戦略的に読書をするためにやったこと2016
はじめに
三谷宏治さんの『戦略読書』に感銘を受け、2016年の1年間、お粗末ながら戦略読書を実践してみました。
具体的には、まず「何を読むか」「どう読むか」「どんなバランス(配分)で読むか」を可視化する「読書ポートフォリオ・マトリクス(RPM)」を作成しました。
次に読書に充てられる1日あたりの現実的な時間から、「1年間に100冊、400時間読む。」という目標値を設定しました。
本記事は、1年を通じて戦略的な読書はうまくいったのかどうか、振り返りつつ、2017年につながる戦略読書の方向性を見いだしてみたいと思います(既に2017年が1ヶ月以上過ぎていることはナイショ)。
2016年の取り組み概要
2016年の取り組みは、大きく以下の3点に分けられます。
- 年のはじめの方針策定
- 毎月の定点観測
- 振り返り
1は「はじめに」に示した通りです。
2では、毎月の読書の定量化(どのジャンルの本を、何冊・何時間読んだかグラフ化する)と一言読書感想、そして気づきメモ(試行のフィードバック)を記しました。
3は6か月後、12か月後に振り返りをまとめました(本記事は12か月後の振り返りに該当します)。
読書の定量化
RPMを可視化するため、毎月/累積それぞれの、冊数・時間をグラフで示しました。年間を通してみてみると、以下のようになりました。
また、当初設定したRPMの各ジャンル目標に対しては、以下の達成率でした。
一言読書感想
3月の記事によれば、以下のように述べていました。
リーディング・フローの「活用ステップ」の一環として、一言感想文を付けてみました。自分メモレベルです。でも、言語化すると思いのほか丁寧に読み返す作業が発生し、その分、記憶の定着と言いますか、頭に残っている感じがします。この作業はもう少し深掘りしていってもいいかもしれません。
記録は続けており、感想メモがたまりつつあります。ただ、掘り下げはほとんどできていません。ちなみに、感想メモは本ブログにも記していますが、基本的にはブクログで読了/未読の管理をし、本のStandで感想メモを記しています。
このあたりのフローは明文化していなかったと思います。今度まとめて管理活用法を記しておきたいです。
気づきメモ
定点観測では、様々な気づきを得ることができました。以下、毎月の気づきメモです。実際に試しているだけあって、それなりに気づきがあり、また、場合によっては都度改善できたのはよかったかと思います。
1月
- マンガは読むスピードが早いため、時間を再設定(4時間/冊 → 30分/冊)
- 「ビジネス基礎」で読みたい本を決定(経営系20冊、情報系15冊)
2月
- 「ビジネス基礎」は読むのが大変なので、時間を再設定(4時間/冊 → 5時間/冊)
- 読むことに注力できるよう、読書前後の行為を整流化(リーディングフローの記事)
3月
- 読了本に対して、一言感想メモを残すことを決定
4月
- 「ビジネス基礎」の読む気が起きないが、とりあえず様子見
5月
- 読むことに注力できるよう、「いつ」「どれ」で読むかを設定
- (1)通勤時 → スマホ
- (2)自宅のデスク → 紙
- (3)自宅のリビング → 専用端末
6月
- audibleを試したが、聞き流しが発生。慣れるまで様子見
7月
- 読書時間が捻出できず。「読み始め」の能動性の壁(TV等と異なり、取り掛かりは自分の意思が必要)の高さによると認識
- audibleの様子見は継続
8月
- 読書の楽しさを改めて実感(夏休みに読書三昧)
- audibleは効果を見い出せず、解約
9月
- 読書の楽しさ実感、継続中
10月
- ガッシリした重い本を楽しめるようになった(気がする)
- 読み方の「型」ができつつある(気がする)
- (1)丁寧に読み、気になるフレーズに付箋する
- (2)まとめた時間を取らず、細切れに読む
- (3)読書再開時にこれまで付箋をつけた箇所を見返す
11月
- 月またぎになる本の集計をどうするか、要検討
- 小説が面白くなる
12月
- RPMが読書ジャンルにそぐわず、分類割り振りが煩わしくなる
振り返り
本当は半年(つまり7月くらい)で振り返る予定が、ズルズルと9月半ばに中間の振り返りをしました。以下は、当時まとめた、うまくいっている点と、改善の余地がある点です。
