AIブックコンシェルジュ
はじめに
2016年10月28日(金)~11月10日(木)の間、青山ブックセンターでAIブックコンシェルジュのイベントが開催されたようです。
AIブックコンシェルジュとは、AI(人工知能)を搭載したロボットが書店員に代わって本のオススメをしてくれるというもので、今回のロボットはFRONTEOのKibiro、解析用の人工知能には同社が開発したKIBITが使われています。また、解析で用いるデータには、Booklogのブックレビューデータが使われているようです。
AIブックコンシェルジュのしくみ
夏頃、いわゆるチャットボットであるフミカbotが本をおススメしてくれる話について言及しましたが、KibiroのKIBITはさらに少し進化しており、ユーザの好みに合わせたオススメをしてくれます(フミカbotのロジックの延長にKIBITがあるかわからないので、進化という表現は不適切かも)。
KIBITは以下のステップで人間の判断を実現する、いわゆる教師ありの機械学習エンジンです。
- 非定型の自然文から、形態素解析によって品詞の特定や単語の抽出を行う
- 単語やセンテンスの重要度をユーザの判断毎に算出し、特徴軸を最適化する
- 最適化した特徴軸に沿って、他のデータに含まれる単語や単語間の関係を評価(スコアリング)する
- ユーザの意図に合致する可能性が高い順にデータ全体を並べ替える
今回は、ユーザがベストセラー30冊からピックアップした本(のBooklogレビューデータ)を用い、ユーザの特徴軸(好み)を抽出し、それにより近しい特徴軸を持つ本をおススメ本として返しているようです。特徴軸って、特徴量のことでしょうか。
簡単な解説は下記に、詳細なアルゴリズム等は「研究開発報告書」に記載されていますので、ご興味があればどうぞ。
世の中の反応
所感
これからという感じが強い人工知能ですが、技術面においては、様々なシーンに浸透しつつあり、その存在感たるや目を見張るものがあります。
ただ、今回のようにAIが本をおススメすることについては、今一度考察があってもいいかもしれません。
例えば、Amazonのオススメ(この本を読んでいる人はこの本も読んでいます)、ちょっとうっとおしいなと思った方、けっこういるのではないでしょうか。オススメって意外と難しく、適切な人が、適切なタイミングで、適切な本をおススメしないとハマらない、けっこう難易度の高い行為なのだと思います。
近年のデータ解析技術を使えば、適切なタイミングやタイトルの推定はできるかもしれません。しかしながら、もっとも重要な要素は、それを「誰が」オススメするか、ということなのではないかと思うのです。
自分が尊敬する人、自分が愛する人、あるいは、自分が試してみたい体験を既にやっている人、などなど。。ロボットではそう簡単に真似できないことかもしれません。Kibiroにせよ、フミカbotにせよ、ユーザが「満足のいくオススメをしてくれた」と思うには、そのユーザにとって大事な「誰」になれているかどうか、信頼性の高いユーザ体験を提供できる存在になれているかどうか、が重要なのだと思います。
参考

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