Drinkable book
こんな面白いコンセプトの本があったなんて。。知りませんでした。
銀ナノ粒子が練りこまれた、ろ過機能を持つ紙で本を作ってしまおうというプロジェクトです。本1冊から、100リットルの飲用水が作れるとか。そして、もちろん本なのでそこには安全な水の知識がプリントされているそうです。銀ナノを使った殺菌は靴下とかで実用化されていますが、本と抱き合わせるとは。。恐れ入りました。
2014年のWiredの記事ではこれからフィールドトライアル、とありますが、2015年のgizmodeの記事を見ると既にアフリカでトライアルを重ねており、Indiegogo(ドネーションベースのクラウドファンディング)でスケールアップに向けた施策を展開しているようです。
仕掛け人はバージニア大学のDankovich氏。研究者なので、学術的にもDrinkable bookの原理に言及しています。1件目は銀ナノによるろ過の仕組み、2件目・3件目は銀ナノの紙への練りこみ方について、です。1、2件目は有料なのでアブストのみですが、3件目はpdfで全文閲覧することができます。
- Dankovich, T.A. and Gray, D.G. Bactericidal Paper Impregnated with Silver Nanoparticles for Point-of-Use Water Treatment. Environmental Science and Technology. 2011, 45 (5), pp 1992-1998. DOI: 10.1021/es103302t
- Dankovich, T.A. and Smith, J.A. Incorporation of copper nanoparticles into paper for point-of-use water purification. Water Research. 2014, DOI: 10.1016/j.watres.2014.06.022
- Dankovich, T.A. Microwave-assisted incorporation of silver nanoparticles in paper for point-of-use water purification. Environ Sci: Nano. 2014, DOI: 10.1039/C4EN00067F
本の機能はこれまで「読書の利便性向上」という観点で語られてきたかと思います。反射光の利用が目に優しいとか、紙の厚みで既読/未読がわかるとか、ページの行き来が簡単なので参照・概略把握しやすいとか(まぁ、本なので当たり前ですね)。
それに対し、Drinkable bookはろ過というまったく異なる機能を付加してきた。これは目から鱗が落ちたと言いますか、まさに組み合わせのイノベーションだと思います。全く異なる機能を組み合わせて新しい価値を創造する・・・そう、例えば食パンに文章を書けば、読めるし食べられますね。暗記もできれば、なお良しだなぁ。あっ。