書評『本は10冊同時に読め!』
はじめに
▼成毛 眞著「本は10冊同時に読め! (知的生きかた文庫)」(三笠書房)
書評サイトHONZを主催されている成毛眞さんの読書論です。カバーの「そで」には、以下のような刺激的なコトバが・・・。
- 読書に目的を持つな
- 本は最後まで読む必要はない
- 仕事とは関係のない本を読め
- 「成功本」は今すぐ捨てよ
おお、なんだか、先日読んだ『レバレッジ・リーディング』と主張が真逆ですね。読み進めていくと、3色ボールペンの使用や「~力」というタイトルは良くないという主張も。。こちらは『読書力』に対する批評かなと。
こういった、読書に対する、様々な主張を並べて比較してみるのも楽しそうですね。
概要
本書は、(意訳すると)次の5章からなっています。
- 「超並列読書」の定義
- 読書がいかに楽しいものであるか知ろう
- 読書をするためにさまざまな努力をしよう
- 「超並列読書」の実践
- 読書案内等
特に、2~3章で述べられる読書の意義を踏まえて、4章の実践を読むと、そでに書かれたコトバの意味も少しわかった気になるかもしれません。
組み合わせる、ということ
以下、気になったフレーズを抜き出しながら、ちょっとだけ「超並列読書」に迫ってみます(こんなことしている時点で、超並列読書の真意を理解できていないと怒られそうですが・・・^^;)。
p12
「超並列」読書とは、1冊ずつ本を読み通す方法ではない。場所ごとに読む本を変え、1日の中で何冊もの本に目を通す読書法である。
ただいろんな場所で読むだけではありません。常に脳を刺激しながら(p15)、「なぜ? どうして?」を繰り返し(p22)、かつ、「何か面白いことはないかな」(p91)と探索しながら読むわけです。
そうすることで、組み合わせて理解するという行為が楽になっていく。
p30
「超並列」読書では、幅広いジャンルの本を同時に読み、異なるベクトルの情報を組み合わせる作業をくりかえす。それによって、相手が話している話と自分がすでに知っている話を組み合わせて理解していくという作業が楽に自然に行えるようになっていくのだ。
そして、
p69
仕事の幅を広げ、仕事のためのアイデアを生み出すのは、一見、仕事にはまったく役に立たなそうな「今の仕事とは関係のない本」だ。
であると。
庶民の生活を抜け出そうとか(p2)、読書の合間に仕事すればいい(p45)とか、なかなかカゲキですが、doksyo-tek的には、この、組み合わせの妙が引き起こす化学反応こそ、読書の醍醐味なのではないか、と思いました。
所感
歯に衣着せぬモノ言いは、非常に爽快で、ロジカルです。ただ、例えば組み合わせた結果どういう化学反応が起きたか、それが陽に働いた時、陰に働いた時といった事例がもう少しあっても良かったかもしれません。HONZや紀伊国屋ウェブストアを使った実践なども聞いてみたかったところです。
なお、ここでは取り上げませんでしたが、他にも5分で実践できる本の選び方や、電子書籍と紙の書籍の使い方、かっこいい本棚の作り方など、筆者の読書愛を感じ取れるトピックスも豊富に掲載されています。電子書籍版もあるようですので、ぜひ手に取って読まれることをお勧めします。
補足
今から8年も前に出版された本なので、同様のことをポストされておられる方も多数いらっしゃいます。読み比べてみるのも面白いですよ!
