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読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

青空文庫をKindleで読む

はじめに

今更感が満載ですが、青空文庫の本をKindleで読もうとすると、いつも手順を忘れてググったりしてるので、まとめておこうと思います。年末進行で忙しい時の、現実逃避ってやつです。

1.タイトルを選ぶ

青空文庫から好きな本を選びます。

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図1 青空文庫

2. ファイルをダウンロード

テキストファイル(ルビあり)のzipファイルをローカルにダウンロードします。

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図2 テキストファイル(ルビあり)は下側にある

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図3 テキストファイル(ルビあり)の中身

3. ダウンロードしたファイルを結合する(オプション)

このセクションは、2でダウンロードしたファイルを複数つないで1つのファイルとして扱う場合の話になります。束ねないのであればスキップしてかまいません。

ファイルは、メモ帳等のテキストエディタでコピペして1ファイルに足しこんでいきます。ただ、ファイルを結合すると、Kindleで頭出しがしにくくなるので、目次情報を付け加えておきます。

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図4 ファイル整形。3行目で表紙画像、4行目で目次見出しを入れている

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図5 完成すると、こんな感じで目次が見れます

4. AozoraEpub3でmobi形式に変換

ツールを使って、Kindle用のファイルを作ります。用いるツールは、AozoraEpub3という、青空文庫の注記入りテキストをEPUBという電子書籍用フォーマットに変換するツールです。利用にはJavaが必要ですので、配布サイトのインストールマニュアルをよく確認する必要があります。

www18.atwiki.jp

かなり様々な設定ができるのですが、自分が最低限しているのは、

  • 表紙画像を指定する
  • 拡張子は「.mobi」で出力する
  • 入力文字コードは「MS932」
  • 書字方向は「縦書き」
  • 出力先は「パソコン内の任意の場所」

くらいです。

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図6 AozoraEpub3の設定と変換処理

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図7 変換完了!

5. 生成したmobiファイルをKindleに送る

生成したmobiファイルは、KindleとPCをつないで転送することもできますが、メールでKindleに送ることができます。doksyo-tekの場合、転送用にGmailを使っているため、25MBまでならメール転送してしまっています。

ちなみに、Amazonサイトで、アカウントサービス>コンテンツと端末の管理>端末(タブ)と進むと、Kindle転送用(Send-to-Kindle)のアドレスを確認することができます。

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図8 Send-to-Kindle

6. 確認する

Kindle本体(今回はAndroid端末のKindleアプリ)を開くと既に送られたmobiファイル(アイテム)が存在します。もし、ない場合は、同期させると、新しいアイテムを探してくれます。

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図9 同期したらアイテムが出てきた

7. 読む!

指定した通り、きちんと読むことができました。

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図10 ルビもしっかり振られています!

以上です。

まとめ

2016年は江戸川乱歩谷崎潤一郎等、著名な作家が没後50年を迎え、多数の作品が公開されています。たまには青空文庫を眺めて、そして、ここで示したくらいの手間をかけて、デジタルで名作を楽しむのもアリなのではないでしょうか。

The BookTech Award 2016

はじめに

イギリスの老舗・THE BOOKSELLERによるFUTURE BOOK CONFERENCE 2016。出版関連のスタートアップにThe BookTech Awardを行っていますが、つい先ごろの12/2(金)に受賞者が発表になりました。

www.thebookseller.com

受賞は・・・だーん!

書籍関連メタデータ最適化サービスのKadaxisと、リアルなロケーションでの物語体験を演出するStoryTouristがダブル受賞したようです!

The BookTech award was one by Kadaxis, which uses data science to improve book discovery across the publishing value chain, and Story Tourist,  "a kind of Pokémon Go for stories" - an app that allows readers to experience books at the very locations where the action takes place.

The final five

まずは振り返りということで、エントリーしていた5組をご紹介。

www.thebookseller.com

 Joosr

ノンフィクション本を、20分以内で読めるよう要約するサービス。日本でいうところの、flierやBOOK-SMARTのようなサービス。

www.youtube.com

Kadaxis

メタデータ最適化システムの提供。

メタデータとは、書籍購買に関するデータのこと。著者から見れば、読者のマーケティングデータになる。読者から見れば、購入する書籍データになる。そして、出版社から見れば、著者・読者双方に提供するデータ(書籍データ+マーケティングデータ)になる。Kadaxisは、各プレイヤーにそれぞれ以下のサービスを提供。

  • 著者:AuthorCheckpoint(マーケティングデータ提供サービス)
  • 出版社:metadata optimisation and data APIs(書籍データ作成サービス)
  • 読者:BookDiscovery(書籍検索サービス)

