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読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

読書チャンネルの快進撃を考える

ニュースリーダーアプリのSmartNewsに「読書チャンネル」が開設されて約2か月。参加者数の大幅増加という快進撃を続けているようです。

SmartNewsの仕組みは大雑把に言って以下のようなものだそうです。

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図.参考:SmartNewsのニュース選定のアルゴリズムってどうなってるの? 裏側を聞いてきた

この「カテゴリ」に「読書に関するカテゴリ」が追加されたことになります(開設時のニュース記事)。SmartNewsのリリースによれば、開設から2週間で登録者数が10万人を超えたとか(10万人突破時のニュース記事)。そして、他のチャンネルと比べ異例のスピードでの到達であり、情報提供メディアも2015年6月3日時点でスタート時の8媒体から21媒体へと、3倍近くに増えています。

10万人突破時のニュース記事によれば、SmartNewsでは、今回のヒットの理由として以下の3点を挙げています。

  1. スマホ上で「書籍に関する情報がワンストップで集まる」場所が他になかったこと
  2. 読書チャンネルに出現する本のラインナップに独自性があること
  3. Web上に本の情報が出始めたタイミングと開設時期が重なったこと

特に1.に関してはうなずける部分が多いかもしれません。本に関するメディアは、出版社、書店、制作会社、代理店など、関連会社が運営するものが多く、それらを横断的にキュレーションしてくる場というものはなかった気がします。

もちろん、テレビや口コミによる書籍情報の伝播もあったかとは思いますが、単発的なものであり、場にはなりえない。また、個人的なブックレビューをメルマガ配信している例もありますが(私も愛用しています)、ジャンルを絞ったものが多く、やはり場としてはまだまだなのかな、という感じがします。

そういう意味で「ここに行けば何か面白い書籍関連の情報があるかも」と思わせることに成功したことが快進撃の理由なのだと思います。

また、2.についてもなるほどと思う部分が多くあります。これまでの書店店頭を飾るブックランキングや、Amazonのおススメ本などは、みんなに読まれているもの、あるいは自分の好みと似ているものがレコメンドされます。もちろんみんなが読んでいるものは気になりますし、似た好みのものが推薦されればそれは気になる本であることが多いでしょう。

しかし、そこでは「こんな本もあるのか!」「このジャンルは思いのほか面白いかもしれない!」といった感覚になることはまれです。

そう考えると「本に関する情報を得る」という行為はAmazon協調フィルタリングに代表される類似嗜好の推薦よりも、SmartNewsの集合知を活用したアルゴリズムに基づく、新たな気づき、今風に言うならばセレンディピティを得られる情報を提示することに価値があるのだと思います。

本の情報が集まる場を作り、そこに従来提供しにくかった気づきを付加する。技術に裏打ちされた、これら一連の取り組みが支持されて、快進撃という形になって表れてきたのだと思うのです。

そうだ、セレンディピティといえば、思考の整理学でおなじみ、外山滋比古さんの「乱読のセレンディピティ」読んだんだった。そのうちここでも書評をご紹介できれば。

外山 滋比古著「乱読のセレンディピティ (扶桑社BOOKS)」(扶桑社)
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