こちらも読み比べという意味でご一読を。doksyo-tekは齋藤先生が大好きです。
ベストセラーを予測するアルゴリズム
はじめに
巷をにぎわしている(気がするだけ!?)ベストセラー予測アルゴリズム。ざっとググってみただけで、こんなに記事になっています。
- コンピュータはベストセラーを予測できるか | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
- アルゴリズムがベストセラーになると予想した書籍とは?|ギズモード・ジャパン
- コンピューターがベストセラーを予測する近未来 | The Professional Translator (ザ・プロフェッショナル・トランスレーター) - バベル・プレス
- コンピュータはベストセラーを予測できるか - (1/3)|ニフティニュース
発端となった本
予測アルゴリズムについて書かれているのは、以下の本です。2016年9月に発売。邦訳はされていません。
▼Jodie Archer,Matthew L. Jockers著「The Bestseller Code」(St. Martin's Press)
▼Jodie Archer,Matthew Jockers著「The Bestseller Code: Anatomy of the Blockbuster Novel」(Penguin)
八重洲ブックセンターで聞いたところ、入手は取り寄せで約1ヶ月くらいかかると。ひぇー。紙でもデジタルでも3000円もしないお手頃価格だし、英語の勉強になるし、内容確認が不十分であっても思い切ってポチッとしちゃっていいレベルかもしれません。
ちなみに2冊あるけど、何が違うんでしょうか。。出版社、出版日、ページ数も少し違う・・・。こういう時は、ポイントがたくさんつく赤のkindle本(2016.10.9 現在、996pt(39%)。青のKindle本は596pt(23%))のほうがお得かもしれません。
で、このアルゴリズムに基づいて予測されたベストセラーがこちらだそうです。
▼Dave Eggers著「The Circle」(Vintage)
ちなみに日本語版も出ています。
▼デイヴ エガーズ,吉田 恭子著「ザ・サークル」(早川書房)
この本、以前どうしても読みたいっ! と思って図書館で借りたものの、けっこうな厚みに恐れをなして結局読めずに返しちゃった本です。これはもう一度借りなければ(面白かったら買ってもよし、かな)。。
どんなアルゴリズムなの?
論文までさかのぼって検証していくのが正しいやりかたかと思いますが、残念ながら、行きつく先は著者Jodie Archer氏のスタンフォード大の学位論文になってしまい、手軽に手に入れることができませんでした。
海外の博士論文ってどうすれば読めるんでしょうか。国会図書館のサイトとかに行けば何か情報あるのかしら。ってことで、ちょっと大変そうだったので、お手軽に先のニュース記事から、どんなことをしているのか抜き出してみました。
現在のベストセラー・リストから、トーンやムード、話題、スタイルを読み取り、読者の嗜好や願望をアルゴリズム化し、原稿と対照してスコア化する
(ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)
どんな本がよく売れるのかという方程式がある
(ギズモード・ジャパン)
著者たちが挑んだのは、全文解析という技術です。現在のベストセラー・リストから、トーンやムード、話題、スタイルを読み取り、読者の思考や願望をアルゴリズム化し、原稿と対照してスコア化するという手法
(バベル・プレス)
コンピュータに本を読ませる全文解析
(ニフティニュース)
どうやら、書籍全文からいくつかの要素軸(トーン、ムード、話題、スタイル)をスコアリングし、「読者の願望」となる指標と合致する書籍をベストセラー候補として導出しているようです。
この記事によれば、80~90%の精度で予測可能だそうです。実際、ダン・ブラウンのインフェルノは95.7%、マイケル・コナリーのリンカーン弁護士は99.2%の精度で予測できたとか。これ、この割合でベストセラー化を予測できたってこと。。ですよね。ずいぶん高精度だ。
ただし、ザ・サークルに関して言えば、ギズモードによると「発売以来8割がたフィクションカテゴリーのトップ50圏外」だそうで、的確な予測はそれなりに難しい面もあるのかな、と思います。
まとめ
編集エージェントのSteve Laube氏によれば、このアルゴリズムの目指すところは、文芸評論家より精緻な分析。より実践的に、より小説の細部にいたる分析ができることを目指しているそうです。
They claim “the kind of reading that computers can do gets us closer to the details of a novel than even some of the most practiced literary critics.”
