The BookTech Award 2016
はじめに
イギリスの老舗・THE BOOKSELLERによるFUTURE BOOK CONFERENCE 2016。出版関連のスタートアップにThe BookTech Awardを行っていますが、つい先ごろの12/2(金)に受賞者が発表になりました。
受賞は・・・だーん!
書籍関連メタデータ最適化サービスのKadaxisと、リアルなロケーションでの物語体験を演出するStoryTouristがダブル受賞したようです!
The BookTech award was one by Kadaxis, which uses data science to improve book discovery across the publishing value chain, and Story Tourist, "a kind of Pokémon Go for stories" - an app that allows readers to experience books at the very locations where the action takes place.
The final five
まずは振り返りということで、エントリーしていた5組をご紹介。
Joosr
ノンフィクション本を、20分以内で読めるよう要約するサービス。日本でいうところの、flierやBOOK-SMARTのようなサービス。
Kadaxis
メタデータ最適化システムの提供。
メタデータとは、書籍購買に関するデータのこと。著者から見れば、読者のマーケティングデータになる。読者から見れば、購入する書籍データになる。そして、出版社から見れば、著者・読者双方に提供するデータ(書籍データ+マーケティングデータ)になる。Kadaxisは、各プレイヤーにそれぞれ以下のサービスを提供。
- 著者:AuthorCheckpoint(マーケティングデータ提供サービス)
- 出版社:metadata optimisation and data APIs(書籍データ作成サービス)
- 読者:BookDiscovery(書籍検索サービス)
なお、中心となる書籍メタデータは可変なBISACカテゴリ+キーワードによって最適化されている。
Novel Effect
子ども向けの印刷本を声に出して読むと、リアルタイムに音声認識し、音声効果を付与してくれるサービス。
publishizer
著者と出版社のマッチングサービス。
以下の1~3のステップを実施することで著者と出版社をマッチングしていく、クラウドパブリッシング方式。
- 著者は1000語程度のブックプロポーザルを提出する
- publishizerは45日間のプレオーダーキャンペーンを実施する
- 興味のある出版社から直接著者に返事がある
プロポーザルのテンプレートはpublishizerが提供し、プレオーダーが500件以上だと大手出版社にコンタクトできる。まあ、著者は各種オファーから最も良いものを選べばよい。
Story Tourist
ポケモンGoみたいに、特定の場所でカメラをかざしながら動き回ると、本に関連するARオブジェクトが見つかり、オブジェクトにアクセスすることで読み物を読むことができるという仕組み。
まとめ
どのアイデアもいい味出しています。エントリを眺めてみると、大きく現実的にデータ連携するビジネスモデルと、書籍コンテンツそのものに付加価値を付けるビジネスモデルに分類できるのかなと思いました。それぞれのカテゴリから1つずつ選ばれてるし。勝手な推測ですが。
また、このような取り組みは、日本で言うならば、JEPAが執り行う電子出版アワードが、まさに該当するのだと思います。出版には言葉の壁が付いて回りますが、このグローバル時代、どうせなら、世界規模で様々なBook Technologyを捉えてみると、思いもよらなかった気づきがあるかもしれません。ワクワク。