現代版・読書八境
市島春城の『読書八境』を読みました。青空文庫で公開されています。
本文は旧仮名遣いが多く(出版は昭和3年)、なかなか読みづらかったのですが、読書はシーンによって読み方が異なり、それらは大よそ8パターンに分類される、という内容でした。
以下に、春城が挙げる8パターンを示します。
個人的にあまり使わない言い回しが多かったので、コトバンクへのリンクを付けてみました。酔後はコトバンクになかったのですが、説明を読むと字のごとく「お酒を飲んで酔った後」ということでした。
こう眺めてみますと、個人的/現代的に合わないものが多いなぁという感じがします。「まぁわかる」と「ちょっと?」に分けてみると、こんな感じでしょうか。
- まぁわかる:羈旅(旅行)、病蓐(病院)、林泉(公園)
- ちょっと?:酔後(飲んだ後)、喪中(喪中)、幽囚(刑務所)、陣営(戦地)、僧院(お寺)
ただ、読書の味(っていい表現ですね)は時間や場所、そして読者の気分に大きく左右されるという主張はその通りだと思います。同じ本でも、シーンによってその味わい方が大きく変わる気がします。
そこで、せっかくなのでまとめサイトやアンケートサイト等を参考に、現代版・読書八境を作ってみたいと思います。
参考としたのは、以下の3サイトです。
シーンというより、場所が中心になってしまっています。今回は、hontoのアンケートがよくまとまっていたので参考にさせていただき、まずは場所をインドア/アウトドアに分けました。更に、各サイトで取り上げられていた場所を追加していき、マインドマップで表現してみました。使ったツールはこちら。
で、できあがった図はこちら。
NAVERまとめ由来の、ピンポイントな固有名詞も入っていますが、こうしてみてみると、①旅行・②病院・③公園は現代でも健在なのかと思います(病院は、入院中というより診察待ちの意味合いですが)。
そして外せないのが、④乗り物、⑤飲食店。忙しい現代人は移動中も、一息を入れるカフェやレストランでも読書をしています。
他に、大きく分けると「自宅」と「各種施設(社会教育施設、会社・学校、その他施設)」がありますが、これはカテゴリとして大きすぎるので、独断と偏見で次の3点をエントリさせたいと思います。⑥トイレ、⑦ベッド、⑧図書館、です。
さて、完成した現代版・読書八境は以下になりました。
まぁ無難と言えば無難なまとめになってしまいましたが、移動中・飲食中に読書をするのはスピードを重視する現代的ですし、トイレ・ベッド・図書館のような、一人になれる空間での読書は、とても貴重なシーンなのではないかと思っています。
今回は参考にした情報が偏っていたかもしれませんが、これが読書技術でサポートすべきシーンの考察につながればいいなと思います。
最後はオマケ。
読書八境の最後に載っている漢文、まったく読めませんでした。解説サイトを見つけたのでとりあえずリンクしておきます。志を遂げるには、六経を読まないといけないのですな。。。