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書評『人生がときめく片づけの魔法』

はじめに

「何を捨てるか」ではなく「どんなモノに囲まれて生きたいのか」をコンセプトに片付けをする。著者の近藤麻理恵さんは米TIME誌で「世界で最も影響力のある100人」に選出され(2015年春)、その著作は世界で700万部も売れています。それが今回選んだ『人生がときめく片づけの魔法』です。

人生がときめく片づけの魔法

人生がときめく片づけの魔法

 

大ベストセラーなので、実際に読まれた方や、ネットのまとめ記事等を見られた方も多くいると思います。なので魔法の片付けそのものについては、本書で確認していただくとして、今回は「本の片付け方」のみに着目してまとめてみようと思います。

ときめくか否か

本書のコンセプトは「何を捨てるか」ではなく「どんなモノに囲まれて生きたいのか」。そして、囲まれるモノを選ぶ基準がときめくか否かという観点になっています。ときめく、とはその名の通り、うきうきと楽しい気持ちになることを指しています。

本の片付け方

基本的には3ステップのみです。

  1. すべての本を棚から出す
  2. すべての本を大雑把に分類して床に並べる
  3. ときめくか否かを判定基準に、残す本と捨てる本を選別する

1は特筆すべき点は特にありません。ただ出すだけ。出した本を並べられるように床を掃除しておく必要はあるかもしれません。

2について、本書では参考として、一般書籍(読みもの)、実用書(参考書・レシピ本など)、観賞用(写真集など)、雑誌、の4分類が示されていました。ここは各人が既に所有の本の種類によって大きく偏る部分かと思います。ちなみにdoksyo-tekの場合、上述に「専門書」項目が加わり、5分類くらいが大雑把な分類になりそうだなぁと感じました。

  1. 一般書籍(読みもの)
  2. 実用書(参考書・レシピ本など)
  3. 観賞用(写真集など)
  4. 雑誌
  5. 専門書

3では、2で分類した本を1冊ずつ手に取り、残すか捨てるか判定していきます。ここで1冊ずつ手に取る行為を通じて、ときめくか否かをチェックしていくわけです。注意として、読書状態(対象とする本の状態。未読/読みかけ/読了)は気にしないようです。あくまでその本と向き合ってときめくか。難しい問いですが、ときめいていない本は未読(あるいは読みかけ)であっても、今は手元になくてもいい(≒時期じゃない、捨てても良い)と考えるようです。

さらに、ときめきの度合いによってもどう判定するか記述がありました。以下はときめき度合いにおける判定の分類です。

殿堂入り本

  • 別格。いつまでも残しておきたい本。

心がときめく本

  • 今は絶対手元に残しておきたい本。殿堂入りとの違いは、仕事が変わったとか、興味が変わったとか、節目で処分してもよい点。

ときめき度合がそこそこのレベルの本

  • 1度読んで面白かった、心に響いた言葉が数か所ある、くらいの本。これらの本は、思い切ってカサ減らし(必要な箇所のみ残して、他は破いて捨てる)をする。更に、残したページも一定期間再利用されなければ捨てる。

 所感

Wikipediaによれば『ハリー・ポッターと賢者の石』(日本語版)は約500万部発行されています。

『人生がときめく片づけの魔法』はワールドワイドで700万部。いかに多くの人が本の片付け方法としてこのやり方を読んだかわかります。実際、どれくらいの方がこのやり方を実践されているのでしょうか。特に狭い住宅事情を抱える都市部の人々の中には、このやり方を踏襲してすっきり整理されている方も多いのかもしれません。

この本を読んで思ったこと。殿堂入りを決めるのも、心のときめき度合いを感じるのも、それを整理する本人ということになると、気分のムラや気の持ちように寄って判定に揺らぎが出る可能性があります。もしも、本棚やブックカバー、あるいは読書環境に人の感情の揺らぎを捉えることができるセンサ(どんなんだ!?)を設置し、本人のときめき度を定量化できれば、かつ、それが一度限りの数値化ではなく、平均的な値として捉えることができれば、置いておくだけで、自然と要不要を判別してくれる本棚、が作れるようになるかもしれません。

心がときめくか否かにまかせて選んでみた、併せて読みたい本

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