読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

No more tofu

はじめに

今月初め、Google Noto Fontsオープンソースのフォント)がUnicodeをフルサポートしました。

これはスゴくて、Unicodeに登録されている800以上の言語、11万以上の文字に対して、コードポイント(文字番号)と、統一されたデザインのグリフ(字形)が提供されることになりました。

developers.googleblog.com

No more tofu

NotoはNo more tofuの略です。訳すならば「もう豆腐はいらない」

なんのこっちゃでしょうが、豆腐とは、フォントがない表示環境で、描かれるべき文字が□(四角)になってしまう現象のことを言います。Googleはtofuが出てしまう環境はもういらない、というわけです。

Google has been developing a font family called Noto, which aims to support all languages with a harmonious look and feel. Noto is Google’s answer to tofu. The name noto is to convey the idea that Google’s goal is to see “no more tofu”.

使ってみよう

ということで、試しに使ってみました。

丸ごとダウンロードすることもできますが、言語別にダウンロードすることもできますし、Webフォントにも対応しています。

今回はインストールの手間とか省くため、Webフォントで表示してみました。用意したのはテスト用のHTMLファイルとCSSファイル。単純に以下のように記述しました。

テスト用HTMLファイル

<html>
<head>
<link rel="stylesheet" type="text/css" href="test.css">
</head>
<body>
<p class="msmin">芸術家にして・・・略</p>
<p class="noto">芸術家にして・・・略</p>
</body>
</html>

テスト用CSSファイル

@import url(http://fonts.googleapis.com/earlyaccess/notosansjapanese.css);

p.noto {font-family: "Noto Sans Japanese",sans-serif;}
p.msmin {font-family: "MS 明朝",serif; }

たったこれだけで、Notoフォントを表示することができました。インポート用のURLは下記サイトを参照しています。

そして、次の図がChromeIEそれぞれでレンダリングした結果です。ウェイトは指定しなかったので、Regularの400です(ちなみに、7つもウェイト展開してます!)。

f:id:doksyo-tek:20161022093054p:plain

図1.Chromeで表示(上:MS明朝、下:Noto)

f:id:doksyo-tek:20161022093132p:plain

図2.IEで表示(上:MS明朝、下:Noto)

 まとめ

デジタル読書には欠かせないフォント。今回は、その圧倒的なバリエーションの表示を実現するGoogle Noto Fontsを触ってみました。このフォントは、見た目にも美しく、簡単に使うことができる、すばらしいフォントだと思います。

ちなみに、ライセンスはSIL Open Font LicenseというUnicodeフォント用のライセンスだそうです(Apache License 2.0から変わった経緯あり)。このライセンス、不勉強でわかっていないので、そのうちまとめてみたいと思います。

おまけ

 

 

『戦略読書』定点観測 - 2016年9月

はじめに

戦略読書・9月の定点観測です。

図1は、読書ポートフォリオ・マトリクス(PRM)を整理したものです。

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図1.読書ポートフォリオ・マトリクス(RPM

定点観測(2016/09)

上記RPMに基づいて実施した9月の定点観測結果です。

ビジネス基礎

なし

 

ビジネス応用

▼礒井 純充著「本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた」(学芸出版社)
4761513454

主体は、本じゃなくて、場所じゃなくて、そこに集う人、なんだなぁ。個人の思いが地域や社会を変える。それを咀嚼することが、「体験」なんだと思う。

 

非ビジネス基礎

▼高野 和明,.著「ジェノサイド 上 (角川文庫)」(KADOKAWA/角川書店)
4041011264

▼高野 和明著「ジェノサイド 下 (角川文庫)」(KADOKAWA/角川書店)
4041011272

超面白い映画を三本分見たくらいの達成感があります!って鈴木おさむ氏が帯で言ってるけど、本当だった。アフリカ・アメリカ・そして東京。世界規模で展開される壮大な物語。小説なのに、なんだかとてもリアルで、地に足がついている感じがした。ここでも神様は細部に宿っていて、超面白かった!

