速読の科学(1)
はじめに
巷には速読と名の付く本がたくさん出版されています。速読と聞くと、本当に早いスピードで読むことなんてできるのだろうか、と懐疑的な印象がぬぐえないのですが、昨年初頭、興味深い記事が公開されました。
速読は不可能である(正確には、読解の速度と精度はトレードオフである)とするこの記事のネタ元は、以下の論文になります。
この論文、30ページを超える大作です。速読研究の世界を大掴みするのに適していると思ったので、どうせなら、巷の速読法に関する本と照らし合わせながら、速読にはどのような種類があり、かつどのような効果があるのか(あるいはないのか)について整理・考察してみたいと思います。
今回、巷の速読法がまとまっている本として、次の本を選んでみました。もちろん他にも多様な手法があるかと思いますが、まずはとっかかりということで選んでいます。
各文献について
まずは書籍のほう
こちらは速読法が人に紐づいているようでしたので、人毎に整理します。(1)~(3)は方法論というより、インタビューが中心かもしれません(未読)。
次は論文のほう
非常に長い論文なのですが、前半は通常の読み(黙読)に関する読書プロセスについて、後半はその対比としてRSVPと呼ばれる速読手法を中心とする読書プロセスについて書かれているようです。
はじめに
- 要約、導入
通常の読み(黙読)
- 読書、スキミング、速読
- 読書プロセス
- 書字システム
- 視覚処理と眼の動き
- 言語認識
- 理解
- 自然な読書プロセスに関する結論
速読
結論
- 結論
進め方
あまり明確に決めていません。まずは各文献を読んでみて、主旨をまとめるとか、何らかの軸で分類するとか、そんなことをしながら速読の世界を浮き彫りにできればと思っています。読み進めていく中で、よりよい着地点が見いだせればと思います。
まとめ
ということで、次回以降、少しずつ、それぞれの速読について迫ってみたいと思います。これはだいぶ時間がかかりそうですが、何か良い知見が得られそうな気がしています。乞うご期待!
読みやすさの構成要素
読みやすさにはいろいろな定義があると思いますが、これが一番シンプルでいいんじゃないかな~という定義をしてみたいと思います。
ネタ元は、Readability: a one-hundred-year-old field still in his teens(のスライド5~6枚目)です。ReadabilityはLegibilityとComprehensibilityと異なる、ということが示されていますが、doksyo-tekは、むしろ、これら3つを併せて(日本語で言うところの)読みやすさになるだろうと思っています。つまり、読みやすさとは、次の3要素からなると言えないでしょうか。
読みやすさ:
- Legibility:対象の文の、配置(文字の大きさ・行間・フォントなど)のこと
- Comprehensibility:対象の文を、読んでわかった・理解したという度合のこと
- Readability:対象の文が、どれだけフクザツに構成されているか、ということ
1番目は電子書籍などでも議論されている、縦書き横書きの話だったり、何度かKindleを例に取り上げているフォントの話だったり、要素としては、いわゆる文字組版技術にあたると思います。
2番目は紙とディスプレイシリーズで取り上げた、人の集中度合の違いに関する話や、最近取り上げた読解方略に関する話等、どちらかというと、人間の心理・脳処理に対するアプローチが多いかなと思います。
そして3番目は、文において使われる品詞の数や、単語間の係り受けの関係、文の長さや句読点数などを解析することで文の複雑さを定量化する、計量情報学や自然言語処理に近いアプローチだと思います。
「Readability」は直訳すると「読みやすさ」ですが、日本語の「読みやすさ」には、Legibility、Comprehensibility、Readabilityの3要素が含まれている。したがって、人によってはレイアウトの話をし、また人によっては脳処理の話をする。そのような状況が「読みやすいって結局よくわからないね」という状況を生んでいたのではないでしょうか。
このように考えると、今回読みやすさは3要素からなる、と定義したことで、読書における読みやすさも、工学的に捉えやすくなるのではないかと思うのです。
参考
Kindleソフトウェアの備忘録
昨年末、Kindle Paperwhiteのファームウェアがアップデートしたのですが、その際に調べた、Kindleソフトウェア関連情報についてまとめておこうと思います。
- デバイス・ソフト別にQ&A情報がまとめられています。
- doksyo-tekのKindleは6世代なのですが、背面のロゴを見ないと思い出せないという。。まぁ似たように戸惑う人が多いからでこういうページも作られているのでしょうね。
Kindle Paperwhite(第6世代)のソフトウェアバージョンの確認方法
- 現状のソフトウェアが最新かどうか確認できます。
- デバイス別にソフトウェア情報がまとめられています。
Kindle Paperwhite(第6世代)のソフトウェアアップデート