うまくいっている点
- とにかく本を読む量が増えている
- いろいろなジャンルの本に興味が出てきた
- 読み方のコツがわかってきた(気がする)
改善の余地がある点
- 読む本のバランスが悪い:ビジネス基礎本の少なさよ・・・
- マンガ問題:文字ものとは別に考えたほうがいい量になってるかも
- Amazonリストの整理:ちょっと複雑すぎた。(1)未読(購買予定)(2)未読(図書館貸出)(3)読了、くらいがいいかも
- 本棚の整理:ちょっと複雑すぎた。『レバレッジ・リーディング』を参考に整理し直すのがいい。
改善の余地がある点に関して、Amazonリストの整理を行いました。複雑だったリストも、以下のようにスッキリ。
ただ、定期的に「購買予定」から「積読」「図書館」に移行したいのですが、なかなかできず、「購買予定」が膨れ上がっています。こんなに読めるのか・・・
また、単発的に、この取り組みを通じて得た気づきを、リーディングフロー(読書の前後行為の整流化)に関する記事として記しました。なかなか理想のようにはいきませんが、少しずつ自分に染み込んできているかと思っています。
まとめ
戦略読書1年目。まずは実践してみて、少しずつではありますが、自分の読書スタイルが形成しつつある気がします。
以下、良かったと思う点と、反省点です。
良かったと思う点
1) 記録を付けるようになった
もともと好きな読書。これまでは読みっぱなしが多かったのですが、記録と感想を丁寧につけるようになりました。そのため、読書に関する個人的な基礎データがたまりつつあります。これをもとに、読書傾向等、深い分析に活用してみたいところです。
2) 読むことに注力できるよう、前後行為の整流化を試みた
「リーディングフロー」と名付けた整流化。まだまだ粗いですが、日常の様々な場面で「すぐに」読書に集中できる環境を整えておくことは、効率化の観点からも、知識吸収の観点からも、とても重要なことだと思います。リーディング・ライフハック的に、今後も追及していきたいです。
3) 読み方の「型」ができつつある
リーディングフローの一環です。気づきメモ10月でも述べましたが、(1)付箋する、(2)細切れに読む、(3)読み始めに付箋を見返す、ことが、自分の読書スタンダードになりつつあります。また、付箋箇所の抜き書きや読み返しといった「つづき」も生まれつつある。このような「型」を強固にしていくことは、とても大事なことだと思います。
反省点
戦略読書は、個人の知識がコモディティ化しないために「何を」「いつ」「どこで」読むかを考える点がポイントです。その意味で、この1年は読書の記録・可視化・整流化に注力し、戦略的な活動、特に「何を」読むかについてはあまり実践できなかったと思います。
例えば、「ビジネス基礎」ではえいっと古典を選びましたが、それは本当に古典(=みんなに支持される本、の意味で使ってます)なのか。今の自分が読んでいいタイミングなのか。あるいは、読むべきものなのか。
例えば、マンガは娯楽的要素が強いものと、知識習得的要素が強いものがあるが、どちらをどれだけ、そしてどんな内容のマンガを読むのが、自分にとって最適なのか。
2016年の読書には、全て「これは読むべきものなの?」が付いて回りました。
他人と差別化するために、他人と違う本を戦略的に読みこなしていく。そこに重きを置くならば、この1年で培ってきた記録・整流化・型を持続しつつ、「何を読むか」をもっとシステマティックに考えていくべきなのだろうなと思います。
さいごに
ということで、2017年も戦略読書継続したいと思います。2017年のRPMは以下のように更新してみました。
2016年の値を参考に、時間・冊数・エリアを再配分しました。年間で200冊、460時間の読書時間が試算です。
横軸は、これまでビジネス/非ビジネスだった分け方を、鍛錬/趣味に分けました。また、縦軸は基礎/応用・新規だった分け方を、基礎/応用に分けています。
このRPMに至った経緯は、別の記事で改めてまとめておこうかと思っています。
さてさて、これで2017年を走り切れるか。コモディティ化しない読書、戦略的な読書の実現に向け、少しずつでも前進できたらうれしいな。