 

▼秋本 治著「こちら葛飾区亀有公園前派出所 200 (ジャンプコミックス)」(集英社)
4088807731

なめてました。。発売翌日に近所の本屋さんに買いに行ったら、特別版は売り切れてました。。最後、いつものように終わってて、また来週が来そうな感じだった。こち亀はそれでいいのかもしれない。しかし、400ページの単行本マンガって、なんかもはや新しいジャンルの本の形態だな。見たことない。うん。最後まで斬新なマンガでした。ありがとう、こち亀

 

▼星 新一著「これからの出来事 (新潮文庫)」(新潮社)
4101098468

想像もつかない未来社会を覗ける、かもしれない一冊。挿絵の真鍋博さんも解説で触れているけど、「人生も社会も、錯覚の連続の上に存在しているのかもしれませんな」っていう一節、なんとも星新一ワールドぽくて、風刺が効いていて好き。

 

非ビジネス新規

▼茂木 健一郎著「頭は「本の読み方」で磨かれる: 見えてくるものが変わる70冊 (単行本)」(三笠書房)
4837925936

茂木健一郎さんのキャラクターを想像しながら読んだ。近くに彼がいて、自分だけのためにレクチャーしてくれてるってイメージ。うーむ。やはり定番化した読み方ってあるな。もう少しで、この手の読書本の鉄板、テンプレートが見えてきそうな気がする。

 

分析

以下は、9月のRPM分布と、累積(1~9月)のRPM分布です。

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図2.9月のRPM分布

f:id:doksyo-tek:20161016204633p:plain

図3.累積のRPM分布

今のところ、以下のような実績と予測になっています。

実績

 冊数時間
9月 6冊 20.5時間
1~9月 137冊 283.5時間

予測

 年間冊数※1総読書時間※2
予測値 182.667冊
(月平均15.222冊)
378時間
(月平均31.5時間)

※1 137冊÷9ヵ月≒月平均15.222冊、15.222×12ヶ月≒年間冊数182.667冊
※2 283.5時間÷137冊≒1冊あたり約2時間、約2時間×182.667冊≒378時間

9月は、年間100冊・400時間の予測値から、やや遠のいた感じです。しかしながら、高野和明ジェノサイド』を堪能することができて幸せな月でした。

そして、9月には「戦略的に読書をするためにやったこと」と題して、ここまでの活動を振り返ってみました。そこでの気づきは、以下のようなものでした(以下、再掲)。

うまくいってる点
  • とにかく本を読む量が増えている
  • いろいろなジャンルの本に興味が出てきた
  • 読み方のコツがわかってきた(気がする)
改善の余地がある点
  • 読む本のバランスが悪い:ビジネス基礎本の少なさよ・・・
  • マンガ問題:文字ものとは別に考えたほうがいい量になってるかも
  • Amazonリストの整理:ちょっと複雑すぎた。(1)未読(購買予定)(2)未読(図書館貸出)(3)読了、くらいがいいかも
  • 本棚の整理:ちょっと複雑すぎた。『レバレッジ・リーディング』を参考に整理し直すのがいい。

特に、読む本のバランスが悪く、そして、読んだ本がどのカテゴリに分類されるべきかがわからない。これらが改善されないと、どんな読書をしているのか、可視化しづらくなってしまいます。この点は、来年以降に向けてどう改善すべきか考えてみたいと思っています。

今年も残すところあと3回。さてはて。どうなりますことやら。

参考

書評『本は10冊同時に読め!』

はじめに

▼成毛 眞著「本は10冊同時に読め! (知的生きかた文庫)」(三笠書房)
B0099JL6UG

書評サイトHONZを主催されている成毛眞さんの読書論です。カバーの「そで」には、以下のような刺激的なコトバが・・・。

  • 読書に目的を持つな
  • 本は最後まで読む必要はない
  • 仕事とは関係のない本を読め
  • 「成功本」は今すぐ捨てよ

おお、なんだか、先日読んだ『レバレッジ・リーディング』と主張が真逆ですね。読み進めていくと、3色ボールペンの使用や「~力」というタイトルは良くないという主張も。。こちらは『読書力』に対する批評かなと。

こういった、読書に対する、様々な主張を並べて比較してみるのも楽しそうですね。

概要

本書は、(意訳すると)次の5章からなっています。

  1. 「超並列読書」の定義
  2. 読書がいかに楽しいものであるか知ろう
  3. 読書をするためにさまざまな努力をしよう
  4. 「超並列読書」の実践
  5. 読書案内等

