読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

チャットフィクションアプリケーション

はじめに

チャットフィクションアプリケーション。カタカナだと字面が長いですね。。

チャット。最近だとLINEやFacebookメッセンジャーなどが主流でしょうか。スマートフォンで扱うと、下側から上側に向かって、左右に会話の吹き出しが出る、アレです。

このチャット形式の読み物が、海外の若者中心に流行っているのだとか。

jp.techcrunch.com

ということで、チャット形式の読み物、チャットフィクションアプリケーションを試してみました。

Hooked試用

今回試したのはHookedというサービスです。記事でも一番に取り上げられていましたし、チャットフィクションの分野では代表的なサービスなのだと思います。

HookedはTELEPATHICという会社のサービスです。TELEPATHIC社の紹介ページの一節目にはこうあります。

Telepathic is redefining storytelling for the Snapchat generation.

スナップチャット世代のストーリーテリングを再定義する! いいですね。物語の表現は何も旧来型の文字組版の範囲で行われる必要はありません。チャット形式のコミュニケーションが世界を席巻しているのであれば、その形式を用いた物語表現が登場するのは、ある意味自然なのかもしれません。

既にサービスは日本展開しているようで、アプリをインストールして起動すると、いきなり物語が始まります。これが誰の書いた、どんなタイトルの本(?)なのか、まったく、わかりません。

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図1 起動するといきなり物語が始まる

インターフェースは次へボタンだけ。徹底的にシンプルに、ユーザを読者にしていきます。

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図2 次へを押すと会話が進む仕組み

しばらく読み進めていると、「フーツを使い果たしました」というメッセージとともに画面が切り替わります。

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図3 フーツを使い果たしたみたいです

おそらく、しばらく(40分程度)時間を置くとまた使えるようになるタイプで、待ちたくないならフーツを購入してね、というモデルのようです。カヤックのフルコミとか、同様のモデルだったかと思います。

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図4 フーツを購入してね

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図5 しばらく待つと、また再開して読めました

感想など

旧来型の読書に慣れ親しんでいる人にとって、Hookedの試みは斬新です。LINEやFacebookメッセンジャーと同じインターフェースで物語を体験できるのは、まさに新しい感覚でした。

その反面、例えば情景描写などの地の文をどう表現するのか、思い出しをするためにパラパラと前の文章を確認するにはどうすればよいか、など、これまでの読書では満たされていた機能が足りていない面もあるかと思います。

ただ、doksyo-tekが最もいいなと感じたのは、文がパネルのような小さいコンテンツ単位に分割されていたことです。

例えば、センシングを通じて読者の読書環境を得て、その内容に応じて、小さなコンテンツの断片を繋ぎ合わせることで、より臨場感を増したり、緊迫感を感じたりする、いわゆる読みに没入しているときに感じる「するどい感覚」のようなものを刺激する仕掛けを作れるのではないか、そんなことを考えました。

チャットフィクションは流行り始めたところであり、その伸びしろはまだまだ未知数ですが、若者の新しい読書形態の一つとして、今後の行方を追っていきたいと思います。

ということで、今回はこのへんで!