ビッグデータ時代こその計量文献学、いよいよ楽しくなっていきそうです。しかし、ここまで書いたんだから原本には当たらないとなぁ。いや原著論文でもいいけど。
読んでおきたい参考文献
言葉を定量的に扱う
▼村上 征勝著「シェークスピアは誰ですか?―計量文献学の世界 (文春新書)」(文藝春秋)
▼エレツ・エイデン,ジャン=バティースト・ミシェル,阪本 芳久著「カルチャロミクス:文化をビッグデータで計測する」(草思社)
スタイルとか、デザイン寄り?(絶賛積読中)
ネットワーク理論に近いの?(絶賛購買検討中)
▼フランコ・モレッティ,秋草 俊一郎,今井 亮一,落合 一樹,高橋 知之著「遠読――〈世界文学システム〉への挑戦」(みすず書房)
動く読書 - Kindle in Motion -
はじめに
AmazonでしれっとKindle in Motionなる取り組みがスタートしているようです。
気になったので、さっそく買ってみました(227円の出費!)。「in Motion」って何かというと、リンクのサムネイルを見てわかるとおり、要は表紙とか挿絵が動くってことです。
▼Edgar Allan Poe,M.S. Corley著「Darkness There: Selected Tales by Edgar Allan Poe [Kindle in Motion]」(AmazonEncore)
サポート状況
Kindle in Motionの「Learn more」によれば、今のところ、以下のデバイスやアプリでサポートされているようです。
アプリ
- Kindle for Android (スマートフォン)
- Kindle for Android (タブレットPC)
- Kindle for iPhone
- Kindle for iPod Touch
- Kindle for iPad
タブレット
- Fire HDX 8.9 Tablet
- Fire HD 7 Tablet
- Fire HD 6 Tablet
- Kindle Fire HDX 8.9''
- Kindle Fire HDX
- Kindle Fire HD(第2世代)
さすがに、電子ペーパー型の端末では動き系はキビシイか。以前、高い電圧をかけて電ぺ上の絵を高速に動かすという荒業を見たことがありますが、それじゃお話にならないですもんね。。
コンテンツの再生まで
今回は、Kindle for Android (スマートフォン)の、Version 7.3.0.45で実行してみました。
ダウンロード重い!と思ったら、300MBもある。。普通の書籍が数百KB~数MBであることを考えると、やはり動き系はオーバーヘッドが大きいな、と。自宅のWi-Fi環境でダウンロードしたのですが、何回か失敗してしまいました。。トホホ。
で、コンテンツを再生してみると、最初に「Two ways to Read」だよ~と教えてくれます。つまり、Motionでも、テキストベースでも、どちらでも選べるようになっているよ、と。
アプリ右上の「Aa」ボタンを押下すると、輝度やフォントを選べるメニューが出てくるのですが、そこで「メディアを表示」が選べるようになっていました。オンでMotion、オフでテキストベースになります。
ちなみに、「メディアを自動再生」はオンだとそのページがレンダリングされると同時に再生開始、オフだと、ページ内の再生ボタンを押下することで再生される仕様になっています。
メディアの自動再生をオフ。▶を押すと再生される。
あと、Motionと直接関係ないですが、Word Wiseが選べて新鮮でした(いつも日本語コンテンツしか読まないからね)。
表示する量を調節できるようで、英語の勉強もかねてたくさん表示させるのもありかと思いました(読む、というより、勉強するに近い感じになっちゃうけど)。
作り方(たぶん)
さて、このKindle in Motion。どんな作り方なのかなぁと、当該コンテンツをいろいろいじってみました(詳細は省くよ!)。
これ、察するに、おそらくSVG+CSS AnimationsでMotionをまかなっているんだと思います(JavaScriptも使えたはずですが、使ってないようです)。あくまで、おそらくですが。
こんなアツい議論も展開されています。
