読書的ニュース2017-05
Twitter(@doksyo_tek)につぶやいた#読書的ニュース、2017年5月分です。
モーメントは自分の切り口でツイートを編集できるので良い機能だと思います。今はハッシュタグと時間だけで分けてますが、内容や視点などを軸としたモーメントを作ってみるのも面白いかも。
『戦略読書』定点観測 - 2017年3月
はじめに
下記は、今年の読書ポートフォリオ・マトリクス(以下、RPM)です。昨年の実績値を参考に、年間200冊・読書時間460時間、マトリクスは横軸が「鍛錬⇔趣味」、縦軸が「基礎⇔応用」にアップデートしました。
図1 2017年版のRPM
定点観測
趣味-基礎
のび太の結婚前夜/おばあちゃんの思い出新装完全版―映画ドラえもん (てんとう虫コミックスアニメ版 映画ドラえもん Vol.)
- 作者: 藤子不二雄F
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/11/25
- メディア: コミック
- 購入: 5人 クリック: 32回
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何度でも泣ける名作2本セット。本編はアニメセルだが、「原作とアニメの違い解説」も付いており、読んでいて楽しい。
趣味-応用
電子書籍の未来については特に気になった部分だったので、別途書評記事を書きました。詳細はそちらもごらんください。業界関係の人が見ても、そこそこ的確な感じ。ただ、その分予測できそうな未来が語られており、目の覚めるような未来は語られていなかったのが残念。まぁ、論理的な経営者は夢物語よりも現実的な未来を語るほうが正しいよね。
鍛錬-基礎
なし
鍛錬-応用
BRUTUS(ブルータス) 2017年 1/1・1/15合併号[危険な読書]
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2016/12/15
- メディア: 雑誌
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「危険な」切り口はたくさんある。荒唐無稽、特殊、狂気、異常、思想、、等々。ここに取り上げられている本は、どっぷり浸かってはいけないと思いつつも魅力的で、引き寄せられる力を持っている。あぁ、読みたい。どんな本かは、本編でお確かめ下さい。
BRUTUSの「危険な読書」特集にも通じる本。こちらは、専門書・芸能本・ノンフィクション・趣味本等、本のジャンル別に変わり種を収録。危険ではないが、興味本位でのぞき見したくなる。
分析
以下は今月のRPMです。棒グラフが冊数、折れ線グラフが読んだ時間です。
3月はTwitter等、他メディアに確実に時間を吸い取られました。本読みたいなぁと思いつつも、ついついSNSに時間を奪われる。そんな月でした。
読書形態(紙、図書館、スマホ、専用端末)ですが、3月は紙のみ。図書館の本も、借りたけど読まずに返していました。
従いまして、あまり分析要素がありません。月4冊って定点観測始まって以来の低水準かもしれません。。材料がないと、分析もやりずらいなぁ。
続いて、累積のRPMです。
3月の読書傾向が微妙だったこともあり、累積のグラフが三角屋根の形をしていることに変わりはありませんでした。
ちなみに、学習要素が高い両端の「鍛錬‐基礎」と「趣味‐応用」、2月までは0冊でしたが、3月は親書を1冊読んだので、かろうじて変化が見てとれます。
次に読む本
戦略読書のキモは、他人と差別化するために、他人と違う本を戦略的に読みこなしていくことであるとし、組み合わせて自分が選ばない本を選んでみるという作戦を考えました。下図はその手法を図示したものです。
この仕組みに則り、2月に選んだのは、以下の本でした。
- 作者: 宮下洋一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/06/05
- メディア: Kindle版
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そして、3月の読書状況を見てお分かりの通り、まだこの本、読めておりません。次に読む候補としてストックしておき、図書館や書店に赴いた際には、積極的に手に取ってみようと思っています。
さて、3月はイマイチでしたが、4月挽回なるか。最近さぼっていた定点観測のまとめ、どんどん出していこうと思います!
