文化財にみる読書
本ブログ的には、おなじみ『読書』の絵を直接見ておきたいと思ったわけです。夜に立ち寄ったのですが、閉館間際まで人が多く、人気の展覧会のようでした(混み具合はこんな感じ)。
『読書』は、1981年(明治24年)にフランスの展覧会(サロン・デザルティスト・フランセ)で初入選した時の作品だそうです。フランス・パリ近郊のグレー・シュル・ロワンという村のマリア・ビヨー(当時20歳)という娘がモデルだとか。
黒田清輝は「外光派」と呼ばれ、光の表現技法を追求した画家のようです。なるほど、確かに素人が見ても、木漏れ日の中で文字に目を走らせている女性の姿はとても印象的で、ついつい立ち尽くしていろんな角度から見てしまいました。
『読書』を眺めていてふと思いついたのですが、他に読書をモチーフにした作品ってどんなものがあるのでしょうか。けっこういろいろな表現があるのではないかと、俄然気になってきました。
まずはGoogle検索
そこで、まずはGoogle先生で画像検索してみたところ、たくさん出てきました。
- ジャン・オノレ・フラゴナール:読書する女
- ジャン・シメオン・シャルダン:画家ジョゼフ・アヴェドの肖像
- ベルト・モリゾ:読書(パラソル)
- フィンセント・ファン・ゴッホ:アルルの女
- クロード・モネ:草原(ブゾンの原)、等々
どうも、「読書、絵画」という検索キーだと本を読んでいる女性(洋画)が多いように見えます。これは他の技法(日本画、水墨画、版画等)やモチーフ(男性他)についても調べてみたいと思いました。
美術作品の調べ方
他の技法やモチーフを調べるにはどうしたらよいのか。こういう時は、図書館の人に聞く感覚で、「レファレンス協同データベース」を検索してみました。このDBは、これまで図書館のカウンターで質問された内容がまとめられています。ゆくゆくは、チャットボットのようなAIに置き換わるのかな。ま、それはさておき確認してみると、、、
▼美術作品、画家の調べかた | レファレンス協同データベース
なるほど、いろいろな調べ方があるんですね。今回はお手軽に「文化遺産オンライン」という文化財の横断検索ができるシステムを利用してみることにしました。
文化遺産オンライン検索
文化遺産オンラインは日本の文化財のポータルサイトのようなところで、国内の様々な文化財を横断的に調べることができます。ここで「読書」を引いてみると、、おおー、出た出た。多岐のジャンルにわたり、読書にまつわる作品を見ることができました。
サムネイルを眺めてみると、やはり女性と読書って親和性が高いのかもしれません。まぁ絵になると言えばなるけど。これが世界になるとどうなるのか。今度は世界の読書について調べてみました。
Europeanaで検索
Europeanaは文化遺産オンラインの欧州版のようなもので、欧州域の様々な文化財(絵画、写真、映像、書籍等)をアーカイブして公開しています(私見ですが、日本は運営やデータ収集、公開の手法など、様々な点でEuropeanaに見習う点がたくさんあると思っています)。このEuropeanaのコレクションを「Reading、Books」で検索してみました。
世界中にはたくさんの「読書」関連作品がありました。写真も多めで、様々な読書風景が楽しめます。
たとえば、だらけて(失礼?)読書する男(Free access)とか、
西洋風の巻物(CC BY-NC-SA)とか、
立体視のフィルム(Public Domain Marked)とか!
いずれも詳細はEuropeanaでご確認いただきたいものばかりです(画像にEuropeanaへのリンクを貼ってあります)。
最後に
今回は、黒田清輝『読書』をきっかけに、様々な読書作品を眺めてみました。たまには、何かのテーマを、別の切り口から見てみると刺激があって面白いかもしれません。実際、今回は「読書」を文化財視点で見ることができて、とても楽しかったです。
あと、こういう遊びがきっかけで、ホンモノを見に行くのも、アリですね。