読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

『戦略読書』定点観測 - 2016年12月

はじめに

戦略読書・12月の定点観測です。

図1は、読書ポートフォリオ・マトリクス(PRM)を整理したものです。

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図1.読書ポートフォリオ・マトリクス(RPM

定点観測(2016/12)

上記RPMに基づいて実施した12月の定点観測結果です。

ビジネス基礎

なし

 

ビジネス応用

なし

 

非ビジネス基礎

まく子 (福音館の単行本)

まく子 (福音館の単行本)

 

 正直な本だと思った。成長していく男の子の正直な心情がたくさん。そして、その心情の変化は、やがて、生と死という壮大なテーマにつながっていく。小さな粒、わたしたちを作っているその粒は、日々変わっていく。福岡伸一著『動的平衡』を思い出した。

転んでも、大丈夫: ぼくが義足を作る理由 (ポプラ社ノンフィクション)

転んでも、大丈夫: ぼくが義足を作る理由 (ポプラ社ノンフィクション)

 

足を失った人たちに寄り添い、声を聞く。家にこもらず、社会で活躍できるように、せめて、接点を持って生きていけるような、そんな接合部の役割。その答えが、スポーツを通じた義足なのかもしれない。
以下、気になったフレーズ。

p163
ぼくが思うに、成長して強くなる選手というのは、ものごとを自分で考えることができる選手です。

p164
本当のたくましさは、自分で考え、行動するなかで、みがかれるのではないでしょうか。

p185-186
どんな義足作りを目指しているか? ぼくの好きな「義足に血が通うまで」という言葉を引用して、「はいていることを忘れるくらい、ぴったりとフィットした、本物の足と似たような感覚で歩ける、そんな義足づくりが理想です」と答えています。

生活保護を受ける人々と、その自立をサポートする福祉事務所で働く主人公の、葛藤物語。本のタイトルにもある「生活とは」「生きるとは」。一巻だけでは得られない答え。重い。重いけど、気になる。そんな世界観が広がる、一冊。

なんだろ、最初はつまらないと思ったのに、徐々に惹き付けられていく不思議な魅力に溢れたマンガ。登場人物たちがみんなどこかしらにクセがあって人間味があるからかもしらん。

雪花の虎(3) (ビッグコミックス)
 

安定の面白さ。1、2巻を読んでから相当間を空けたので、思い出せるか不安だったが、まったく心配なかった。

 

非ビジネス新規

なし

 

分析

以下は、12月のRPM分布と、累積(1~12月)のRPM分布です。

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図2.12月のRPM分布

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図3.累積のRPM分布

2016年は、以下のような実績でした。年間目標値(読書冊数100冊、読書時間400時間)に対して、冊数は168%、時間は84.375%の達成率でした。

実績

 冊数時間
12月 5冊 9.5時間
1~12月 168冊 337.5時間

2016年の総括と、2017年の戦略読書の方針については、別の記事でまとめたいと思いますが、初年度にしてはまぁまぁの出だしだったかなと思います。ただ、途中から読書ポートフォリオ・マトリクスの分類が、自分に合わなくなってきた(正確には自分の分類基準が不明瞭であったため、どのエリアに割り振るのか考えるのがしんどかった)と感じました。今年は、このマトリクスを精査し、より簡便に、かつ効果的に読書をできるよう、バージョンアップしてみたいと思っています。

参考

読書的ニュース2016-12

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2016年12月の読書的ニュースです。

〇おススメ本あれこれ

年末年始とか、節目になると「2016年のおすすめ本」みたいな記事がいろいろ出ますね。ということで、いろいろおすすめされたのでご紹介。みなさん、楽しい読書生活を過ごされたのでしょうか。

かなりたくさんおすすめされましたが、気になった未読の5冊を、読みたい順に記しておきたいと思います。今年中には読むぞ!