kindleって元々はmobi形式で、これにDRMがかかるとazw形式になり、更に、最近では表現拡張したazw3形式(通称kf8)があります。いろいろ混在していてフクザツなのですが、Motionは、このazw3形式にアニメーションを仕込んでいるようです。
ただ、一言でCSS Animationsと言っても、様々なバリエーションがあります。つまり、通常の最新版はいわゆるワーキングドラフト版を指しますが、日進月歩で改良が加えられているエディターズドラフト版なんかもあるわけです。
そのため、Motionではどのレベルまで許容されているのかは把握しきれませんでした(現行のアプリで、どのスタイルが適用可能かは、レンダリングエンジンの描画性能に依存するし)。
- CSS Animations(W3C Working Draft, 2013年2月19日)
- CSS Animations Level1(Editor's Draft, 2016年10月2日)※2016/10/3調べ
まとめ
こっそりスタートしている、Kindle in Motionにスポットを当てて、ちょこっと調べてみました。
このコンテンツ、SVG+CSS Animationsで動きを実現してるかもしれません(委細は不明なので、みんなで寄ってたかって何が再生できるのか試すのも面白いかもしれません)。
ちなみに、サンプル版ではMotionの再生はできないようですので、試してみたい方は、購入するか、あるいはKindle Unlimitedで探す(一部のMotionコンテンツはunlimited対象らしい。未確認)といいです。
さて、肝心のMotionが読書に与える影響ですが、これは、どうなんでしょうかね。
既に数年前にAppleはiBooks authorをリリースし、動きのある、インタラクティブな出版物を提案しています。が、世の中の反応はご存じのとおりです。
Appleもテンプレを用意したり、オーサリングツールを用意したり、様々な支援策を打っていたようですが、提供者側から見て、コンテンツの制作コストに見合ったインタラクションを、まだ見出だせていないのだと思います。
反対に、利用者側からみても、何度か取り上げていますが、読書におけるインタラクティブはノイズになりうる可能性があります。この点も十分加味しておく必要があるかと思います。
大きくまとめると、インタラクションを有する読書体験は、提供者側からみても、利用者側からみても、それぞれ不十分な点が多く存在するため、まだまだ研究の余地があるのではないかと思います。
この辺りを考慮した、目からウロコな書籍を作ってみたいものです。
読書的ニュース 2016-09
2016年9月の読書的ニュースです。
●海外の長編小説は難解そうで……。じゃあマンガで読んでみたら? | ハウツーが満載のコラム|スキマ時間のなるほどメディア [フムフム]
マンガって難しい内容の本を簡単に表現しなおすって意味でも優れてるコンテンツだと思う。『失われた時を求めて』、何ページで表現した作品になったんだろう!?
どっちも読んでみたい・・・
▼プルースト,バラエティアートワークス著「失われた時を求めて (まんがで読破)」(イースト・プレス)
▼マルセル・プルースト著「失われた時を求めて フランスコミック版 スワン家のほうへ」(祥伝社)
●「本屋が厳しい」といわれる今、本屋の定義を考える(「本屋をリブートするには」vol.1 レポート) | ほんのひきだし
●それぞれが始めた「本」にまつわる働き方―新しい本屋がこれからも生まれていくために(「本屋をリブートするには」vol.2レポート) | ほんのひきだし
書店再起動論。先月もニュースにした、「町の書店、85%が「経営悪化」」と関連して読むといいかも。新しい町の書店が生まれつつある。楽しみ。
雑誌もリブートが必要。だと思う。
▼仲俣 暁生著「再起動せよと雑誌はいう」(京阪神Lマガジン)
●会社員時代に読書習慣をつけるためにやったこと - このつまらない世界に終止符を
読む習慣をつけるための実践的ノウハウ。これはいい視点だなぁ。戦略読書の半年振り返りを書くきっかけになった記事でもあります。
●オトナの秘密基地。世界に認められた日本のすごーい図書館 - ジモトのココロ(ジモココ)
かっこえぇ。どれも行ってみたい。六花文庫とか、自分の家の本棚づくりの参考にしたい!