なお、中心となる書籍メタデータは可変なBISACカテゴリ+キーワードによって最適化されている。

Novel Effect

子ども向けの印刷本を声に出して読むと、リアルタイムに音声認識し、音声効果を付与してくれるサービス。

www.youtube.com

publishizer

著者と出版社のマッチングサービス。

以下の1~3のステップを実施することで著者と出版社をマッチングしていく、クラウドパブリッシング方式。

  1. 著者は1000語程度のブックプロポーザルを提出する
  2. publishizerは45日間のプレオーダーキャンペーンを実施する
  3. 興味のある出版社から直接著者に返事がある

プロポーザルのテンプレートはpublishizerが提供し、プレオーダーが500件以上だと大手出版社にコンタクトできる。まあ、著者は各種オファーから最も良いものを選べばよい。

vimeo.com

Story Tourist

ポケモンGoみたいに、特定の場所でカメラをかざしながら動き回ると、本に関連するARオブジェクトが見つかり、オブジェクトにアクセスすることで読み物を読むことができるという仕組み。

www.youtube.com

まとめ

どのアイデアもいい味出しています。エントリを眺めてみると、大きく現実的にデータ連携するビジネスモデルと、書籍コンテンツそのものに付加価値を付けるビジネスモデルに分類できるのかなと思いました。それぞれのカテゴリから1つずつ選ばれてるし。勝手な推測ですが。

また、このような取り組みは、日本で言うならば、JEPAが執り行う電子出版アワードが、まさに該当するのだと思います。出版には言葉の壁が付いて回りますが、このグローバル時代、どうせなら、世界規模で様々なBook Technologyを捉えてみると、思いもよらなかった気づきがあるかもしれません。ワクワク。

本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本

本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本

 

 

映画『ザ・ウォーカー』

本が出てくる映画について、いろいろ思ったことを書こうという趣旨です。

ザ・ウォーカーは2010年の米映画。主人公はデンゼル・ワシントン。個人的には『ペリカン文書』のイメージが強いですが、『トレーニングデイ』でアカデミー主演男優賞を受賞しているそうです。

www.youtube.com

どんなお話かというと、以下、Wikipediaのあらすじの転載ですが、

最終戦争によって国家も文明も滅びた世界を旅する男(ウォーカー)イーライがいた。彼は、30年間もアメリカを西に歩き続けている。目的地は何処なのか、彼にもわからない。ただ、「本を西へ運べ」という心の声に導かれるままに歩き続ける。

一方、とある本を探し続ける独裁者の男カーネギーがいた。彼は、旧来の秩序さえもが滅びたことを良いことに理想の町を作ろうと企てていた。

そして、イーライはカーネギーが仕切る町に立ち寄る。カーネギーは探していた本をイーライが持っていることに気づき奪おうと企てる。

 といった感じです。

最後の一冊となった本の内容は何か。ウォーカー(黒人)⇔独裁者(白人)。この対比は何を意味するのか。イーライが行き着く「西」で、本はどうなるのか・・・等々、見どころが多い作品です。

文明の礎=本、という構図はうまいなと思いました。人々が信じる力と、そんな人々に複製して届けられる技術。これらが、退廃した新世界でふたたび生み出される過程を描いた、とでもいう感じでしょうか。

「あれは本じゃない。兵器だ。」って言葉が印象的な映画でした。

以下、通な方々の映画批評です。

movie.maeda-y.com

ameblo.jp

 本も出ていたみたいです。

ザ・ウォーカー (角川文庫)

ザ・ウォーカー (角川文庫)

 

 

読書身体化試論

劇作家・寺山修司著作を編纂した『両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム (新潮文庫)』。様々なキーワードを切り口に、寺山修司の考え方を鮮やかに表現しています。その中に「書物」の項目もありました。非常に面白い視点だったので、ちょっとだけ、ご紹介します。

書物の項には、以下のような文が載っていました(他にも載っていましたが、doksyo-tekが気になった2文のみ抜粋しています)。

p197

 目と書物とは、二十センチ位の距離を保っているとコミュニケーションが成り立つが、それ以上近づくとぼやけてしまうし、それ以上遠ざかると、読めなくなってしまう。

 ロートレアモンの詩もマルクスの論文も、わずか二十センチの距離を保つことによって存在してきたものにすぎないのだ。そう思うと、いささかの虚しさが感じられる。

 世界中の読書人たちは、書物に向かって全速力で走ることも、書物に肌を密着させることも、書物と壁ごしに語り合うこともできない。

- 青蛾館 -

p198

 書物を嫌いになったのは、私が健康をとりもどすようになってからである。

 読むためには、肉体は沈黙を余儀なくされ、椅子に腰かけるかベッドに横たわるという「安静」人形のような状態が必要だということに気づくほど、私は恢復していたとも言えるだろう。「読書家というのは結局、安静状態の長い人という意味ととれないこともないな」と私は思った。読書とは、もっとも反行動的な実践なのだ。

