読書的な何か。

読書と読書にまつわるテクノロジー、雑記など。

読書的ニュース2016-12

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2016年12月の読書的ニュースです。

〇おススメ本あれこれ

年末年始とか、節目になると「2016年のおすすめ本」みたいな記事がいろいろ出ますね。ということで、いろいろおすすめされたのでご紹介。みなさん、楽しい読書生活を過ごされたのでしょうか。

かなりたくさんおすすめされましたが、気になった未読の5冊を、読みたい順に記しておきたいと思います。今年中には読むぞ!

 

量子コンピュータが人工知能を加速する

量子コンピュータが人工知能を加速する

 
テクノロジーは貧困を救わない

テクノロジーは貧困を救わない

 
罪の声

罪の声

 
聖の青春 (角川文庫)

聖の青春 (角川文庫)

 
雑草のくらし―あき地の五年間 (福音館の科学の本)

雑草のくらし―あき地の五年間 (福音館の科学の本)

 

 

11月10日放送のアメトーク『読書芸人』 第3弾で取り上げられた本をまとめてみた【本好き芸人】 - 積読書店員のつくりかた

 第3弾、見逃した! カズレーザーさんの読書観が面白いらしい。後で調べよう。

読書の秋にオシャレで面白い「FACE BOOK COVER」はいかが? | Qetic

意外と高いんだけど(2970円)、家族等がプリントされてて、しかもプレゼントでもらったらうれしいかも。

手元にある一冊が、新しい世界への扉となってくれます。読書は好き? - エキサイトニュース

「目の衰えが、本を遠ざける」
うーむ。。来るべき衰えに備えたいが。。。やはりリフローで大きめの文字を読むのがいいのかな。

日本ハム、書籍1716冊を「北海道ブックシェアリング」に寄贈― スポニチ Sponichi Annex 野球

段ボール40箱分、1716冊。多いのか少ないのか。寄付文化って難しいよなぁ。

寄付って観点では、大手の新古書店で二束三文で買い取られるのもいいのだけれど、読みたい人がいる場所に寄付するほうが、気持ちいいよね。

ASCII.jp:読書は「書籍」から「電子書籍」に移行か…9月ネット購買世帯支出

「書籍」の減少傾向が続き、「電子書籍」の増加傾向が続いていることから、家庭での読書が書籍から電子書籍に移行している傾向が見て取れた。

へぇ。

「デジタルコンテンツ」のうち「電子書籍」は同73.3%増
「書籍」(同5.6%減)

どのジャンルなのか気になるが、電子に移行することに抵抗がなくなってきていると見ることもできる、のかな。

英大学が発表、世界に「寛容さ」を与えた10冊の本 | ホンシェルジュ | 英インディペンデント紙(オンライン新聞)

国際寛容デーの一環で。寛容になれる10冊。とりあえず、以下の2冊は読んでおきたい。

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

 
わたしはマララ: 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女

わたしはマララ: 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女

 

 

Spooky Tales

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年末年始に、何気なく買ったレゴ人形。Spooky boyという変わった人形が当たったのですが(袋に入っていて、どんな人形が出るかわからない)、『Spooky Tales』と書かれた黒い本が一緒に付いていました。

brickset.com

www.lego.com

Spooky Tales。直訳すると『気味の悪い物語』。うわー。人形も気味悪い感じだけど、本もおどろおどろしいなぁ。。と思ったのですが、eBayで見てみると、なんと本のパーツだけで6.99USドル! 日本円にしてざっと821円(2017/1/9現在)! けっこうな高値でやり取りされる希少本なようです(笑)。

www.ebay.com

先日、GIGAZINEで、中世時代には自分で書いた本を守るため、本に呪いをかける方法があったという記事を読みました。当時の本は手書きでコピーを作る貴重なものだったため、本の最初と最後に、盗人を脅迫するような、「呪い文」がついていたそうです。

gigazine.net

例えばこんなやつ。

May the sword of anathema slay If anyone steals this book away.

もし何者かがこの本を盗み去ったら、その人は破門の剣で殺されることだろう

ひぇー。これこそ、まさに「Spooky Tales」ですね。。Spooky boyのSpooky Talesにも同様の文章がついているかもしれません。

そうなってくると、がぜん、Spooky Tales本体が読みたくなってくるなぁ。どんな内容なんでしょうかね。

書評『頭は「本の読み方」で磨かれる』

はじめに

テレビでもおなじみの茂木健一郎さんによる読書論です。茂木さんは脳科学者ですが、本書は脳科学の知見というより、脳科学に裏打ちされた、ご本人の読書に対する姿勢や考え方、読むためのテクニック等がまとめられている本かと思いました。

内容は5章構成になっており、doksyo-tek的な意訳では、

  1. 読書のメリット
  2. 読書をするとどんな人になれるか
  3. 本の探し方
  4. 本からどう「得る」のか
  5. 厳選本10冊の紹介

についてまとめられています。また、巻末には各章で取り上げた本がリスト化されており、おススメ本が一目でわかるようになっています。

どの章もわかりやすく、かつ刺激的なのですが、詳細は本で確認していただくとして、ここではdoksyo-tekが気に入った3つのフレーズをご紹介します。

その1

「読書のメリット」について述べている部分から。

p27
科学にかぎらず、知性というのは「どれだけたくさんの人の立場で考えられるか」ということだとぼくは思います。それは「読む」ことによって養われる力なのであり、知的活動の現場で、実際に重要視されているのが、積極的な読書なのです。

相手のことをおもんぱかるって、人と人が関わっていく社会においては、最も大事にすべき、基本だと思うんです。そんな大事なことの基礎力は読書を通じて醸成することができるのだと。やはり読書は素晴らしい!