参考
読書的ニュース2017-04
4月から、Twitter(@doksyo_tek)のモーメントにまとめることにしてみました。#読書的ニュースをつけて日々のニュースをつぶやき、月1回、こちらにもまとめを投稿します。まだまだ実験的ですが、しばらく試してみることにします!
ということで、まずは2017年4月分です。
書評『鈴木さんにも分かるネットの未来』
はじめに
本書はドワンゴ創業者でカドカワ社長の川上量生(かわかみのぶお)氏がネットの未来について論じた本です。
「鈴木さんにも分かる」とは、川上氏が弟子入りしていたスタジオジブリの鈴木敏夫氏に説明する(=ネットに詳しくない人に説明する)というスタンスを取っていることに由来します。
目次を眺めますと、ネット社会やネット世論から始まり、コンテンツ、プラットフォーム、電子出版、テレビ、集合知、ビットコイン等、多岐に渡ってネットトレンドが網羅されています。
この中で、やはりdoksyo-tekは「電子書籍の未来」が気になりました。そこで、今回は『鈴木さんにも分かるネットの未来』の「電子書籍の未来」について書評してみたいと思います(従いまして、本書全体の書評にはなっていません)。
本の未来
電子書籍というと、よく紙の本 VS デジタル本という構図で語られることが多いのですが、冒頭、川上氏はズバリ紙に未来はないと切り捨てています。
p211
結論から先にいうと、紙の本が電子書籍に置き換えられるのは避けられない未来だというのがぼくの見方です。
デバイスの携帯性、省スペース性、テキスト化による検索性、紙代・印刷代・物流代の削減によるコスト性。そのすべてにおいて、紙に勝っているため、というのが理由です。
こういう周辺が整いつつあることはわかります。では、肝心の本そのものはどうでしょうか。川上氏は未来の電子書籍は以下のように進化していくと見立てています。
p215
- テキストや画像だけでなく、音声や動画などのいろいろなデータを取り込んでマルチメディアの電子パッケージ媒体になっていく
- 自動的に内容が更新、追加されるようになる
- 検索、引用、メモ、読書記録の自動保存など、読書体験の進化
- 他人と読書体験を共有できるようになる(ソーシャルリーディング)
- 本の非局在化。自分の持っている本は、ネットワークにつながっていれば、どこでもさまざまなデバイスで読めるようになる
さほど新しくない分、十分実現できる、あるいは既に実現されている技術で構成されています。例えば、1。いわゆるマルチメディアは、EPUBがHTML5で構成されていることや、Kindle in Motionのような取り組みを通じてわかるところです。他にも、内容の追加・更新、メモや下線の共有はKindleその他で実現されていますし、ソーシャルリーディングサービス(本のStand、ブクログ、読書メーターなど)、いつでもどこでもデバイスに依存せずに読める環境等も整いつつあります。
これからの電子書籍に求められるもの
現在の電子書籍に足りないもの、そしてこれから求められてるものについて、彼はこのように語っています。
足りないもの
p219
電子書籍の大きな欠点は、読んでいるとき以外は、どこにあるか目に見えないということです。
求められるもの
p227-228
現在のウェブでの情報の爆発にともなう内容の低レベル化を考えると、無料ウェブで広がっているハイパーリンク網とは別に、有料の電子書籍間でのハイパーリンク網が、インターネットの新たな知のネットワークを構築する可能性があるんじゃないかと期待しているのです。ウェブの知のネットワークを電子書籍が担うようになれば、むしろ電子書籍はインターネットによって最も成功したコンテンツの地位を得られるのではないでしょうか。
「足りないもの」は同感です。
本を買ったものの読まずに積み上げておく行為を積読と呼びますが、積読は物理的に目の前に本が積みあがっているため、読んでいない本が圧迫感と共にそこに存在しています。