- 東京零年 -

いずれも、書物を読むという行為は、身体的な動きを抑えるもので、それを解き放つ必要があるというメッセージのような気がします。

そういえば、彼の代表的な著作は『書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)』でした。まさに、書に捉われて、安静人形のようになってしまうのであれば、もっと体を動かせる、活動的なことがらに目を向けようということなのだと思います。

だとすれば、町へ出る=身体的な解放、を表現できる読書形態が提示できれば、それは新しい読書環境への足掛かりになるかもしれません。具体的には、、、どんなものなのか。町へ出て考えることにしようと思います。

両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム (新潮文庫)

両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム (新潮文庫)

 
書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

 

 

AIブックコンシェルジュ

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はじめに

2016年10月28日(金)~11月10日(木)の間、青山ブックセンターでAIブックコンシェルジュのイベントが開催されたようです。

AIブックコンシェルジュとは、AI(人工知能)を搭載したロボットが書店員に代わって本のオススメをしてくれるというもので、今回のロボットはFRONTEOのKibiro、解析用の人工知能には同社が開発したKIBITが使われています。また、解析で用いるデータには、Booklogのブックレビューデータが使われているようです。

robotstart.info

AIブックコンシェルジュのしくみ

夏頃、いわゆるチャットボットであるフミカbotが本をおススメしてくれる話について言及しましたが、KibiroのKIBITはさらに少し進化しており、ユーザの好みに合わせたオススメをしてくれます(フミカbotのロジックの延長にKIBITがあるかわからないので、進化という表現は不適切かも)。

doksyo-tek.hatenablog.com

KIBITは以下のステップで人間の判断を実現する、いわゆる教師ありの機械学習エンジンです。

  1. 非定型の自然文から、形態素解析によって品詞の特定や単語の抽出を行う
  2. 単語やセンテンスの重要度をユーザの判断毎に算出し、特徴軸を最適化する
  3. 最適化した特徴軸に沿って、他のデータに含まれる単語や単語間の関係を評価(スコアリング)する
  4. ユーザの意図に合致する可能性が高い順にデータ全体を並べ替える

今回は、ユーザがベストセラー30冊からピックアップした本(のBooklogレビューデータ)を用い、ユーザの特徴軸(好み)を抽出し、それにより近しい特徴軸を持つ本をおススメ本として返しているようです。特徴軸って、特徴量のことでしょうか。

簡単な解説は下記に、詳細なアルゴリズム等は「研究開発報告書」に記載されていますので、ご興味があればどうぞ。

www.fronteo.com

世の中の反応

hon.booklog.jp

robotstart.info

hon-hikidashi.jp

所感

これからという感じが強い人工知能ですが、技術面においては、様々なシーンに浸透しつつあり、その存在感たるや目を見張るものがあります。

ただ、今回のようにAIが本をおススメすることについては、今一度考察があってもいいかもしれません。

例えば、Amazonのオススメ(この本を読んでいる人はこの本も読んでいます)、ちょっとうっとおしいなと思った方、けっこういるのではないでしょうか。オススメって意外と難しく、適切な人が、適切なタイミングで、適切な本をおススメしないとハマらない、けっこう難易度の高い行為なのだと思います。

近年のデータ解析技術を使えば、適切なタイミングやタイトルの推定はできるかもしれません。しかしながら、もっとも重要な要素は、それを「誰が」オススメするか、ということなのではないかと思うのです。

自分が尊敬する人、自分が愛する人、あるいは、自分が試してみたい体験を既にやっている人、などなど。。ロボットではそう簡単に真似できないことかもしれません。Kibiroにせよ、フミカbotにせよ、ユーザが「満足のいくオススメをしてくれた」と思うには、そのユーザにとって大事な「誰」になれているかどうか、信頼性の高いユーザ体験を提供できる存在になれているかどうか、が重要なのだと思います。

参考

UX戦略 ―ユーザー体験から考えるプロダクト作り

UX戦略 ―ユーザー体験から考えるプロダクト作り

 
UXデザインの教科書

UXデザインの教科書

 
今日からはじめる情報設計 -センスメイキングするための7ステップ

今日からはじめる情報設計 -センスメイキングするための7ステップ