本の"新しい"読み方 ~BOOK TECH~ by AMP
はじめに
先週の金曜日(10/18)、Peatix経由で「本の“新しい”読み方 ~ BOOK TECH ~ @東京・日本橋 by AMP(アンプ)」というイベントに参加してきました。
イベントの趣旨は「要約して読む」「分割して読む」「聴いて読む」という新しい本の読み方を提供するゲストと、読書のアップデートを考えるというものでした。読書の秋にふさわしく、とても面白かった! ので、簡単なメモを残しておきたいと思います。
ゲストは、次のお三方。
- 要約して読む:フライヤーの大賀氏
- 分割して読む:NOT SO BADの大西氏
- 聴いて読む:オトバンクの久保田氏
この3名に、ファシリテータとしてAMPの木村氏が参加。次々と気になるテーマを繰り出し、三人がそれぞれの視点から深掘りをしていく進行で、あっという間の1時間15分でした。短めでしたが、その分内容が鋭く、とてもわかりやすくて一体感のあるイベントだったなぁと思いました。
テーマ別・気になった言葉や話
以下、各テーマについて気になった言葉や話を整理してみます。
テーマ1:本、新書マーケットの現状について思うこと
- 本は認知度の向上が売り上げにつながる。ネットでの話題づくりから、書店でのフェアまで初速、初めの起爆剤が大事。
- 自己啓発系、資格系など、緊急度が高いものは売れる。
- 知るきっかけ、加えて丁寧なマーケティングが大事。映画化や関係者のラジオ出演など、機会を逃さずにプロモーションしていくと売れていく。
テーマ2:新しい読書が向いているシチュエーション
- スマホに合った形で、スキマ時間の消費が狙うところ。
- スマホに合った形の一例:改行などで読みやすさを考える、1000ページもの長編を縦書きでページめくりさせるのは正しいのか考える、など。
- 耳はこれからの領域。通勤時に新聞ダイジェスト、就寝時におやすみロジャーなど、新しいシチュエーションを作ることが可能。
テーマ3:新しい読書が向いているコンテンツ
- 見る、聞く、そして体験。体験に属する「読書会」は注目のコンテンツ。
- 選書。自分で選ぶよりも、誰かに選んでもらう、誰かに与えられるほうが読まれる傾向にある。
- 積ん読の本を聞く。分厚い本は紙でも買うが、2~2.5倍速で聞くのに向いている。
テーマ4:ビジュアルコンテンツ(動画)との比較(本ならではの強みは?)
- 考えながら読むことができること(動画も、要約も、考えながら通読することの代替にはならない)
- 『読んでいない本について堂々と語る方法』
- 読書は能動的で、脳に余白がある。テレビは受動的で、脳が疲れているときなど判断ミスを誘発しがち(通販番組で思わず、みたいな)。
所感
要約する、分割する、聴く、というそれぞれの方法で読書に新しいアプローチをしていたのが面白かったです。もちろん、それぞれは個別に成り立っている方法論なのですが、組み合わせることでより新しい読み方が作れそうだなと思いました。要約したものを分割して読み、気になったら倍速で聞く、みたいな(いや単純すぎか・・・)。他メディアとの可処分時間の争奪という現状においては、このような方向はひとつあるのだろうなと思います。
個人的に興味があったのは、テーマ3あたり。
読書体験はひとりからみんなに広がることで出てくる新しい発想がありそう。読まなくても行ける/サマリーだけ読めば参加できる気軽な読書会って行ってみたくなります。
選書も面白い。最近注目されているインディペンデントな書店は選書のセンスがとても光っていますし、HONZなどの書評サイトは、そもそもその本を選んだかー!って部分でもう心が持って行かれます。AI選書みたいな話題もどこかで見聞きした気がします。
積ん読も興味あり。せっかく買われたのに、手元に置かれたのに、肝心の中身がなかなか消費されない本たち。自分の積ん読をいかに効果的に消費できるのか気になりますし、こっそり他人の積ん読も見てみたい。
なんだか、個人的興味が散乱していますが、テーマ3周辺にはとても新しい読書技術が活きてくる気がしています。
Q&A
会場からは「従来型の読書家のアップデートは?」「フライヤーブックラボ(読書会)のコンセプトは?」「本の適正価格ってなんだろう?」といった質問があがっていました。各質問、それだけで十分イベントができてしまう質問だったかと思います。このへんは、doksyo-tekも今後考えてみたいと思いました。
おまけ
読みたくなった/読み返したくなった本です。

スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
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