特に、2~3章で述べられる読書の意義を踏まえて、4章の実践を読むと、そでに書かれたコトバの意味も少しわかった気になるかもしれません。

組み合わせる、ということ

以下、気になったフレーズを抜き出しながら、ちょっとだけ「超並列読書」に迫ってみます(こんなことしている時点で、超並列読書の真意を理解できていないと怒られそうですが・・・^^;)。

p12

「超並列」読書とは、1冊ずつ本を読み通す方法ではない。場所ごとに読む本を変え、1日の中で何冊もの本に目を通す読書法である。

ただいろんな場所で読むだけではありません。常に脳を刺激しながら(p15)、「なぜ? どうして?」を繰り返し(p22)、かつ、「何か面白いことはないかな」(p91)と探索しながら読むわけです。

そうすることで、組み合わせて理解するという行為が楽になっていく。

p30

「超並列」読書では、幅広いジャンルの本を同時に読み、異なるベクトルの情報を組み合わせる作業をくりかえす。それによって、相手が話している話と自分がすでに知っている話を組み合わせて理解していくという作業が楽に自然に行えるようになっていくのだ。

そして、

p69

仕事の幅を広げ、仕事のためのアイデアを生み出すのは、一見、仕事にはまったく役に立たなそうな「今の仕事とは関係のない本」だ。

であると。

庶民の生活を抜け出そうとか(p2)、読書の合間に仕事すればいい(p45)とか、なかなかカゲキですが、doksyo-tek的には、この、組み合わせの妙が引き起こす化学反応こそ、読書の醍醐味なのではないか、と思いました。

所感

歯に衣着せぬモノ言いは、非常に爽快で、ロジカルです。ただ、例えば組み合わせた結果どういう化学反応が起きたか、それが陽に働いた時、陰に働いた時といった事例がもう少しあっても良かったかもしれません。HONZ紀伊国屋ウェブストアを使った実践なども聞いてみたかったところです。

なお、ここでは取り上げませんでしたが、他にも5分で実践できる本の選び方や、電子書籍と紙の書籍の使い方、かっこいい本棚の作り方など、筆者の読書愛を感じ取れるトピックスも豊富に掲載されています。電子書籍版もあるようですので、ぜひ手に取って読まれることをお勧めします。

補足

今から8年も前に出版された本なので、同様のことをポストされておられる方も多数いらっしゃいます。読み比べてみるのも面白いですよ!

aniram-czech.hatenablog.com

popoon.hatenablog.com

こちらも読み比べという意味でご一読を。doksyo-tekは齋藤先生が大好きです。

▼齋藤 孝著「読書力 (岩波新書)」(岩波書店)
B00QT9XBJI

▼本田 直之著「レバレッジ・リーディング」(東洋経済新報社)
B00978ZRTU

ベストセラーを予測するアルゴリズム

はじめに

巷をにぎわしている(気がするだけ!?)ベストセラー予測アルゴリズム。ざっとググってみただけで、こんなに記事になっています。

発端となった本

予測アルゴリズムについて書かれているのは、以下の本です。2016年9月に発売。邦訳はされていません。

▼Jodie Archer,Matthew L. Jockers著「The Bestseller Code」(St. Martin's Press)
B01B1MWKIU

▼Jodie Archer,Matthew Jockers著「The Bestseller Code: Anatomy of the Blockbuster Novel」(Penguin)
B01FVDGRB6

八重洲ブックセンターで聞いたところ、入手は取り寄せで約1ヶ月くらいかかると。ひぇー。紙でもデジタルでも3000円もしないお手頃価格だし、英語の勉強になるし、内容確認が不十分であっても思い切ってポチッとしちゃっていいレベルかもしれません。

ちなみに2冊あるけど、何が違うんでしょうか。。出版社、出版日、ページ数も少し違う・・・。こういう時は、ポイントがたくさんつく赤のkindle本(2016.10.9 現在、996pt(39%)青のKindle本は596pt(23%))のほうがお得かもしれません。

で、このアルゴリズムに基づいて予測されたベストセラーがこちらだそうです。

▼Dave Eggers著「The Circle」(Vintage)
B00EGMQIJ0

ちなみに日本語版も出ています。

▼デイヴ エガーズ,吉田 恭子著「ザ・サークル」(早川書房)
B00SXTKV3G

 

この本、以前どうしても読みたいっ! と思って図書館で借りたものの、けっこうな厚みに恐れをなして結局読めずに返しちゃった本です。これはもう一度借りなければ(面白かったら買ってもよし、かな)。。

どんなアルゴリズムなの?