- 最新版のソフトウェアをダウンロードできます。
- 最新版ソフトウェアを手動でダウンロードし、本体へインストールする方法です。
Kindle Paperwhiteでスクリーンショットを撮る
以上です。ちゃんと、ファームウェアも無事にアップデートしました。
図 アップデート完了
このスクリーンショットのフォントも、Amazon Ember Boldなのかしら。欧文フォントだし、そこまで興味がわかないかも(可読性の向上という意味では素晴らしいと思うけど)。前と比べて、フォントをいじるのメンドクサクなったみたいだし、まぁ、いずれ。
『戦略読書』定点観測 - 2017年1月
はじめに
昨年の振り返りを受けて、今年は少しリニューアルしてスタートです。2017年の読書ポートフォリオ・マトリクス(以下、RPM)は下記になります。
図1 2017年版のRPM
昨年の実績値を参考に、年間200冊・読書時間460時間と設定しました。また、マトリクスも変え、横軸は「鍛錬⇔趣味」、縦軸は「基礎⇔応用」としています。
定点観測
趣味-基礎
気に入ったフレーズを引用。意味が似ている浮かんでいる情報をキャッチ。世の中、そんなもんかもしれない。
p93
ネット上と同じくらいに暗示でいっぱいのこの世界、答えを指し示す矢印はやっぱりひとつだった。答えのまわりをぐるぐる回って、私は無意識のうちにこの半年くらい喪に服したり、姉の恋になにかを喚起されたり、やすみさんのメールが妙に気にかかったり、ついに麦くんの夢にたどりついたりしていたんだと思った。
この世界の混沌の中では、死んだ麦くんが私にキャッチされそうなタイミングで夢を通じてやってくることも、やすみさんが麦くんの奥さんのイメージをもたらしたことも偶然ではない。そしてそういうことはみんな、だれもが泳ぐ無意識の海の、匿名でできた世界の中では個性を持っていないのかもしれない。意味が似ている情報だけが浮かんでいて、きっとどこをキャッチしてもわかるのだ。
- 作者: カレル・チャペック,Karel Capek,千野栄一
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1920年に発表された戯曲。後書きにあるが、特徴的な3点の問題提起をしていると思う。つまり、生命倫理の問題、ロボットの奴隷性の問題、そして愛の問題である。特に生命倫理や愛情の問題は根深い。今でもAIBOを捨てられない人がいると聞くし。「生殖によって子を作ることと、人工的に子を作ること、そのどちらとも人の手による子作りに思えるし、何が違うのか」この問いへの答えはまだ、見いだせていない。
話し方に気をつければ、心理学の仕掛けが子どもに有効に働くのかもしれない。ただ、子どもの寝かしつけは毎日なのだが、繰り返し使っても効果あるのかなぁ。毎日同じパターンだと、飽きられるとか、反眠り?パターンを作り出されるとか、されないのかな。
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トミーウンゲラーの絵は、迫力と優しさがあって、やっぱり好きだなぁ。
こち亀爆売御礼!!両さん特別アニバーサリーパック!! 増刊 週刊少年ジャンプ
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年末の重版をゲット。細かいところまで手を抜かないこだわりは、プロ魂をビンビン感じちゃいます。秋本先生、かっこよすぎ。尊敬の極みです。
やはり、サザエさんの真骨頂って人間味に溢れるところなんだろうな。寅さんも、釣りバカも、サザエさんも、ドラえもんも、ダメで、でも優しくて、そんな人々の心が描かれているから、支持されるんだと思う。
趣味-応用
ウェブニュースとウェブ広告の基礎知識として。基本的な仕組みと、それを具体的なビジネス事例で(あたかも自分が担当・当事者として)語られるところがわかりやすかった。
鍛錬-基礎
なし
鍛錬-応用
とても熱量を感じる本。「めんどくさい」すら基準が変わる現代、宇宙人的視点で捉えた仮説。その仮説がドミノ倒しに広まっていく起爆剤は、たった一人の、熱くて揺るがない「気持ちいい」そのものなんだな。
あと、意外と好きなのはこのフレーズ。そうそう。日々コツコツが大事なんです。
p152
人間は、どれだけ強く決意しても、大きく変わることなどできません。変わるためには、「習慣にすること」が必要です。習慣にして、少しずつ少しずつ変わらないといけない。
物語戦略とは、シンボリックなストーリーを資源として捉えて、ビジネスモデルに組み込んで使うことで、組織が競争優位を獲得する戦い方、のこと。この本のいいところは、じゃあどうすればいいのさ、を具体的に落し込んで解説しているところ。具体的であればあるほど、イメージがわき、そうか自分の組織にも物語はあって、それを戦略的に使えるんだって思えてくる。
青空文庫の富田さんが1997年に書いた本。青空文庫設立前夜の本を、青空文庫からダウンロードしてKindleで読んだ。彼の電子書籍の正解は、パッケージにこだわりつつも、リンクすること、だったのかもしらん。
世界には本を読むための、たくさんのアイデアと環境があふれている!図書館で借りたけど、買っちゃおうかな。