それに対し、電子書籍は、アプリケーション内部に本棚はあるものの、そのアプリを起動させなければ、一切目に触れることはありません。読みかけの本、または読んでいない本がありますよ、といったプッシュ通知もありません(と書いたけど、プッシュくらいならサービスでありそうだな)。
このあたり、読者に読まなきゃ!と思い出させつつ、かと言ってしつこくないように読書を促す、電子積読を解消する技術は今後の電子書籍発展に大いに役立つ技術だと思われます。
一方、「求められるもの」はどうでしょうか。有料・無料で差別化できる知識ネットワークが形成される世界。それは一つの解なのかもしれませんが、doksyo-tekはイマイチだと思っています。
有料であるとは、プロが編集しているため、内容の事実確認や言葉使いが担保されていることに対する対価なのだと思っています。であるならば、wikipediaに代表されるようなネットワーク上での相互編集・相互管理が昇華すれば、それはプロ編集者と同等の品質を保てるのではないかと思うのです(もちろんそこに編集者として参画するユーザへの対価は必要かもしれませんが)。
つまり、有料・無料による差別化ではなく、どれくらいたくさんのユーザの目でチェックされたかによる差別化です。「有料の電子書籍間でのハイパーリンク網」が価値のあるネットワークなのではなく、「多くのユーザに評価された電子書籍間でのハイパーリンク網」に価値があるのではないかと思うのです。
所感
今回は、カドカワ社長の川上氏によるネット論、とりわけ電子書籍論についてまとめました。紙が電子に置き換わりつつある状況の中で、堅実に機能強化をする一方で、電子積読の解消や、知識ネットワークの形成等、来るべき未来を示唆する、いい本でした。
オマケ
ネットを語るなら、とりあえずこの本も読んでおこう、と思うものを挙げてみます。
【全15巻合本版】角川インターネット講座<角川インターネット講座> (角川学芸出版全集)
- 作者: 村井純
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川学芸出版
- 発売日: 2015/11/25
- メディア: Kindle版
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読書的ニュース2017-01~03
2017年1月~3月の読書的ニュースです。
もう3月も終わってしまいましたが、1~3月分をまとめます(毎月何日に発行、って決めたほうが良さそうだな、これ。当初は月に2~3回って息巻いていたのに、この体たらくぶり。。いやはや)。あと、読みやすいレイアウトを求めて、少し改変。まぁ毎回ちょこちょこしてますが。簡単さと見栄えの良さの、ちょうどいい妥協点を探っていきたいです。
▼小説家の手作り「豆本」が凄い! ため息出るほど小さく精巧 - Excite Bit コネタ(1/3)
かわゆい。。製本の一ジャンルを築いてるよなぁ。
▼AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース
2016年11月の記事。東ロボくん開発をしていた先生が、「わからない」という子は「読めていない」ことに着目し、どのくらい読めているのかを測る読解力テスト「リーディングスキルテスト」の開発に至ったとのこと。このテストは大いに参考になりそうなので、別記事で深掘りしたいと思います。
参考
- 東京新聞:学習到達度の国際調査 日本「読解力」は8位に後退:社会(TOKYO Web)
- OECD生徒の学習到達度調査(PISA):国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research
▼「本の未来」を考える―出版業界のキーパーソンたちに聞く - Yahoo!ニュース
"本の未来がどうなるかは、結局、「読者が何を求めるか」。"