論文までさかのぼって検証していくのが正しいやりかたかと思いますが、残念ながら、行きつく先は著者Jodie Archer氏のスタンフォード大の学位論文になってしまい、手軽に手に入れることができませんでした。

searchworks.stanford.edu

 海外の博士論文ってどうすれば読めるんでしょうか。国会図書館のサイトとかに行けば何か情報あるのかしら。ってことで、ちょっと大変そうだったので、お手軽に先のニュース記事から、どんなことをしているのか抜き出してみました。

 現在のベストセラー・リストから、トーンやムード、話題、スタイルを読み取り、読者の嗜好や願望をアルゴリズム化し、原稿と対照してスコア化する

ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)

どんな本がよく売れるのかという方程式がある

(ギズモード・ジャパン)

著者たちが挑んだのは、全文解析という技術です。現在のベストセラー・リストから、トーンやムード、話題、スタイルを読み取り、読者の思考や願望をアルゴリズム化し、原稿と対照してスコア化するという手法

(バベル・プレス)

コンピュータに本を読ませる全文解析

ニフティニュース)

どうやら、書籍全文からいくつかの要素軸(トーン、ムード、話題、スタイル)をスコアリングし、「読者の願望」となる指標と合致する書籍をベストセラー候補として導出しているようです。

この記事によれば、80~90%の精度で予測可能だそうです。実際、ダン・ブラウンインフェルノは95.7%、マイケル・コナリーのリンカーン弁護士は99.2%の精度で予測できたとか。これ、この割合でベストセラー化を予測できたってこと。。ですよね。ずいぶん高精度だ。

ただし、ザ・サークルに関して言えば、ギズモードによると「発売以来8割がたフィクションカテゴリーのトップ50圏外」だそうで、的確な予測はそれなりに難しい面もあるのかな、と思います。

まとめ

編集エージェントのSteve Laube氏によれば、このアルゴリズムの目指すところは、文芸評論家より精緻な分析。より実践的に、より小説の細部にいたる分析ができることを目指しているそうです。

They claim “the kind of reading that computers can do gets us closer to the details of a novel than even some of the most practiced literary critics.”

ビッグデータ時代こその計量文献学、いよいよ楽しくなっていきそうです。しかし、ここまで書いたんだから原本には当たらないとなぁ。いや原著論文でもいいけど。

読んでおきたい参考文献

言葉を定量的に扱う

▼村上 征勝著「シェークスピアは誰ですか?―計量文献学の世界 (文春新書)」(文藝春秋)
4166604066

▼エレツ・エイデン,ジャン=バティースト・ミシェル,阪本 芳久著「カルチャロミクス:文化をビッグデータで計測する」(草思社)
B01HT2GYII

スタイルとか、デザイン寄り?(絶賛積読中)

▼山本 貴光著「文体の科学」(新潮社)
B00WHVQNR4

ネットワーク理論に近いの?(絶賛購買検討中)

▼フランコ・モレッティ,秋草 俊一郎,今井 亮一,落合 一樹,高橋 知之著「遠読――〈世界文学システム〉への挑戦」(みすず書房)
4622079720

動く読書 - Kindle in Motion -

はじめに

AmazonでしれっとKindle in Motionなる取り組みがスタートしているようです。

www.amazon.com

気になったので、さっそく買ってみました(227円の出費!)。「in Motion」って何かというと、リンクのサムネイルを見てわかるとおり、要は表紙とか挿絵が動くってことです。

▼Edgar Allan Poe,M.S. Corley著「Darkness There: Selected Tales by Edgar Allan Poe [Kindle in Motion]」(AmazonEncore)
B01G1YIMEO

