読書的な何か。

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読みやすさの構成要素

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読みやすさにはいろいろな定義があると思いますが、これが一番シンプルでいいんじゃないかな~という定義をしてみたいと思います。

ネタ元は、Readability: a one-hundred-year-old field still in his teens(のスライド5~6枚目)です。ReadabilityはLegibilityとComprehensibilityと異なる、ということが示されていますが、doksyo-tekは、むしろ、これら3つを併せて(日本語で言うところの)読みやすさになるだろうと思っています。つまり、読みやすさとは、次の3要素からなると言えないでしょうか。

読みやすさ:

  1. Legibility:対象の文の、配置(文字の大きさ・行間・フォントなど)のこと
  2. Comprehensibility:対象の文を、読んでわかった・理解したという度合のこと
  3. Readability:対象の文が、どれだけフクザツに構成されているか、ということ

1番目は電子書籍などでも議論されている、縦書き横書きの話だったり、何度かKindleを例に取り上げているフォントの話だったり、要素としては、いわゆる文字組版技術にあたると思います。

2番目は紙とディスプレイシリーズで取り上げた、人の集中度合の違いに関する話や、最近取り上げた読解方略に関する話等、どちらかというと、人間の心理・脳処理に対するアプローチが多いかなと思います。

そして3番目は、文において使われる品詞の数や、単語間の係り受けの関係、文の長さや句読点数などを解析することで文の複雑さを定量化する、計量情報学や自然言語処理に近いアプローチだと思います。

「Readability」は直訳すると「読みやすさ」ですが、日本語の「読みやすさ」には、Legibility、Comprehensibility、Readabilityの3要素が含まれている。したがって、人によってはレイアウトの話をし、また人によっては脳処理の話をする。そのような状況が「読みやすいって結局よくわからないね」という状況を生んでいたのではないでしょうか。

このように考えると、今回読みやすさは3要素からなる、と定義したことで、読書における読みやすさも、工学的に捉えやすくなるのではないかと思うのです。

参考