スマホ1台であらゆるメディアを享受できるようになっている、という点において、読者の求める「面白さ」は出版に限らないのは当たり前。キーの一つは、KADOKAWAさんが言うように、UGCなのではないか。特に、中高生の若い世代はとてつもないスピードで、TwitterやInstagram等のSNSプラットフォームを介してUGCを生み出し、シェアしている。その中で、文字ものをどう露出していくのか。そこが本の未来の一つの形だと思う。文字って意外と個性的なので、映像や音声に負けないコンテンツ力を持っていると思うし。
▼ITコーディネータの仕事 - 店内在庫検索を含む書店業務をITで変革:ITpro
書店業務のIT改革が、広がる広がる。こういう地道な取り組みが、高いレベルのサービスを作っていくんだろうな。いい話。
▼『三省堂国語辞典のひみつ 辞書を編む現場から』三省堂国語辞典の行間 - HONZ
"本書を読めば、三省堂国語辞典のすべての項目は、なるべく文字数を減らしつつ、情報を削らない、という一見矛盾するような理念によって支えられているのはおわかりかと思います。"
真剣な、モノづくりの現場より。
▼絵本が家に100冊以上!?勝手に絵本好きな子どもに育つたった3つの理由 - 旅するように学ぶ
やはり、身近な、気軽に手に取れる距離にいろんな本があるってことが大事。原体験はとても貴重なので、実践していきたい。
▼[ブックレビュー]読み方を変えると人生も変わる?--「1冊20分、読まずに『わかる!』すごい読書術」 - CNET Japan
昨年秋の記事です。これ、図書館で借りた本に対して試してみたい。ただ、インプットをあまりにも効率的にすると、結局忘れてしまって時間の無駄だった、ということにならないだろうか。スキミングのメソッドの一つとして捉えるのがよいかな。
▼クロノス・クラウン、小説の推敲補助ソフト「Novel Supporter」を無償公開 - 窓の杜
へぇ。ちまたではword2vecが流行ってるみたいだけど、言葉そのものの解釈、というアプローチを取らない点が面白い。小説を書く方々から見たら、どうなんでしょ。てか、最近の小説家はどんなツールを使って執筆してるのだろうか。案外、スマホでフリック入力してたりして。
▼ロボット・機械漫画のおすすめ作品を紹介する。ロボットたちが活躍する面白い漫画 - 漫画ギーク記
おおお。この切り口は面白い。読んでみたいマンガが目白押し。特に『スキエンティア 』が気になった。科学系×ロボットってロマンがあって好きです。
▼HEAPS Magazineー時代と社会の、決まり文句に縛られない。
ECの進化形。テキストメッセージによる販売。いわゆるチャットボットな世界だけど、これ、本にも応用できないかな。今は閉じちゃった?みたいだけど、本のフミカ(本のアプリStand)みたいに本をサジェストしてもいいし、本情報の口コミでもいい。本そのものを作る(執筆)支援みたいなこともできるかもしれない。おもしろいなぁ。
昨年来取り組んでいる、戦略読書の古典(<鍛錬読書-基礎>カテゴリ)を選ぶときの参考になる。歴史的に殿堂入りしている作品を読んで、物事の本質に近づきたい!
▼「学校司書」効果あり 全モデル校で貸出数増|カナロコ|神奈川新聞ニュース
子どもにもコンシェルジュは必要。本好きの子って、親がコンシェルジュの役割を果たしていることが多い気がする。ところで、この仕組み、チャットボットが代行できそう。図書館司書ボット。
▼女に立ち読みさせろ。人間の心理を知り尽したコンビニのレイアウト - まぐまぐニュース!
窓際に女性がいるとホイホイ効果があるとか、そういう話かと思ったら、導線と雑誌の配置の話だった。手前から奥にかけて、女性誌→情報誌→マンガ→男性誌。最近はいろんな亜種もあるよね。マンガだけ独立とか。こないだ入ったコンビニは、入り口にテーブルがあって、そこに新刊雑誌が面陳されてた。あれはビックリしたな。
▼読書を習慣化し、記憶に定着させる簡単な方法 - オンクログ~恋愛工学実践してみた~
たまたま見つけたんだけど、かなりの良記事。読書を習慣化して、かつ記憶に残す手法を、彼女に説明するという簡単?な行為に落とし込んでいる。とくに、相手の反応を見つつ話に緩急をつける会話デザインは秀逸。人に話すと記憶が定着するって、齋藤先生も言ってたな。