サポート状況

Kindle in Motionの「Learn more」によれば、今のところ、以下のデバイスやアプリでサポートされているようです。

アプリ

タブレット

さすがに、電子ペーパー型の端末では動き系はキビシイか。以前、高い電圧をかけて電ぺ上の絵を高速に動かすという荒業を見たことがありますが、それじゃお話にならないですもんね。。

コンテンツの再生まで

今回は、Kindle for Android (スマートフォン)の、Version 7.3.0.45で実行してみました。

ダウンロード重い!と思ったら、300MBもある。。普通の書籍が数百KB~数MBであることを考えると、やはり動き系はオーバーヘッドが大きいな、と。自宅のWi-Fi環境でダウンロードしたのですが、何回か失敗してしまいました。。トホホ。

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で、コンテンツを再生してみると、最初に「Two ways to Read」だよ~と教えてくれます。つまり、Motionでも、テキストベースでも、どちらでも選べるようになっているよ、と。

f:id:doksyo-tek:20161003233403p:plain

アプリ右上の「Aa」ボタンを押下すると、輝度やフォントを選べるメニューが出てくるのですが、そこで「メディアを表示」が選べるようになっていました。オンでMotion、オフでテキストベースになります。

ちなみに、「メディアを自動再生」はオンだとそのページがレンダリングされると同時に再生開始、オフだと、ページ内の再生ボタンを押下することで再生される仕様になっています。

f:id:doksyo-tek:20161003233420p:plain

メディアの自動再生をオフ。▶を押すと再生される。

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あと、Motionと直接関係ないですが、Word Wiseが選べて新鮮でした(いつも日本語コンテンツしか読まないからね)。

表示する量を調節できるようで、英語の勉強もかねてたくさん表示させるのもありかと思いました(読む、というより、勉強するに近い感じになっちゃうけど)。

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作り方(たぶん)

さて、このKindle in Motion。どんな作り方なのかなぁと、当該コンテンツをいろいろいじってみました(詳細は省くよ!)。

これ、察するに、おそらくSVGCSS AnimationsでMotionをまかなっているんだと思います(JavaScriptも使えたはずですが、使ってないようです)。あくまで、おそらくですが。

こんなアツい議論も展開されています。

www.mobileread.com

kindleって元々はmobi形式で、これにDRMがかかるとazw形式になり、更に、最近では表現拡張したazw3形式(通称kf8)があります。いろいろ混在していてフクザツなのですが、Motionは、このazw3形式にアニメーションを仕込んでいるようです。

ただ、一言でCSS Animationsと言っても、様々なバリエーションがあります。つまり、通常の最新版はいわゆるワーキングドラフト版を指しますが、日進月歩で改良が加えられているエディターズドラフト版なんかもあるわけです。

そのため、Motionではどのレベルまで許容されているのかは把握しきれませんでした(現行のアプリで、どのスタイルが適用可能かは、レンダリングエンジンの描画性能に依存するし)。

まとめ

こっそりスタートしている、Kindle in Motionにスポットを当てて、ちょこっと調べてみました。

このコンテンツ、SVGCSS Animationsで動きを実現してるかもしれません(委細は不明なので、みんなで寄ってたかって何が再生できるのか試すのも面白いかもしれません)。

ちなみに、サンプル版ではMotionの再生はできないようですので、試してみたい方は、購入するか、あるいはKindle Unlimitedで探す(一部のMotionコンテンツはunlimited対象らしい。未確認)といいです。

さて、肝心のMotionが読書に与える影響ですが、これは、どうなんでしょうかね。

既に数年前にAppleiBooks authorをリリースし、動きのある、インタラクティブな出版物を提案しています。が、世の中の反応はご存じのとおりです。

Appleもテンプレを用意したり、オーサリングツールを用意したり、様々な支援策を打っていたようですが、提供者側から見て、コンテンツの制作コストに見合ったインタラクションを、まだ見出だせていないのだと思います。

反対に、利用者側からみても、何度か取り上げていますが、読書におけるインタラクティブはノイズになりうる可能性があります。この点も十分加味しておく必要があるかと思います。

大きくまとめると、インタラクションを有する読書体験は、提供者側からみても、利用者側からみても、それぞれ不十分な点が多く存在するため、まだまだ研究の余地があるのではないかと思います。

この辺りを考慮した、目からウロコな書籍を作ってみたいものです。