その2

「読書をするとどんな人になれるか」から。実用書、ビジネス書に関する話において、

p95
エッセンスとして抽出されたものは、確かに至宝です。けれどもそこからさらに進んで、自分でそれを体系化し、みずからの足でビジネス書に書かれているような成功をたどるためには、やはり具体的な「一の積み重ね」がいるのです。

ただ本に書かれているテクニックを模倣するだけではなく、「自分が人生のつくり手になるのだ」という意識で本を読んでみてください。

千里の道も一歩から。自分の血肉とするために、ショートカットは存在しません。一歩一歩、丁寧にやっていくのがいい。そして、特に後半の言葉が大事だと思う。読書は疑似体験ですが、それを真似するだけではない。自分のモノにする、自分事として捉える、自分との対比で考える。そうする意識がより血肉化を促進してくれるはずです。

その3

「本からどう「得る」のか」より。文章の好き嫌いでなく、客観的に見て優れているか否か。そんな見方について、

p188
本でもそれと同じように、「自分の好みはさておき、この人の文章は、なぜ多くの人に評価されているのか」その理由が俯瞰的にわかるようになったとき、真の"読書通"の目が備わったと言えるようになるのであって、そのとき自分の言葉も人を動かす説得力を持ってくるのです。

同感! 自分の好みや感覚で評価するのは楽ですが(ってこの3つを選んだのも、まさに好みや感覚なのですが)、やはり多くの人に評価される言葉や文章には、それなりの客観的理由が存在するのだと思います。そこまで曇りなき眼で見定めることができれば、それは読書通と自負していいのかもしれません。

オマケ

茂木流・速読のポイント(195ページ参照)。今度速読についてまとめて考察しようと思っています。その布石です。

  1. 「もくじ」を見て全体を俯瞰する
  2. 「これはちょっとおもしろそう」という見出しがあれば、その項目は重点的に読む
  3. 全体をパラパラめくって、「だいたいこんなことが書かれている」というポイントを把握する

所感

茂木さんの読書に対する考え方がコンパクトに、わかりやすく詰め込まれた一冊だったかと思います。各章末には、まとめとして5個程度の文で章の内容がリスト化しています。本当に時間がなければ、ここだけ拾い読みしてもエッセンスは伝わるのかもしれません。以下、読書リストから読んでみたいなと思った5冊をご紹介です。実際のリストは、ぜひ実際の本でご確認を~。

サラバ! 上

サラバ! 上

 
サラバ! 下

サラバ! 下

 
皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則

皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則

 
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

 
宇宙からの帰還 (中公文庫)

宇宙からの帰還 (中公文庫)

 
イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫)

イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫)

 

ラーメンズ『home』より「読書対決」

ラーメンズが、復興支援を目的としてコント100本をYouTubeにアップしたようです。

rocketnews24.com

素晴らしい試みですね!

ラーメンズと言えば、笑いと演劇の融合というか、オシャレお笑い要素が多分にあるかと思いますが(←かなりdoksyo-tekの独断と偏見が含まれます)、やはり本ブログで紹介すべきは、「読書対決」かと思います。

www.youtube.com

news篇もある!

www.youtube.com

何度見ても面白い。今見返すと、ビブリオバトルに笑いのセンスをふんだんに盛り込んだ形式のよう。ビブリオバトルも、無意識に影響を受けているのかもしれません。

ぜひ、たくさんラーメンズの映像を見て、復興支援しちゃいましょう!

写経(室生犀星の詩)

NDLのデジタルコレクション、充実してるんですね。ネット利用可能な図書だけで、35万冊を超えている! それに出版当時のままで読める(古い本は眺めるに近い)のっていいですね。

つらつらと眺めていて見つけたもの。「ふるさとは遠きにありて思ふもの」でおなじみ、室生犀星の詩です。様々な顔を見せる読書に関する、2編。写経したくなって、しちゃいました。

国立国会図書館デジタルコレクション - 第二愛の詩集(54コマ目)

『本』

本をよむならいまだ
新しい頁をきりはなつとき
紙の花粉は匂ひよく立つ
そとの賑やかな新緑まで
ペエジにとぢこめられてゐるやうだ
本は美しい信愛をもって私を囲んでゐる

 

国立国会図書館デジタルコレクション - 愛の詩集 : 室生犀星第一詩集(80コマ目)

『燭の下に人あり、本を読めり』

本を読んでゐると又雨が降り出した
毎晩のやうに重い雨戸が
閉した窓を叩いてゐる
濡れてしめつたそととは反対に
僕の室では一本の蝋燭がともれ
立派な美しい垂れとしほとを見せたカーテン
を下ろし

カーテンの裾のはうに卓があり
僕は感涙しながら本をよんでゐる
この恐ろしい物語りの中に
世にもやさしい一人の女性がゐて
人をあやめた不幸な男のために
声たかくヨハネ伝をよんで聞かしてゐる
頭を垂れた男の魂と
不遇な彼女の魂とはつれ立つて
今平和なすすりなきをしてゐる
ここまで読んで僕はふいと耳を立てた

ああ とぎれとぎれな雨のふる中で
だいぶ虫の啼く声が減つたやうだ
おとろへはてたあの声
毎夜のごとくかれらの美しい声により
また慰さめられて本を読み
そしてゐる間にもう肌さむい頃になつた
誰人とも会はず
清明な孤独に住み込んで
おお もう秋おそい頃になつたのであつた
自分は再た窓をとざして

しづかな雨をきいて
悲しい書物のペエジを剪りはじめた