▼成毛眞著「本棚にもルールがある---ズバ抜けて頭がいい人はなぜ本棚にこだわるのか」(ダイヤモンド社)
●電子書籍が流行らなかった理由ってさ | 2ちゃんねるスレッドまとめブログ - アルファルファモザイク
なぜ電子書籍が流行らなかったのか、についてのネットの声。既に過去形か。。
ファイル形式、専用アプリ、紙の所有欲、導入、価格、目が疲れる、文庫本最高、DRM、、などなど。うーむ。どれもかなり議論されているけど、きちんと課題に落とし込みができていないんだろうなぁ。。
▼宝島社著「電子書籍の正体 (別冊宝島) (別冊宝島 ノンフィクション)」(宝島社)
●絵文字ならぬ「曲文字」を送ることができる『TuneMoji』 | 100SHIKI
曲文字。TuneMoji(チューンモジ)と呼ぶらしい。Kik上で歌詞と映像のスナップショットを返すサービス。iPhone版しかないのかな。試せないけど、面白そう。日本語版もできるといいのになぁ。会話が楽しくなりそうだ。あれ、これは読書ネタ?? ちょっと違うか。
●大学生になる息子や娘にプレゼントしたいオススメの本20選 - 大学新入生への入学祝い - BOOKCASE
まぁ見かける企画(失礼!)だけど、20選ともなると、だんだんマニアックなものも薦めてきてていい。最後に石川達三の『青春の蹉跌』をおススメしてくるところでグッときちゃいました。『青春の蹉跌』は超おススメです。kindle版あるんだ。思わずポチっとしてしまった。。
●こち亀の最終回で暗黒期突入へ!週刊少年ジャンプの未来を考える - 人生の物語を楽しむブログ!ネガティブ・ライト
改めて黄金期のジャンプ連載リストみるとすごすぎる。これをリアルタイムに体験できて良かったと思っているけど、今ジャンプをリアルタイムに読んでいる人たちから見ると、当時は知らないわけで、これが別に黄金リストじゃないのかもしれない。
こち亀、大好きだった。まだ終わったのが信じられない。秋本先生のことだから、ひょっこり、面白いことしてくれるんじゃないかと期待しています。
▼秋本 治著「こちら葛飾区亀有公園前派出所 200 (ジャンプコミックス)」(集英社)
実は999巻も出てます。
▼秋本 治著「こちら葛飾区亀有公園前派出所999巻 13誌出張版の巻 (ジャンプコミックス)」(集英社)
●いらなくなった本やDVDを物々交換できるサービス「Spirale」が登場 | Fashionsnap.com
ほほー。本やDVDの物々交換。交換券マッチングサービス。シェアリングエコノミーの一種らしい。ビジネスモデルとして面白いけど、リアルなモノは配送の手間がネックになるんじゃないかな。やっぱり配送手続きってめんどくさい。送るのも、受け取るのも。配送がもっと簡便になると、爆発的に受け入れられる気がする。
●本に座っている気分になるソファ【Ransa】|インテリアハック
かっこいいけど、ホコリがたまりそうだなぁ。。快適さと、かっこよさのはざまにて。
うーん、どれもいい。いよいよ、本棚リノベーションがしたい。今年中に企画して、来年実行だ!!
▼内澤 旬子著「センセイの書斎---イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫)」(河出書房新社)
●デキないオトコの「やってはいけない」読書術 | オトコ社会を生き抜くための仕事のお作法 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
DFDNオトコ。「で」きる「ふ」りした「で」き「な」いオトコ。なんだかすごいネーミングだなぁ。言わんとすることはわかるのだが、読書はもっと自由であっていい。
・・「これ読むと一流」的一冊が大好きで、それを読んだオレ、理解してるオレをアピールしたいDFDNオトコ読書の特徴が見え隠れ・・略
かっこよさを演出するために読書を使っても、いいんじゃないかなぁ。ダメ?
