読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

読書通帳

最近、読書通帳という言葉を知りました。

上記文献によれば、読書通帳とは「(図書館の)利用者自身による、貸出記録の管理と活用を図るためのツールで、最近静かなブームなんだとか。え?ブームなの? そう思ってGoogleニュース検索をしてみると、意外と多くの公共図書館で採用されているようです。

貸出履歴というと、かつてはカード型(映画『耳をすませば』にも出てきますね)、今はレシート状の記録紙を提供する図書館が多いかと思います。あの履歴情報、図書館には「図書館の自由に関する宣言」と呼ばれる考え方があり、利用者の秘密保持や検閲反対の観点から、基本的に図書館では管理しない(できない?)のだそうです。

 で、出てきたのがお薬手帳ならぬ読書通帳。使用判断を利用者にゆだね、図書館はそれを支援するというスタンスを取り前述の問題を回避しています。また、導入効果として、利用率や貸出率の増加、読書意欲の向上などが挙げられています。たしかに、自分がこれまでどんな本を読んできたか/読もうとして挫折したのか、を可視化するのはとても楽しいことかと思います。

記録という意味では、読書系アプリもたくさんありますね(私は以前書いた通り、ブクログを活用しています。これもいずれ使用法をまとめておきたいです)。

booklog.jp

bookmeter.com

www.dokusho-log.com

紙による記録では、『情報は1冊のノートにまとめなさい』でおなじみ、奥野宣之さんによる以下の本も参考になります。

▼奥野 宣之著「読書は1冊のノートにまとめなさい 100円ノートで確実に頭に落とすインストール・リーディング (Nanaブックス)」(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)
4901491849

方法はいろいろあるのですが、読書履歴の管理において、最も重要だと思われる点は、①過去に何を読んで、②そこから何を得た/何を感じたのかを書き留めておくこと、そして③それを見返すことだと思います。書き留めておくことで、その時点での自分の考えのスナップショットになる。そして、それをただアーカイブしておくのではなく、いつでも振り返ることができる、取り出すことができるようにしておくことが大事なのだと思います。

齋藤孝先生が、本は買って、本棚に並べておくことで繰り返し読んだ時に感じたことが思い出され、ひいては「自分の世界が豊かになっていく」と述べていました。私はそれを受けて、世界が豊かになるとは、過去の読書体験がただ蓄積されるだけでなく、本棚を眺めることでアイデアの想起や行動につながるきっかけになるのだと述べました。本棚における背表紙は、読書通帳やアプリにおける読書履歴そのものなのだと思うのです。