 

量子コンピュータが人工知能を加速する

量子コンピュータが人工知能を加速する

 
テクノロジーは貧困を救わない

テクノロジーは貧困を救わない

 
罪の声

罪の声

 
聖の青春 (角川文庫)

聖の青春 (角川文庫)

 
雑草のくらし―あき地の五年間 (福音館の科学の本)

雑草のくらし―あき地の五年間 (福音館の科学の本)

 

 

11月10日放送のアメトーク『読書芸人』 第3弾で取り上げられた本をまとめてみた【本好き芸人】 - 積読書店員のつくりかた

 第3弾、見逃した! カズレーザーさんの読書観が面白いらしい。後で調べよう。

読書の秋にオシャレで面白い「FACE BOOK COVER」はいかが? | Qetic

意外と高いんだけど(2970円)、家族等がプリントされてて、しかもプレゼントでもらったらうれしいかも。

手元にある一冊が、新しい世界への扉となってくれます。読書は好き? - エキサイトニュース

「目の衰えが、本を遠ざける」
うーむ。。来るべき衰えに備えたいが。。。やはりリフローで大きめの文字を読むのがいいのかな。

日本ハム、書籍1716冊を「北海道ブックシェアリング」に寄贈― スポニチ Sponichi Annex 野球

段ボール40箱分、1716冊。多いのか少ないのか。寄付文化って難しいよなぁ。

寄付って観点では、大手の新古書店で二束三文で買い取られるのもいいのだけれど、読みたい人がいる場所に寄付するほうが、気持ちいいよね。

ASCII.jp:読書は「書籍」から「電子書籍」に移行か…9月ネット購買世帯支出

「書籍」の減少傾向が続き、「電子書籍」の増加傾向が続いていることから、家庭での読書が書籍から電子書籍に移行している傾向が見て取れた。

へぇ。

「デジタルコンテンツ」のうち「電子書籍」は同73.3%増
「書籍」(同5.6%減)

どのジャンルなのか気になるが、電子に移行することに抵抗がなくなってきていると見ることもできる、のかな。

英大学が発表、世界に「寛容さ」を与えた10冊の本 | ホンシェルジュ | 英インディペンデント紙(オンライン新聞)

国際寛容デーの一環で。寛容になれる10冊。とりあえず、以下の2冊は読んでおきたい。

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

 
わたしはマララ: 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女

わたしはマララ: 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女

 

 

Spooky Tales

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年末年始に、何気なく買ったレゴ人形。Spooky boyという変わった人形が当たったのですが(袋に入っていて、どんな人形が出るかわからない)、『Spooky Tales』と書かれた黒い本が一緒に付いていました。

brickset.com

www.lego.com

Spooky Tales。直訳すると『気味の悪い物語』。うわー。人形も気味悪い感じだけど、本もおどろおどろしいなぁ。。と思ったのですが、eBayで見てみると、なんと本のパーツだけで6.99USドル! 日本円にしてざっと821円(2017/1/9現在)! けっこうな高値でやり取りされる希少本なようです(笑)。

www.ebay.com

先日、GIGAZINEで、中世時代には自分で書いた本を守るため、本に呪いをかける方法があったという記事を読みました。当時の本は手書きでコピーを作る貴重なものだったため、本の最初と最後に、盗人を脅迫するような、「呪い文」がついていたそうです。

gigazine.net

例えばこんなやつ。

May the sword of anathema slay If anyone steals this book away.

もし何者かがこの本を盗み去ったら、その人は破門の剣で殺されることだろう

ひぇー。これこそ、まさに「Spooky Tales」ですね。。Spooky boyのSpooky Talesにも同様の文章がついているかもしれません。

そうなってくると、がぜん、Spooky Tales本体が読みたくなってくるなぁ。どんな内容なんでしょうかね。

書評『頭は「本の読み方」で磨かれる』

はじめに

テレビでもおなじみの茂木健一郎さんによる読書論です。茂木さんは脳科学者ですが、本書は脳科学の知見というより、脳科学に裏打ちされた、ご本人の読書に対する姿勢や考え方、読むためのテクニック等がまとめられている本かと思いました。

