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読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

Kindleの読書環境設計(3)

前回前々回の続きです。Kindleの読書環境最適化について機能面から詳説し、考察します。

(4)ハイライト

これはいわゆる下線を引く機能です。当該の本を読んでいる最中にも参照できますが、おススメは「your highlight」というWeb上で下線箇所を確認できる機能です。

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図3.Your highlight

このページを見ると、本をまたいで横断的に下線を眺めることができます。例えば、

西田幾多郎
人は往々何々の本はむつかしいという。ただむつかしいのみで、無内容なものならば、読む必要もないが、自分の思想が及ばないのでむつかしいのなら、何処までもぶつかって行くべきでないか。

織田作之助
結論がたやすく抜き書きできたりするような書物はだから僕には余り幸福を与えてくれない。抜き書きをしない代り絶えず繰りかえし読む、これが僕の唯一の読書法である。

三木清
よく理解するためには全体を知っていなければならず、すべての部分は全体に関係づけられ、全体から理解されることによって、初めて真に理解されるのであり、そのためには繰り返して読むことが必要である。

 といった感じで、皆「本は内容がわかるまで繰り返し読め」と言っていることがわかります。もちろんこれはほんの一例ですが、時代も背景も異なる人たちが横断的に見て同じことを言っていると説得力が増しますよね。

こんなお気に入りの機能ですが、改善点もあるかと思います。具体的には、他人とのハイライト共有機能です。アプリケーション上でオンオフが設定できるのですが、最初からオンにしていると、最初から下線が出てきて、つい内容を引っ張られてしまいます。また、多くの人がそれぞれに下線を引いているので、本が下線だらけになる恐れもあります。

かつてソーシャルリーディングが流行った(流行った?)時、著名人の下線を共有できるってことが売り文句でしたが、Kindleでは特定ユーザの下線だけを表示させるようなことはできるのでしょうか(調べればいいだけなのですが)。

(5)X-Ray

日本では2014年12月にスタートした機能です。X-Rayの文字通り、本の骨組みをレントゲンを撮るかのごとく見せてしまおうという機能です。またまたユーザーズガイドを引いてみると、以下のような説明があります。

X-Ray機能は1度タップするだけで本の「構成要素」を確認できるツールです。

例えば、特定の概念、架空のキャラクター、歴史上の人物、それらに関係のある場所やトピックを含むすべての文章を見ることができます。X-Ray機能が使用できない場合、ボタンは無効化されます。

 まさに、計量文献学の世界ですね。Wikipediaを参照することで、より深い知識を得ることもできます。

この機能については、改善点というか、もはやチャレンジ領域ではありますが、もう一歩進めて、文章要約ができるとうれしいですね。時間がなくて骨子だけを掴みたい人や興味がないけど流行り本だから概要を知っておきたい人にはおススメの機能になるかもしれません。いや、要約の難しさはわかってるつもりなので、そう簡単に実現するとは思っていませんが・・・。

以上、Kindleが持つ機能の効果と改善ポイントを交えながら、読書環境の最適化について考えてみました。今回挙げた機能の中で、特に気に入っているのはハイライト機能です。複数の本から得た知見を横断的に観察できるのはすばらしい。多層的な構造から得る知見もこれまでにはない新しいものになるのでしょうか。

最後に、上記で取り上げなかったけれど考えているメモをつらつら書き連ねて終わりたいと思います。

頻繁なページ移動を伴う参照には向かない

紙は基本的に一覧性が高く、行ったり来たりに向いている。全体の中でどこにいるのかも把握しやすい。これらを打破するUIは?

立ち読み機能は紙の立ち読みとは異なる

全体を俯瞰的にパラパラできる紙に比べ、最初の数ページしか読めない機能は立ち読みと言い難い。最初の数ページ(無料で読める部分)の構成や言い回しにかなりのエネルギーを注ぐ本が増えるかも?

本の中のリンクの取り扱い

リンクが持つ「その先に有用な情報があるかも」感はすごい。ストーリーを深く知ることができるかもしれない反面、ノイズになる可能性もある。本はパッケージかWebの代替か、の議論の延長線。

他のコンテンツとの戦い

スマホアプリだと、映像も音楽もゲームも楽しめる。受動的に楽しめるコンテンツが多い中で、能動的な働きかけを要する本はどう戦っていくべきなのか。

版面サイズとフォント、色など

ここは大きなテーマなので一度ちゃんと考えたい。アクセシビリティ的には可変はあり。実際どれくらいの人がリフローさせたりナイトモードにしたりしているのか。可変であることと可読性の関係。

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