は、「だいじなところ」であり、第二の系列は「おもしろいところ」である。

だいじなところは著者が主張したい部分、おもしろいところは読者の琴線に触れた部分。確かに。全然本の文脈と関係ないけど、気になってしまう箇所ってあるある。

(12)創造的読書

わたしの場合をいうと、じつはカードにメモやらかきぬきやらをするのは、全部第二の文脈においてなのである。

(著者が主張したい部分は既に本に書かれているのに対して)「わたしの文脈」のほうは、シリメツレツであって、しかも、瞬間的なひらめきである。これは、すかさずキャッチして、しっかり定着しておかなければならない。

傍線をひくときに、なにがひらめいたのかを、きわめてかんたんに、欄外に記入しておく。

いわば本をダシにして、自分のかってなかんがえを開発し、そだててゆくというやりかたである。

楽しむ読書(=消費的読書)に対して創造する読書(=生産的読書)のご提案。著者の主張を捉えつつ、自分のヒラメキも活かしてしまうなんて、素敵な読書ではないか!

(13)引用について

本は何かを「いうためによむ」のではなくて、むしろ「いわないためによむ」のである。つまり、どこかの本にかいてあることなら、それはすでに、だれかがかんがえておいてくれたことであるから、わたしがまたおなじことをくりかえす必要はない、というわけだ。

引用の多さは自分の創造物の少なさとの兼ね合いだという考え。最後に「自分が知らないだけで、どこかで書いてあるかもしれないこと」に対して身のすく思いであると。
かつて恩師が「あることを思いついたら、世界に三人は同じことを考えていると思え(だからとにかく急いで実験して世界で最初に思い付きを具体化せよ)ということを言っていたのを思い出した。世界は広いんだ。

まとめ

梅棹氏の読書に関する考え、読書に応用した京大式カードの使い方がよくわかる13のトピックだったと思います。

個人的に面白かったのは、創造的読書。読み物として消費する読書も相当面白いんだけど、自分のヒラメキや考えが読書を介して表出してくる読み方はかなりその本をしゃぶりつくしている感じがあって良い。こうやって得たヒラメキや考えはもちろん他でも活用可能。「本から知見を得る」ってこういうテクニックがあってこそ、より具体的に自分のモノになるのではないか、と思いました。

参考

 原著にあたりたくなった方は、こちらでどうぞ。

知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)

 

 

書評『超速読力』

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はじめに

本ブログにも何度かご紹介している齋藤孝先生の、割と最近の新書(2019年7月初版)の書評をしてみます。

齋藤先生は読書に関して様々な著作がありますが、今回の『超速読力』では、読書の中でも、とりわけビジネスのシーンで役に立つ読書を取り上げています。そしてそのメソッドは、実は名著と言われる小説や古典を読む際にも適用できるというものでした。

概要

本書は、①「超速読力」を身につけるための基礎準備、②資料を読む、③新書・実用書を読む、④小説・古典を読む、をメインとし、より深く技術を身につける箇所では、具体的なトレーニング方法と実践編がついているという構成になっています。

超速読力とは

齋藤先生の定義はとてもシンプル。ゆえにわかりやすいものです。先生は超速読力を次のように定義しています。

瞬間的に読む力 + 読んだ内容についてコメントを言う力 = 超速読力

限られた時間で膨大な資料や本の内容を理解し、かつ、気の利いたコメントまで求められる現代のビジネスシーン。資料の「読み方」に着目することで、素早くインプットとアウトプットをコントロールするというコンセプトはとても野心的だと思いました。

基礎準備としての心構え

いくつかの心構えが記されていましたが、doksyo-tekは、特に次の視点が気になりました。せっかく時間を使って読むわけですので、効率的に、ヌケモレのなく超速読力を手にしたいものです。

p28
資料や本だと、だいたい真ん中以降、本でしたら「第四章」あたりにけっこう大事なことを持ってくる著者が多いように思います。

どこに大事なことが書いてあるのか、目安になりますね。

p36
「とにかく"獲物"を持ち帰る」を至上命令として、九割の文章は断捨離し、ときめくものだけを持ち帰る。

 とにかく当たりをつけて獲物をゲットする。間違っていても気にしない。この姿勢は大事そうです。

p41
テレビのコメンテーターになったつもりで、つねにコメントを用意しながら読むくせをつけよう。

これも大事。どんな小さなことでも「考えてませんでした」はアウト以外の何ものでもないと思います。

具体的な読書法

この部分は、本書を読んだほうが圧倒的にわかりやすいです。①資料、②新書・実用書、③小説・古典と、大きく3ジャンルにわけて、それぞれの特性に応じたコツや手法をおしげもなく披露してくれています。

記されているようなやり方に慣れてくると、確かに読むの早くなりそうですし、ただ漫然と読むのではなく、自分の意見もきちんとコメントできるようになりそうだ、と思いました。

今すぐに実践したいトレーニング法

先生の授業でも取り入れているトレーニング法らしいのですが、いくつか紹介されていた方法のうち、次の2点は今すぐにでも実践したいものでした。

資料を1枚15秒で読むトレーニン

こういう反復トレーニングは、日々の訓練で高く飛べるようになる忍者のように、ジワジワと効いてくるのだと思います。ほんの15秒であれば、会議中やとっさの資料提示などにも十分対応できる時間です。

  1. A4の紙に書かれた文章を10枚用意する。
  2. 時計を計る。ストップウオッチを用意。
  3. よーいドン、でスタート、1枚15秒、10枚を2分半で読み終えるトレーニングをする。
  4. 友人と一緒にやると、緊張感が高まってより効果的。

新書を3分で読む「新書トレーニング」

先生曰く、

本をちゃんと読んでいる人からすると、「そんなものは読んだうちに入らない!」と怒られそうですが、一冊読んでもすぐに忘れてしまったり、終わりまで読めずに途中で行き倒れるくらいなら、三分で一冊読めて、自分のコメントが言えるほうがずっと生産的なのではないでしょうか。

とのこと。

これは完全に同意。友人とやるもよし、ですが、「新書トレーニング読書会」を開いても楽しそうです。その場で読むわけなので、事前に読んでこなくてはならないという読書会ならではのハードルもなくなります。

  1. 友人と二人で、各々が読んだ新書を交換する
  2. 「せーの」で読み始める
  3. 最初は10分で読む。慣れてきたら5分→3分と縮める
  4. 読み終わったら、相手に「読んだ本の内容」と「自分のコメント」を話す

所感

本書の「おわりに」のタイトルは「書を買って、カフェに入ろう!」というものでした。本書で紹介されているやり方を少しずつ実践していけば、最初はなかなかうまくいかずとも、かなり早い段階で「カフェでくつろぐ15分間で、サクサク本が読めてしまう」ようになるのではないでしょうか。

もちろん、どんな本も今回のような読み方をするのがいいわけではないと思います。適材適所、ゆっくり読みたい本はゆっくり読めばいい。ただ、本書で紹介されているような、お仕事系の資料や本は、それこそ鮮度が命。ある程度テクニックを持ってスピーディな短期決戦をしてみたいと思いました。

そして、せっかくなので実践編として、「3分で新書を読む×100冊プロジェクト」を始めます!(書いてしまった・・・)今後、このブログを通じて、どんなふうに実践していったかをレポートしてみたいと思います。

超速読力 (ちくま新書)

超速読力 (ちくま新書)