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読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

『戦略読書』実践記(2)リーディング・フローの基礎的検討(後編)

戦略読書

前回、戦略読書を実施するにあたり、読む行為を円滑に進める手順としてリーディング・フローを提案しました。具体的には5つのステップを要するもので、以下の問題を改善することで効率的な流れを作ろうとしています。

  1. 入手:欲しい本が把握できていない
  2. 保管:積読状態が慢性化
  3. 活用:(ここは手順も含め、別に書きたいと思います)
  4. 保存:本棚への配置基準が不明瞭
  5. 廃棄:処分基準が不明瞭

今回は後編、保存と廃棄について考えます。

4.保存:本棚への配置基準が不明瞭

これまで本棚には、なんとなく空いているスペースに、サイズに合わせて本を入れているだけでした。そのため、本棚にあることはわかっても、どこにどんな本があるか把握できず、結果、必要な時に探すのをやめてしまうこともしばしばでした。つまり、未分類が引き起こす、保存本の不使用化が課題です。

活用フェーズで読まれた本は、本棚に配置されます。ここで、ただ配置されるだけではなく、脳の拡張記憶装置のように、一度読まれた後でも適宜使用されることを考慮した配置を考えてみたいと思います。

このような本棚を実現するために、『本棚にもルールがある』を参考にしますと、本棚は①ジャンル別に配置し、かつ②本は流動的にする、という点が応用できそうでした。そこで、以下2点に絞って方針を立てたいと思います。

①ジャンル別に配置する

2本の本棚(←我が家の場合です)を横に並べ、縦軸にジャンル、横軸に読書ポートフォリオ・マトリクスを取り、配置を考えてみました(図4参照)。

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図4.本棚のジャンル別配置

縦軸のジャンルは、Amazonの「本のジャンル」、日本十進分類法(難しかったので見ただけ)、保有する本等を参考にして、結局、文系棚・理系棚・情報系棚・芸術系棚・その他棚、としています。各ジャンルの詳細は表1にまとめました。

表1.配置の内訳
 棚A棚B
文系棚
(人文社会)
ビジネス、経営 哲学、思想、心理、言語、教育、環境、社会、地理、歴史、経済、金融等
理系棚
(科学技術)
数学、物理、化学、生物、宇宙、医学、技術
情報系棚 情報工学 コンピュータ全般
芸術系棚 小説、コミック、アート、建築、デザイン、写真
その他棚 流行本、気になった本、図録、論文誌、旅行、辞典
②本は流動的にする

この視点はとても重要だと思います。本は長い間固定位置に置かれると風景化して死蔵してしまうと思います。また、限られたスペースを有効に使うためには、本の出し入れによる活性化が必要不可欠です。これらを考慮して、次の3点を考えます。

1. 時系列に配置する

  • 各棚は本が棚に入った順番に左から並べていく。使用した場合、一番右(つまり一番新しい場所)に戻す。いわゆる、超整理法方式です。こうすることで、よく手に取る本は右側にたまり、あまり読まない本は左側にたまります。古典とか、たまに手に取る大事な本もあるので機械的にはできない部分もありますが、左側にたまる本は、次に説明する処分コーナー入りの目安となるわけです。

2. 処分する本コーナー

  • 本棚から引退する本を入れておくコーナーです。廃棄ステップに向かう、最後の砦です。超整理法で左側に押し出されてきた本から、選別してここに入れることにします。ただ、選別はあくまで気分。厳密なルールは設けません。したがって、この棚に入っても、気が変わって元に戻すこともあり得ます。その程度の感覚の棚です。

3. 新しく並べた本コーナー

  • この棚は、読了後のホヤホヤの本をしばらく入れておく棚です。役割としては、背表紙を眺めることで、読んだ内容を繰り返し思い出すこと。背表紙からこんな本だったなぁと頭で思い描けるようになったら、各棚に割り振ります。そのための、バッファのような場所です。

図4では、ジャンル別の観点から棚配置を考えました。ここに流動性の1~3観点を加えると、図5に示すような本棚ができあがると思います。時系列は全ての棚に、新しい棚と処分棚は、流動棚として立った時の目線に来るようにしてみました。

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図5.本棚のジャンル別配置(改良版)

5.廃棄:処分基準が不明瞭

ビジネス文書であれば、管理期間を超えたものは廃棄対象になります。しかし、本には管理期間など存在しませんし、ましてや、思い入れのある本、絶版本、何度も参照したい本など、手元に置いておきたいものです。ただ、本棚の物理的なスペースには限りがあります。手元に長く残すものは厳選し、なるべく新しく入手した本にそのスペースを譲りたいものです。

ということで、廃棄について、以下の3分類を考えてみました。基本は、流動棚の処分コーナーに配置された本が対象ですが、各棚(の左側にたまった本)にあっても、都度3分類を意識したいと思います。

1.残す

  • 何度も読み返す本、希少価値が高いと思う本

2.電子化する(自炊する)

  • 1ほどではないが、手放すのは惜しく、手元に残しておきたい本

3.売る/捨てる本

  • 一度読んで、書評もまとめ、もう一度読みたいときにはまた入手すればよい本

どの分類も実施基準が主観的ですが、まずはこれで運用し、もし流動性が損なわれているなと感じたら、その際に再考したいと思います。

以上、前編後編を通じて、読む行為を円滑にすることを目的に、リーディング・フローを考えてみました。リーディングフローは、具体的には5つのステップからなります。各ステップで設定した課題をクリアできるよう検討しました。

①入手ステップ

  • 課題:欲しい本の把握
  • 解決策:Amazonほしいものリストによるリスト化

②保管ステップ

  • 課題:積読状態の解消
  • 解決策:仮置き場の設置による可視化(一部未解決)

③活用ステップ

④保存ステップ

  • 課題:未分類による不使用化
  • 解決策:本棚の配置と流動化の検討

⑤廃棄ステップ

  • 課題:処分の非効率化
  • 解決策:処分規準のルール化

このような整流化は、完璧を求めることが難しく、トライ&エラーが大事かと思います。実際に運用してみて、改善点が出てきたら都度工夫していきたいと思います。

なお、今回触れなかった点として、3番目の「活用」ステップと、「デジタルの取り扱い」があります。前者は入手した本をどのように活用して保管に受け渡していくのか、について別途書きたいと思います。また、デジタルのリーディング・フローについても、別の機会にまとめてみようと思います。場合によっては、紙とデジタルがハイブリッドになるかもしれません。

▼成毛眞著「本棚にもルールがある---ズバ抜けて頭がいい人はなぜ本棚にこだわるのか」(ダイヤモンド社)
4478029393

▼野口 悠紀雄著「「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)」(中央公論社)
4121011597

▼宮沢 厚雄著「分類法キイノート」(樹村房)
4883672441