読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

書評『IN★POCKET 2015年 4月号』

講談社文庫のIN★POCKETという文芸誌で、文庫の見た目を考える特集が組まれていました。特集は2部構成で、第1部では装幀者の菊地信義氏のインタビューを、第2部ではブクログと連動した文庫装幀大賞の受賞作が取り上げられています。これで200円とはかなりお買い得です。

菊地氏は1984年に改訂された講談社文庫のフォーマットを作り上げた人。当時、文庫を買う人はタイトル買いするのか、著者名買いするのかを調べ、著者名の重要性の高さから、著者別分類を導入したそうです。これがかなりロジカルで面白い。図のように著者別にタイトルを分類していくことで、読者にとっては探しやすく、書店にとっては並べやすい(かつ欠品を見つけやすく)する仕組みが取り入れられています。これは現在他の文庫にも波及し、実質的に文庫本デザインのデファクトになっているとか。

 f:id:doksyo-tek:20150514234426j:plain

図 著者別分類番号の謎

 特集では、講談社文庫50音順の各ひらがなの最初の作家一覧もありました。例えば、あは芥川龍之介、えは遠藤周作、しは司馬遼太郎、ほは星新一、・・・等々、錚々たる作家が並んでいました。

また、各文庫のマークの解説、文庫の高さ比較、ダイヤリーやノート、背表紙のあらすじのテキスト量等、普段はあまり気にしない様々な仕掛けが紹介されていました。

第2部は文庫装幀大賞の紹介。こちらはネットで装幀とともに紹介されているので、そちらのリンクを紹介しておきます。

booklog.jp

手軽に購入できる文庫本も、「本を設計する」という異なる視点で眺めてみると様々な工夫に気づくことができて面白いかもしれません。

▼講談社著「IN★POCKET 2015年 4月号」(講談社)
4060606456

他にも、自分が読んで面白かった装幀関係の本をご紹介。

▼ピエ・ブックス著「表紙とカバー」(ピエ・ブックス)
4894445182

▼西野 嘉章著「新版 装釘考 (平凡社ライブラリー741)」(平凡社)
4582767419

▼臼田 捷治著「装幀列伝―本を設計する仕事人たち (平凡社新書)」(平凡社)
4582852416