書評『レバレッジ・リーディング』
概要
読書に関する本にあたっていると、よく耳にする『レバレッジ・リーディング』。やっと読んでみました。ビジネス本の読み方を提案する本で、かなりシンプルかつ具体的な手法(読み方の手順)に踏み込んでいる点が印象的でした。
章立てを見ると、「多読について」「物件の選び方」「戦略的な読書法」「読書後のフォロー」の4章立てですが、独断と偏見で、内容は以下のように整理できるのではないかと思いました。
- 本に対する考え方
- 本の選び方
- 本の読み方
また、著者である本田直之氏おススメの読書リスト(永久保存版と、出版年(2006年)におけるオススメ版の2パターン)がついている点も良いです(当ブログでも何点か紹介してきた読書本、やはり著者のオススメ本リストはマストですね)。
本に対する考え方
非常にシンプルです。メッセージは一つ。読書は自分への投資。この実現に向け、レバレッジ・リーディングし(多読し)、読んだ内容を確実に仕事に活かす。つまり投資の結果を出す(リターンを得る)ことが最終目的になります。
また、読書が投資対象になりうる理由もいくつか述べています。
- 本は査読されており、深く正しい知識が得られる
- 読むと時間が生まれる
- 自分の常識が更新される
- 未来予測できちゃうかも
- 考えの偏りを防ぐ、等々
さらに、読書をすることで得られる利点もいくつか述べています。
- 情報の取捨選択能力がアップする
- 他人の疑似体験ができる
- 本に書かれたノウハウを自己流で実践活用することができる(自分のやる気×他人の知恵や経験=レバレッジの効いた結果が得られる)、等々
本の選び方
では、投資に対するリターンを確実にするために、どんな本を読めばいいのか。本書では、その選び方を3通り示しています。
目標の明確にして、本を選ぶ
目標が決まれば、その達成に何をすべきかを考えられるようになります。そうすると、その課題に沿ったテーマの本を選ぶことができる、というわけです。
自分にとってやさしい本を選ぶ
理解しやすさ、納得のしやすさは元より、理論より実践、教養より経験。より具体的なほうがやさしいし、何よりビジネス向きであると言えるわけです。
テーマで選ぶ
ここはかなり様々な切り口から紹介されていました。身近な、同じジャンルの、口コミで、メルマガで、等々。具体的なところはぜひ本書で確かめて頂きたいところです。
本の読み方
次はいよいよ、具体的な本の読み方です。制限時間を設けるとか、全体を俯瞰するためにまえがきや目次、帯、著者プロフィール等のメタデータをくまなく読むとか、様々な手法が紹介されています。
doksyo-tekが一番おおっと思ったのは「ささいな取りこぼしを気にしてスピードが遅くなるよりは、より少ない労力で大きなリターンを上げることに集中したほうがいい」という点。そのため、読書の完璧主義は捨てるというのです。
たしかに、本は最初からシーケンシャルに読みたくなるし、書かれていることはあれもこれも大事に見えてくる。しかし、投資に対するリターンを最大化するためには、目標に対して不要な情報は、重要そうに見えても切り捨てていく。そうすることで、短時間で必要な情報がフィルタリングされてくるのだと思います。
そして、レバレッジ・リーディングの真骨頂とも言えるのが、読書後のフォローである「レバレッジメモ」の作り方と活用法です。
実はこのメモ、本当にシンプル。作り方は、
- 重要なところに線を引く、印をつける
- メモに書き出す
- 繰り返し読む
というもの。何気に、繰り返し読むって部分がみんな習慣化できないところなのではないかと思いました。裏を返せば、ちょっと努力して繰り返し読むことを習慣化できれば、それは大きなリターンにつながるアクティビティなのかもしれません。
レバレッジメモの事例や、具体的な作成法は本書で詳細に紹介されていますので割愛しますが、これは自分なりにアレンジして実践してみる価値がありそうです。
所感
レバレッジとは、てこの原理。つまり、小さな力で大きな力を生み出すことです。
レバレッジ・リーディングは、その名が示す通り、まさに小さな投資で大きなリターンを得るための、実践的な読書法なのだと思いました。
特徴的なのは、やはり読書後のフォロー。メモに書き出して繰り返し読むという、一見すると誰にでもできそうな、でもなかなか継続的にできなそうなことをできるか、がポイントだと思いました。
繰り返しは情報処理が得意とする行為です。うまくシステム化できれば(単純にリマインドするだけじゃ、ダメだろうなぁ)、スムースに習慣化できるかもしれません。