内容は5章構成になっており、doksyo-tek的な意訳では、

  1. 読書のメリット
  2. 読書をするとどんな人になれるか
  3. 本の探し方
  4. 本からどう「得る」のか
  5. 厳選本10冊の紹介

についてまとめられています。また、巻末には各章で取り上げた本がリスト化されており、おススメ本が一目でわかるようになっています。

どの章もわかりやすく、かつ刺激的なのですが、詳細は本で確認していただくとして、ここではdoksyo-tekが気に入った3つのフレーズをご紹介します。

その1

「読書のメリット」について述べている部分から。

p27
科学にかぎらず、知性というのは「どれだけたくさんの人の立場で考えられるか」ということだとぼくは思います。それは「読む」ことによって養われる力なのであり、知的活動の現場で、実際に重要視されているのが、積極的な読書なのです。

相手のことをおもんぱかるって、人と人が関わっていく社会においては、最も大事にすべき、基本だと思うんです。そんな大事なことの基礎力は読書を通じて醸成することができるのだと。やはり読書は素晴らしい!

その2

「読書をするとどんな人になれるか」から。実用書、ビジネス書に関する話において、

p95
エッセンスとして抽出されたものは、確かに至宝です。けれどもそこからさらに進んで、自分でそれを体系化し、みずからの足でビジネス書に書かれているような成功をたどるためには、やはり具体的な「一の積み重ね」がいるのです。

ただ本に書かれているテクニックを模倣するだけではなく、「自分が人生のつくり手になるのだ」という意識で本を読んでみてください。

千里の道も一歩から。自分の血肉とするために、ショートカットは存在しません。一歩一歩、丁寧にやっていくのがいい。そして、特に後半の言葉が大事だと思う。読書は疑似体験ですが、それを真似するだけではない。自分のモノにする、自分事として捉える、自分との対比で考える。そうする意識がより血肉化を促進してくれるはずです。

その3

「本からどう「得る」のか」より。文章の好き嫌いでなく、客観的に見て優れているか否か。そんな見方について、

p188
本でもそれと同じように、「自分の好みはさておき、この人の文章は、なぜ多くの人に評価されているのか」その理由が俯瞰的にわかるようになったとき、真の"読書通"の目が備わったと言えるようになるのであって、そのとき自分の言葉も人を動かす説得力を持ってくるのです。

同感! 自分の好みや感覚で評価するのは楽ですが(ってこの3つを選んだのも、まさに好みや感覚なのですが)、やはり多くの人に評価される言葉や文章には、それなりの客観的理由が存在するのだと思います。そこまで曇りなき眼で見定めることができれば、それは読書通と自負していいのかもしれません。

オマケ

茂木流・速読のポイント(195ページ参照)。今度速読についてまとめて考察しようと思っています。その布石です。

  1. 「もくじ」を見て全体を俯瞰する
  2. 「これはちょっとおもしろそう」という見出しがあれば、その項目は重点的に読む
  3. 全体をパラパラめくって、「だいたいこんなことが書かれている」というポイントを把握する

所感

茂木さんの読書に対する考え方がコンパクトに、わかりやすく詰め込まれた一冊だったかと思います。各章末には、まとめとして5個程度の文で章の内容がリスト化しています。本当に時間がなければ、ここだけ拾い読みしてもエッセンスは伝わるのかもしれません。以下、読書リストから読んでみたいなと思った5冊をご紹介です。実際のリストは、ぜひ実際の本でご確認を~。

サラバ! 上

サラバ! 上

 
サラバ! 下

サラバ! 下

 
皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則

皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則

 
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

 
宇宙からの帰還 (中公文庫)

宇宙からの帰還 (中公文庫)

 
イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫)

イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫)

 

ラーメンズ『home』より「読書対決」

ラーメンズが、復興支援を目的としてコント100本をYouTubeにアップしたようです。

rocketnews24.com

素晴らしい試みですね!

ラーメンズと言えば、笑いと演劇の融合というか、オシャレお笑い要素が多分にあるかと思いますが(←かなりdoksyo-tekの独断と偏見が含まれます)、やはり本ブログで紹介すべきは、「読書対決」かと思います。

www.youtube.com

news篇もある!

www.youtube.com

何度見ても面白い。今見返すと、ビブリオバトルに笑いのセンスをふんだんに盛り込んだ形式のよう。ビブリオバトルも、無意識に影響を受けているのかもしれません。

ぜひ、たくさんラーメンズの映像を見て、復興支援しちゃいましょう!