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特集「私が変わる感動本2017」に惹かれて。「ビジネスの知識は「経済小説」で学べ!」というコーナーがよかった。仕事の面白さ、出世、降格、子育てとの両立、リーダーシップ、業界別、、、様々な切り口でビジネスが学べる!しかも小説で!これはお得。
分析
昨年もやりましたが、今年も可視化してみます。
今年は、まず時間と、冊数と、読書形態を可視化してみたいと思います。読書形態とは、どんなメディアで読んだかを指します。今のところ、大きく4分類にしていますが、オーディオとか、ウェブとか、異なる再生環境が必要なメディアが追加されるかもしれません。
趣味本が多いのは昨年もですね。ただマンガ、絵本は1冊30分で計算しているため、時間はさほど消費していません。あと、意外とデジタルで読んでいない。今月はごそっと図書館で借りたのが効いているかもしれません。図書館で本を借りると、返さなきゃいけないというプレッシャーから優先的に読むため、買った本(紙、デジタル)よりも先になり、結果、図書館の本が多くなるのかも。
気づき
さて、今月は、気づきというよりも、これからどう工夫していこうかという自分なりのカイゼンです。
戦略読書のキモは、他人と差別化するために、他人と違う本を戦略的に読みこなしていくことでした。
じゃあ、他人と違う本はどう選べばよいか。まずは、自分が選ばなそうな本をチョイスするのがいいのではないかと思います。
今月は読みたいものをランダムに、超並列読書をしています。そこで、まず読んだ本のキーワードや主題を抜き出します。次に、それらを組み合わせていくつかのトピックを作ります。そして、そのトピックを1つ以上含む本を選び、来月の課題図書にするのです(図3)。試みは、いきなり気張っても長続きしないので、まずは1冊だけ試してみようと思っています。
自分が選ばない本=他人とは違う本、とはならないので、これが解ではないと思いますが、このブレンドを何回か繰り返していると、差別化要因につながる本を見つけることにつながるのではないかと考えています。人力レコメンドぽいですが、吉と出るか凶と出るか。まずは試してみたいと思います。
参考
『遠読』を読むぞ
書店で手に取ってみて「うわ、難しい」と思い、図書館で借りてみて期限切れで返却し、、結局読めずにいるフランコ・モレッティの『遠読』。
みすず書房の紹介(抜粋)にはこうあります。
西洋を中心とする文学研究/比較文学のディシプリンが通用しえない時代に、比較文学者モレッティが「文学史すべてに対する目の向けかたの変更を目指」して着手したのが、コンピューターを駆使して膨大なデータの解析を行い、文学史を自然科学や社会学の理論モデル(ダーウィンの進化論、ウォーラーステインの世界システム理論)から俯瞰的に分析する「遠読」の手法だ。
ほほー。
精読(Close Reading)に対する遠読(Distant Reading)。一歩引いて、全体を眺めることで「世界の文学」なるものを丸ごと捉えてしまおうという野心的な試みかと思います。しかもその手法にネットワーク理論やデータ解析手法等、情報科学の手法を用いると。これは興味がわきます。
でも、この『遠読』、文学の知識が浅いdoksyo-tekには1行1行が難しく、とてもとてもハードルの高い本なのです(すでに2回挫折してるし、値段も高いし)。
こういう時は、ネットの書評や感想文を読み漁り、本当に読みたい本なのか否か、見極めることが大事になります。
- 書評:遠読―〈世界文学システム〉への挑戦 [著]フランコ・モレッティ - 円城塔 (作家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
- 『遠読 〈世界文学システム〉への挑戦』 フランコ・モレッティ著 : ライフ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
- 遠読 カテゴリーの記事一覧 - 訳すのは「私」ブログ
- 遠読とは読むに値しない本達への眼差し | 高橋文樹.com
- 本を読まずに文学する『遠読』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
- 遠読――〈世界文学システム〉への挑戦 - 本と奇妙な煙
以下、有料だったので、途中までしか読んでない記事。
結論。はい。やはり『遠読』に挑戦してみたいと思います。
ということで、ポチリました。やっちまった。おそらく、相当時間がかかる(2017年いっぱいで読み終えるかどうか)と思います。できれば、都度、感想などを書いていきたいなと思っています。
以下は、『遠読』に関連してるかもしれない本。翻訳者・秋月さんご推薦の本も含まれています。デジタル・ヒューマニティーズ、面白そうな研究領域ですね。日本語圏でも、もっと盛んになるといいなぁ。
- 作者: エレツエイデン,ジャン=バティーストミシェル,高安美佐子,阪本芳久
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