読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

書評『頭がよくなる必殺! 読書術』

テレビでもおなじみな齋藤孝先生による、子ども(小学生くらいかな)を対象にした読書術本です。「読書は錬金術だ!」と言い切り、「金」(お金というより、豊かさの比喩)を生み出す読書の重要性、読書への取り組み方、読書環境の整備、読書感想文のTipsなどを子ども目線でわかりやすくまとめてあります。

先生は、読書への取り組み方として6つの読書術を説いています。量(まずは10冊読んでみる)やスピード(シリーズものでページ数をこなす)など、いくつかのファクタがあるようですが、自分が一番なるほどと思ったのは、「自分だけの本棚を持とう!」という部分。少し長めですが、引用すると、こういうことです。

自分の部屋に本が残っていると、ふだん、自分が部屋にいるときに、背表紙の文字が目にチラチラと入ってくる。この"チラチラ"が、大事なんだ。

はい、読書術その3。みんなが十冊読んだ次にするべきことは、自分の本棚をつくること。これが大切なんですよ!

本というものは、借りて読むことも、読まないことに比べれば、まあまあいい。

でも、できれば、せっかく読んだ本は手元に置いておくほうがいいんだよ。そうすると、部屋に寝っ転がっているときに、

「ああ、『はれぶた』かあ。おもしろかったなあ」

とか、

「ああ、『ハリー・ポッター』か、読んだ、読んだ」

というように、繰り返し思い出すことができる。そうやっているうちに、自分の世界が豊かになっていくんです。 

 そうそう。背表紙のアフォーダンスと言いますか、たくさんの背表紙を眺めていると、そこから喚起される意味やつながりが見えてくる時があります。さらに、それを都度繰り返すことでモヤモヤした考えが明確になり、アイデアの想起や行動につながっていくこともあるんです。過程のメカニズムはわからないことだらけですが、何か、そのようなことが起こっている気がします。先生は、そのような現象を「自分の世界が豊かになっていく」と表現しているのだと思います。

これは現在の電子書籍が抱える課題の1つと言えるかもしれません。スマホや専用端末では、多くの本を簡便に管理することが可能です。1台の端末にお気に入りの本を何冊も入れ、好きな時に好きなだけ読むことができる。しかしながら、背表紙に該当する、書影が並ぶ画面を見るためには、ストアアプリを起動したり、端末の本棚リストを表示させなければ見ることができません。つまり背表紙を見るために能動的なアクションが必要となるため、自然と「チラチラと背表紙が入ってくる」状態を作り出すことができていないと思うのです。

デジタル環境における本棚について、インタフェースをどう工夫すれば良いのか、現状はまだアイデアがありませんが、考えてみる価値はありそうです。

最後に、読書感想文Tipsを箇条書きで。これができたら、大人でも(いや自分的に)読書が楽しくなりそうです。

  1. らくがきしながら読む(大事な箇所、おもしろかった箇所にしるしをつける)
  2. 名場面を決めながら、キーワードを探しながら読む
  3. 感想文を書く前に、他の人に話してみる
  4. 話すときは、あらすじ+中心+名場面ベスト3を話す(場面は理由も添える)
  5. 話したことを書く
  6. 完成!

齋藤 孝著「頭がよくなる必殺! 読書術 齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ 第4巻」(PHP研究所)
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